チャオプラヤ河岸の25時

ビジネスマンの日記帳

中国バブルの破裂

2015-08-25 21:44:24 | インポート


 上海の株式市場はとうとう3,000ポイントの大台を割り込んだ。4,900ポイントまで上昇したバブルは、ハード・ランディングでの調整の様相を見せ始めた。中国経済の実力は2,500ポイント前後、まだバブル部分を残している。
 元の切り下げ、100兆円規模と思われる買い支え、売買の禁止、金利引き下げ、習近平はありとあらゆる禁じ手を繰り出したが、結局効果は無かった。むしろ中国共産党の経済音痴振りや市場支配力の無さに失望し、世界の株式市場は大幅な暴落になってしまった。
 かつての日本の民主党政権並に経済が分からない中国共産党、世界の迷惑以外の何かではない。リーマン並のマイナス・インパクトになってしまう可能性がある。欧米や日本市場で、今週中に反転があるのか無いのか、それで何もかもが決まってしまいそうだ。
 日本の企業業績は上昇を続けているが、中国ショックで株価は18,000円割れまで急落した。多分に実態とかけ離れたパニック売りであり、ヨーロッパやNYの立ち直りを見届ければ急回復するだろう。それも週内の反発が条件なのだが。
 習近平にとっては党内権力闘争が最優先課題になっているらしく、他に真の関心はなさそうだ。これでは完膚なきまでに庶民の生活基盤が破壊される可能性すらある。賄賂なしには動かない経済の仕組みを放置しながら、政敵を腐敗摘発で排除した。末端まで萎縮したシステムは、急速に活力を失くして当然だろう。元々、汚物の上に築いた経済であることに共産党の自覚は無かったのだろう。自分が乗っている枝に、恥ずかしくものこぎりを入れた。
 バブルは官製であり、国営企業や地方政府の莫大な不良債務を庶民に分担させた後、企業や地方政府に高値で売り抜けさせた。天津の爆発事故は、党の法治が如何に無法地帯を産むのかを証明した。結果、世界は強烈な習近平への失望売りで応えた。民は愚である、そんな傲慢な政策を続ける共産党、彼らに制御不可能な市場の暴落を予測する賢明さはなかった。最早、中国はもっと大規模な破局までも覚悟しなければならなくなった。より賢明な外資にとって、中国からの脱出は待ったなしのプログラムになったからだ。
 中華民族主義の復興、抗日軍事パレード、歴史を偽造してでも進めるその前近代的スローガンと軍事主義。それを掲げる習近平こそ、中国の栄光の可能性に幕を引く人物になるはず。必ず。




                                 川口

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バンコクのテロ

2015-08-18 16:22:53 | インポート

 盂蘭盆の休みも終わり、酷暑にも衰えの色が見える。まだまだとはいえ、痛いような陽射しは流石にもうない。
 お休みの間、驚くようなニュースが幾つもあった。天津の危険物倉庫の大爆発はまだ死傷者の集計も済まず、被害額も未定だ。最終的には200人以上の死者と1兆円の損失、という辺りだろう。輸入自動車の陸揚げ港なため、燃えた新車は14,000台程度にもなるとのことだ。現代が4,100台、ルノーが1,500台、VWが2,700台、トヨタが4,700台、数は少ないがベンツなどもそれぞれに被害を受けている。
 倉庫は700トンのシアンを始め、炭化カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモン、金属ナトリウムなど、計3,000トンの危険物が集積されていたと云う。何を目的とした貯蔵か知らないが、大概の化学兵器が作れる物質構成、量は許可量の30倍にもあたる。無論、倉庫会社のCEOは元天津市共産党幹部の子弟、という何時ものパターン。許認可の基準はあるものの、法規に沿った管理などは全くされている形跡がない。
 党幹部にとっての便利な無法地帯、そして今や製造コストはアメリカと同じだ。進出各企業はなぜ中国を選んだのか、その不明についての説明を求められる時代となった。
 厄介なのは世界第四位の貿易港が機能不全に陥っており、復旧に相当の時間が掛ることだ。減速の度を加え、なり振り構わぬ為替操作で経済のテコ入れを図っている最中の中国に取って、この事件は想定外の痛打になる。
 グローバル経済化した世界は何処かで必ずリンクしており、中国の想定以上の減速は各国の成長速度を低下させる。全体経済にとって心配な雲行きだ。
 更に、昨夜はバンコクの繁華街、ラーチャプラソン交差点付近で爆弾テロが発生した。20人の死者、130人以上の負傷者を出すと云う大規模なTNT爆薬を使った攻撃だった。現場は伊勢丹などが在る、日本人に馴染みの場所だけに衝撃がある。
 南部独立派イスラム教徒によるテロ、タクシン派反軍政主義者のテロ、ウイグル族の中国への強制送還を許したタイへの報復、その何れかが有力であり、直ぐに犯人像を絞り込みできそうだ。テロの狙いは観光立国タイのイメージダウンであり、タイの経済成長の停止である。そうである以上、以前に変わらぬ行動によってこそテロに対峙しよう。それが友好国日本の使命だ。
 冷戦の終結とともに世界は小紛争で溢れかえることになった。脆弱なアメリカとロシア、台頭する中国、冷戦の重しを失くした世界は一層の危険を孕むことになった。行方の定まらぬ試行、混沌の中でパンドラの箱は開かれ、無差別殺戮だけがどうにも止まらない。




                              川口
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人民元

2015-08-12 16:23:10 | インポート

 中国は人民元の対USドル為替レートを3日連続、元の大幅切り下げで調整した。3日で4.65%という大きな下げ幅、これにより如何に中国の輸出産業が苦境にあるのかが分かる。交換基準の計算方法の修正という公式発表だが、無理筋の為替操作であることに違いはない。
 人民元の切り下げは世界にデフレを輸出することになる。世界の株式市場は一斉に大幅に値下がりし、中国発のデフレに萎縮した。そもそも中国の公式な経済指標はでたらめなため、共産党中央の政策が発表になってからでないとその深刻さが市場に正確には伝わらない。自由な市場、その自然な調整能力や淘汰の力が、中国では発揮されない仕組みだ。市場経済の中の異物、そんな中国元の国際化はあってはならないことになる。中国経済の肥大化は国際市場秩序にとって危険な異物である、としか云いようがない。
 様々な強制力で見せかけの安定を維持する中国、だがその都度ストレスを溜め込むだけの作業に過ぎない。不自然な、余りに人為的な介入を繰り返せば、市場は溜め込んだ応力で強烈な崖を用意することになる。市場経済にとっての田舎者、中国の経済政策の危うさは最早度を越しつつある。
 不気味な青空、今中国の都市は昨年とは比較にならないほど空気が良いのだそうだ。生産活動の大幅な低下が青空を回帰させている。作用があれば反作用もある、何をもって良しとするかは考え方次第、悲観一方というのも間違っている。青空だって捨てたものではない。彼の国が何を選ぶのか、党中央の価値観念は意味不明なため、正確な政策予測は困難だ。
 200人を超える人権派弁護士を一斉拘禁し、NET規制を強化する習近平。文化大革命前夜にも似た引き締め策が様々実施されている。異世界が市場経済の運命に関わっている、その変数の意味は軽いものではない。中国の大型の減速と、内政の混乱とに備えよう。





                                川口
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中国のGDP

2015-08-07 15:43:05 | インポート

 ロンドンに本拠を置くファゾム・コンサルティング社が、中国のGDPを鉄道貨物輸送量や輸出入実績などの個別指標を基に試算した。中国国家統計局の公式GDPは大本営発表であって、全く信頼性を欠くものであることは周知のことだ。
 これによると本年のGDP成長率の着地は2・8%、来年の成長率は1%にまで低下すると計算した。中国の大本営発表では今年1-7月の成長率を7%としているから、いかに公式発表が盛った値であるかが分かる。なにせ中国のGDP発表は、〆てからあっという間に計算され、その後詳細値で修正することもない。予定が7%なら結果も7%で話にならない。
 場合によるとマイナス成長になっているかもしれない、中国の日系進出企業はそのような感想を持っている。上海や広州では、久しく見たこともない青空が広がっている、との話が伝わってくる。製鉄、発電、重化学工業などが大きく減産している証拠だろう。国家統計局のものより、ファゾムの試算値が遥かに現実に近いことは間違いない。
 腐敗撲滅の錦の御旗を掲げ、派閥抗争に執念を燃やす習近平。だが、政敵の賄賂政治は中国の隅々に浸透しており、そこを攻撃すれば副作用で経済全体が委縮する構造だ。代わりに据えられる幹部は習近平派に違いないが、やることは結局同じ。何処かで錦の御旗を降ろさぬ限り、際限のない萎縮=デフレに突入することになる。魯迅の嘆きが聞こえる。
 戦後70年、日本は総反省の季節だが、今年はいやにキナ臭い。歴史の政治利用主義者に対峙している以上、談話の内容が何であれ終わりなどない。文言の問題であるはずがないのだ。平身低頭すれば何かが解決するのか、それだけはない。彼等の歴史は政治的歴史、それ以外の何かでないからだ。どこの国の政府なのか分からなかった民主党政権下ですら、彼らが熱愛する中韓と良い関係など出来なかった。対峙は永久に続く、その認識と覚悟だけが今の日本に必要なものだ。
 平然と意味不明な重要数字を発表し、今や手に負えない規模となった市場やインターネットすらも操作しようと夢中になる隣国。その遅れに遅れた民度やアジア全体への責任感の欠如、何ら魯迅の時代と変わりない。
ちょっと付き合いきれない、そんな思いを募らせている大多数の経済人・・・、次のアクションは推して知るべしだ。
 距離を決して詰めないこと、それだけが唯一東アジアの平和を担保する術だ。彼の地に製造拠点を置くなど、原理的に平和の破壊以外の何かにはならない。厳に、心しよう。



                               
                                    川口
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