読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

花神

2006年04月06日 | 歴史小説
                   司馬遼太郎    新潮文庫

 司馬作品の中でも好きなうちの一つ。明治陸軍の父・大村益次郎こと村田蔵六が主人公。村医者時代、「暑くなりましたな」と挨拶されたら「夏は暑いのが当たり前です」と返し、「豆腐を肴に酒を飲むしか芸がない」と言われた男。こんな面白くない男を主人公に、よくこれだけ面白い小説が書けるものである。
 だが蔵六、宇和島時代に殿様から蒸気船をつくれと言われて困惑したり(仕事は蘭学講師って聞いて来たのにぃ)、長州軍を率いて出陣する際、馬に乗れないので軽装で歩いてたら、見送りの群衆には誰が大将かわかんなかったりと、まじめにやるほど、どこかユーモラスである。
 『花神』も大河ドラマ化され、中村梅之介さんの好演とテーマ曲が素晴らしかった。が、製作サイドが蔵六だけでは華がないと考えたのか(たぶん正しい)、他の司馬作品から吉田松陰、高杉晋作、河合継之介などを助っ人に動員していた。
 「花神」とは「花さか爺さん」のことで、思想家・戦略家を引き継いで維新を花咲かせた技術者(軍事・法律を含む)になぞらえたらしい。


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2 コメント

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Unknown (yoshi)
2006-07-26 09:48:18
『花神』、いいですよね。

益次郎のブキヨウさ・世渡り下手っぷりと、職能の高さのアンバランスがイイ味出してました。

いやいや (たまも)
2006-07-27 08:18:31
「花神」にコメントもらえて、本当に嬉しいです。これからも寄って下さい。

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