一般質問を掲載しました

2008-09-15 | 私のスタンス
第3回定例会での一般質問(一問一答方式)の概要を掲載しました。

 今回の一般質問は、県教委汚職事件で、20人の新人教師が自主退職か採用取消かそのどちらかの選択を迫られている中で行われることになりました。事実上の解雇通告を受けたのです。
 私は、一般質問でこの件を取り上げ、「20人の採用取消に対して点数を改ざんした教育委員会内部の処分は軽すぎる」と指摘し、「教育委員会は、なぜ自分の点数が改ざんされたのかを当事者に説明する責任がある」と質しました。
 教育長はこれ対して「点数を改ざんしたことが分かった以上、処分しなければならない」と答え、なぜ点数を改ざんしてまで合格させる必要があったのかという経緯については説明しないとの見解を示しました。
 多くの県民の皆さんは今回の事件を二度と起こさないように膿を出し切って改革を進めて欲しいと願っています。教育委員会は県民の期待に応えて本気で信頼回復を進めるのならば、この事件について説明責任をきちんと果たすべきだと考えます。

 さて、教育委員会汚職事件以外にも公立病院の統合と地域医療の問題について質問しました。
 特に私の地元で大きな問題になっている公立病院の統合問題については、「拠点となる病院と経営形態については市と合意したものの経営主体については、市の意向を十分尊重しながら協議していく」ことを確認でしました。
 7月末から岩手県釜石市での県立病院と市立病院との統合を調査しましたが、病院を統合すれば医師不足が解消されるわけではない、と言うことを改めて認識しました。医師を確保するには「魅力ある病院づくり」が重要であり、そのためには住民と一緒に病院づくりを進めていくことが必要だと実感しました。

 また県立看護科学大学で今年から養成を始めた高度実践看護師(ナースプラクティショナー)を、特区制度を利用して県内の自治体病院に配置してはどうか、という質問を行いました。これに対して知事は「課題もあるが折角大学で養成した人材を生かすためにも前向きに研究したい」と答えました。
 医師不足が深刻な地域に少しですが明るい光が見えた気がします。

08年第3回定例会一般質問⑧

2008-09-15 | 県議会での一般質問と答弁
(2)教委の不正による合格者の解雇について
 さて、調査要領にある「③不正な方法による採用が確認された者等については採用を取り消すなどの措置」に関して伺いますが、この行政処分は、処分に該当した教師の人生を大きく変えてしまうという非常に重大な処分であります。このことを考えたとき、この原因を作った県教委の責任はどうするのか。このことについて県教委の見解を伺います。

〔小矢教育長〕
 先般の臨時教育委員会で、平成20年度公立学校教員採用選考試験において、不正な方法により合格した者については、採用を取り消すとの方針が決定されました。
 4月から情熱を持って取り組んでいるのに、思いがけない事態に当惑している者もいる中で、採用取消は断腸の思いでありますが、丁寧に話をして受け入れてもらうしかないと考えています。
 今回の一連の事件で総計23名の関係職員に対し免職6名、停職2名、減給5名、戒告4名、訓告6名の厳正な処分を行ったところです。
 私は、県教育委員会の事務局の責任者として、このような重大な事態を招いた責任を痛感しており、私自身の処分は、事件の全容の解明を待って、教育委員会で決定されることになると思います。
 今回の事件の原因と背景については、選考の不適切な運用、仲間や身内を優先する感覚、組織のチェック機能の欠如にあると思われます。
 今回の事態は全ての教育関係者に忽せにできない課題を突きつけられたものであり、教育委員会職員はもとより、市町村教育委員会の職員も一体となって教育行政の信頼回復に全力で取り組んでいかなければならないと考えています。

08年第3回定例会一般質問⑦

2008-09-15 | 県議会での一般質問と答弁
(イ)再発防止策の進め方について
また、今回のプロジェクトチームでの調査等を踏まえ策定される再発防止策(案)を受け、組織の見直しや職員の意識改革など再発防止策をどのように進めていくのか伺います。

〔小矢教育長〕
 この度の調査結果報告書の再発防止策は、三つの柱で構成されています。
 まず一点目の試験の見直しについては、①教員採用選考試験の見直し、②校長・教頭候補者選考試験の見直し等です。
 二点目の教職員人事管理の見直しについては、①教職員の広域人事の推進、②教職員人事評価システムの確立、③人事管理電算化システムの導入や、職員の意識改革等です。
 また、三点目の組織の見直しについては、①教育行政改革推進室の設置、②人事部門の一元化、③総務管理部門と教育指導部門の分離等です。
 今後、こうした改善策を始め、教育再生に向けた取組を着実かつ迅速に推進していくために、昨日、教育行政改革推進室を新たに設置したところです。
 この推進室を中心に、県教委職員、現場の教職員はもとより、市町村教育委員会職員など全ての教育関係者が一丸となり、大分の教育の再生に向けた改革への取組を推進していかなければならないと考えています。

08年第3回定例会一般質問⑥

2008-09-15 | 県議会での一般質問と答弁
2 大分県教育委員会汚職事件について
(1)「教育行政の抜本的改革に向けての内部調査要領」について
 次に全国的にも大きな事件となっている「大分県教育委員会汚職事件」についてであります。
 この件については今議会でも各会派ともに一般質問で取り上げると思います。わが県民クラブでも教育論を主体としての質問を平岩議員が一般質問の最終日に行う予定ですから、私からは7月29日に公表された「教育行政の抜本的改革に向けての内部調査要領」について質問します。ただ、この数日間、情勢が大きく変わっていますので、同趣旨とは言え、通告とは若干異なる質問になるかもしれませんが、よろしくお願いします。
 さて、この調査要領では、「行政機関として事件の事実関係やその背景を調査・究明し、今後、二度とこのような事態を生じないよう、①選考試験の見直し、②公正・透明な教育委員会組織の再生に向けた、組織の抜本的見直しと公正で透明性の高い人事管理、職員の意識改革、③不正な方法による採用が確認された者等については採用を取り消すなどの措置を行うため、基本的な方針を定める」ことを基本的な考え方としています。
 この調査要領には、組織、調査内容及び方法、調査結果のまとめに加えて行政処分と再発防止策についても定められています。総務審議監を含めた7人のメンバーで構成されたプロジェクトチームが民間有識者のチェックやアドバイスを受けて、調査結果のまとめ等だけでなく「公正透明な教育委員会組織の再生(組織の見直し、職員の意識改革)」を行うようになっていますが、組織の見直しや職員の意識改革については、調査や調査結果のまとめ、そして行政処分とはその質が違い、そもそも今回の改革によって県教育の信頼回復に向けてどのように展望を開いていくのかという、「教育」の基本的考え方の根幹に関わるものであり、その考え方によっては、組織の見直しや職員の意識改革は180度違ったものになると思います。

(ア)大分県教育に対する基本的理念について
そこで、今回の事件調査の最中に前波多野教育委員長のあとを受け、7月22日付けで麻生教育委員長が新たに就任したところですが、今回の再発防止策を決定する教育委員会の長であることから、教育委員長が「教育」についてどのような基本的な考え方をお持ちか、気になるところです。そこで麻生教育委員長の「教育」に対して基本的にどのようなお考えをお持ちか伺います。

〔麻生教育委員長〕
 教育の原点は、「国家・社会の形成者とし、知・徳・体を備え、公共の精神を尊び、生涯にわたって自己実現を目指す自立した人材を育てる」ことにあると考えています。
 このため、本県では、どのような人材を必要とし、また、そのような人材を育てるためには、どのような教育内容を、いかなる資質能力を備えた教員が教えることが最適なのかといった、本県の教育の理念や方向性をしっかりと定めることが大事であると考えています。
 これは、本県の教育行政を毅然と執行していくうえで、重要な視点であり、その理念があって、はじめて子どもたちの学力や体力の向上、そして、教職員の資質能力の向上が図れるものと考えています。
 県民すべての思いは、大分の子ども達の健やかな成長にあります。私たち教育委員をはじめ県教委職員のみならず、学校現場の教職員などすべての教育関係者が一丸となって、大分の教育の再生に向けた改革への取組を実行し、教育の場で成果をあげることが重要と考えています。

08年第3回定例会一般質問⑤

2008-09-15 | 県議会での一般質問と答弁
(ウ)ナースプラクティショナーについて
 在宅医療については、もちろん医師の力が必要でありますが、今の医師不足という状況でその充実は困難だと思います。しかし全国で唯一、大分県立看護科学大学で養成しているナースプラクティショナー(高度実践看護師)にその任の一部を与えることができないかと思うのです。この制度はアメリカ、オーストラリア、お隣の韓国などでも既に導入されています。イギリスのように医師不足の解消、都市と地方との医療格差を縮小することを目指して導入している国もあります。
 残念ながら日本では、このように専門的な教育を受けた看護師でも法律上の資格は看護師としての位置づけに変わりなく、折角取得した知識・技術を医師不在の場面で生かす権限は認められていません。
 そこで、看護科学大学でこうした講座を設定し、養成することとした目的と経緯について伺います。

〔阿南福祉保健部長〕
 看護科学大学では、無医地区や24時間体制で在宅医療を支える療養施設等で、適切な看護判断による、患者の初期診断や簡単な薬の処方、ケアを行い、必要に応じて医師への橋渡しができる、高度な専門知識と技術を備えた高度実践看護師(NP:ナースプラクティショナー)を養成する大学院修士課程をこの4月に全国で初めて設置しました。
 これは地域の医療・看護への貢献を目指す同大学が地域での実践を通じて永年あたためてきた構想であり、平成17年度にプロジェクトチームを立ち上げ、その後7回の国際会議の開催、文部科学省の競争的資金プログラムへの採択などを経て、今回のNP養成コースの開設に至ったものであります。

(エ)ナースプラクティショナー特区について
 先に述べたように現行法では看護師には医療現場での診療は認められていません。しかし看護科学大学で養成したナースプラクティショナーを県内の自治体病院に配置し医療行為を可能にすることが、医師の負担軽減にもつながり、ひいては在宅医療の充実を進めることができるのではないかと考えたときに、特区制度を活用することで実現できると思いますが、知事の見解を伺います。

〔広瀬知事〕
 県民の視点に立った安全・安心な医療提供体制を整備するためには、医師をはじめ看護師、薬剤師等の医療従事者の養成や確保に留まらず、適切な役割分担や連携の促進が大切と考えています。
 全国的に医師不足が深刻化している現状において、医師から独立して、診察、薬剤処方等を行うナースプラクティショナー制度に寄せられてる期待は大きなものがあります。
 さらに、医師との役割分担により、個々の患者の健康状態や生活状況をじっくり時間をかけて診察することが可能となるため、患者の満足度も高く、医師にとっても、高度で専門的な診療に専念できるメリットがあると聞いています。
 ご提案の特区制度の活用も、医師不足への対応や在宅医療の推進のための方策のひとつになると考えられますが、解決しなければならないいくつかの課題があります。
 一つには、まだこれからの新しい制度であることから、導入にあたっては、関係団体及び医療関係者の共通理解を得るとともに県民への十分な周知、啓発が必要であること、二つには、症状別、疾患別に医師とナースプラクティショナーの役割分担の判断基準の合意形成が必要なことなどが考えられます。
 こうしたことから、特区制度の活用については、県立看護科学大学を中心に、今後引き続き調査研究を進めてまいりたいと考えています。