はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

3月のライオン(3)

2010-01-25 08:00:51 | マンガ
3月のライオン 3 (ジェッツコミックス)
羽海野 チカ
白泉社

このアイテムの詳細を見る


「ガチンコだよ……またしても。またモロにガップリだよ……。っていうか、前回よりさらに力まかせだよ?」
「しかも……あーっっ、よりによって両者入玉だよ!?」
「もうヤメようよ!! 大人気ないよっっ」

「3月のライオン(3)」羽海野チカ

 大晦日、風を引いた桐山は、しかし川本家の3姉妹に助けを求めることもせず、孤独に運命を受け入れていた。
 もう独立したんだし大丈夫。
 根拠のない自負と意地でしのごうと思ったものの、ひ弱な桐山の病状は悪化の一途を辿る。苦しく息を吐きながら、何度も繰り返し見た夢の先には、桐山を心配して部屋を訪ねてくれた川本家の3姉妹の顔があった。
 コタツのように暖かい川本家での団欒の記憶を胸に、桐山は目前の獅子王戦挑戦者決定トーナメントに挑む。
 けっこうな賞金のかかったトーナメントで、少なくない上位者を下しつつ進む桐山。その前に現れたのは、義姉の不倫相手・後藤九段。
 後藤に義姉を侮辱され熱くなった桐山には、もう周りなどまったく見えない。打倒後藤のみを目標に邁進する。若さ故の未熟さは、しかしあっさりと島田八段の前に敗れ去った。

 敗北から見えるものもある。とくに男の子なら、というのは差別だろうか。
 クールで何事にも積極的に関わろうとはしない桐山君が熱くなった姿が非常に新鮮だった。若気のいたりの行く先は、もちろん苦い敗北の味なのだけど、挫折を味わってこそわかることってあるんだよね。桐山の心中に深く共感する三日月堂のお菓子職人のおじいさんたちと一緒に、僕も深くうなずいていた。あるある。
 ところで本巻最大の見所は、桐山君を下した島田とスミスを下した後藤のガチンコ対決。冒頭にも掲げたように、かなり大人げない力勝負で、ギャラリーから思わず悲鳴が上がるほど。勝負師だからこその意地の張り合いが、スリリングで面白かった。
 ところで僕は昔マジック・ザ・ギャザリングというカードゲームをやっていたので、こういう状況、こういう心理は理解しやすかった。カウンター主体の待ちの戦形のデッキを使っているくせに、相手を力で抑えたいがために無理矢理攻めにいく。そこまでしても勝ちたい。そういう時や相手っていうのがあるんだよね。しみじみ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿