チャオプラヤ河岸の25時

ビジネスマンの日記帳

危うい民主主義

2024-05-17 14:05:53 | インポート

 東京15区補選の結果は自民票が何処に流れるのかが焦点の一つだった。その分析は興味深い。結果は主要各候補に20%程度ずつ分散していたと云うものだった。真逆のイデオロギーで共産党とも組むような立憲民主の候補には多く流れない、とされていたが現実には自民支持層から相当数の投票を得ている。

 つまり、自民党の体たらくへの怒りが大きなものになっていると云うことだ。お灸としての投票行動のため、極端な左派への投票が怒りの表現としては良い、という選択もあり得るのだろう。前回の政権交代は同じ宏池会の麻生政権の後、やはり解散が遅れて国民の怒りが増幅したタイミングであった。宏池会による政権運営は野党政権を産むと云うジンクスが出来つつある。

 悪夢の3年間とされる立憲民主政権がまたも誕生する可能性が高まっている。とにかく今の自民党に投票する気にはならない、そんな国民感情が充満しているからだ。だが、肝心な外交安保や改憲の論議さえ党内ではできず、何も決められずに分裂の要素を常に孕む党、それがこの危機の時代で政権を担えばどうなるのだろう。海外からの信認は地に落ち、経済の低迷は度を越えたものになるはず。これでは最早ギャンブルの領域だ。

 どのような国家を目指しているのか、日本とはどんな国なのか、そもそもの国家観の希薄さが与野党共通の欠陥だ。この状況ではどちらを選んでも大差ないのかもしれない。候補者も劣化した人物達が揃う。そんな選挙の水準が「つばさの党」やれいわのように民主主義の弱みを突くだけの、幼児レベルのエンターテーメント左翼までも登場させた。彼らの狙いは最低レベルの民度で選挙が行われること、その一点に他ならない。既存システムの無力を露にでき、社会が混乱すればそれでよく、無論自身の当選などは望んでいない。法執行による徹底した処断と資金源の厳格な捜査とが必要な理由だ。

 政治に関与する人間は変な人、そんな意識が国民の中に浸透すれば民主主義のシステムを瓦解させたい彼らの意図は成功することになる。世界は権威主義と民主国家間との熾烈な情報戦の戦場になりつつあり、無論日本の国内でも同様の景色が展開されることになる。ロシア、中国、イラン、北朝鮮の権威主義国家に連なる組織や人物、資金が日本には数多く存在するからだ。危機は既に足下に及んでいる。

 

 

 

                                川口

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする