疾病に悩む地域救った地蔵、絵巻に 京都の寺に奉納

2016-10-09 11:06:11 | 歴 history

 京都府向日市寺戸町の慶昌院に本尊「田植え地蔵」の絵巻が奉納され、8日午後1時半から、お披露目のイベント「地蔵寄席」がある。寺に代々伝わる縁起を基に地元の仏絵師が描いた作品で、当日はゲスト出演する講談師が地蔵にまつわる創作講談も披露する。

 慶昌院は1600年に開かれ、一度は焼失。1835年に再建したとされる。財産目録の校割(こうかつ)帳を歴代住職が補修を重ねながら保管しており、この中に、開山時の経緯が縁起として残る。

 絵巻は縦約30センチ、幅約2・2メートル。開祖で後に心斉法師を名乗る長谷川半兵衛が、土中から田植え地蔵を掘り出し、眼病治癒を祈願して回復した後、地蔵が疫病にあえぐ地域を救う縁起の内容を描き出した。

 昨年秋、同院の山路純正(じゅんしょう)住職(68)が同市寺戸町の仏絵師村上恵那さん(66)と知り合い、制作を依頼。彼岸花や桜など同院周辺の四季の移ろいを盛り込みながら、約1年かけて描き上げた。村上さんは「伝承の面白みを実感しながら筆を進めた。地元がぐっと近くなった」と語る。

 8日のイベントでは本堂で絵巻を展示するほか、上方講談協会前会長の旭堂南鱗さん(66)=大阪市阿倍野区=が縁起の内容を講談に仕立てて発表する。山路住職は「目で見て耳で聞いて、昔話の大切さを伝えたい。地域の原風景の一端を感じてもらいたい」と来場を呼び掛ける。

 参加費千円(小学生以下は無料)。問い合わせは慶昌院TEL(921)0571。

【 2016年10月07日 10時45分 】



最新の画像もっと見る

コメントを投稿