Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

アナと雪の女王

2014-04-26 | 映画(あ行)

■「アナと雪の女王/Frozen」(2013年・アメリカ)

●2013年アカデミー賞  歌曲賞・長編アニメ賞
●2013年ゴールデングローブ賞 アニメーション作品賞

監督=クリス・バック ジェニファー・リー
主演=クリステン・ベル イディナ・メンデル ジョナサン・グロフ ジョシュ・ギャッド

 子供が小さいうちはディズニー映画の新作はほぼ欠かさず観ていたが、さすがに中高生になると劇場に足を運ぶこともレンタルで借りることもなくなっていた。だが、今年のアカデミー賞でこの映画が話題になってから、どこか気になっていた。歌曲賞を受賞したあの曲がCMで流れるのを聴くたびに思っていた。これを映画館で聴かずして、どこで聴く?というのだ。ディズニー映画の音楽でこういう気持になったのは、あの「アラジン」以来かも(A Whole New Worldはカラオケでも十八番だったりする)。音楽の力って偉大だ。しかもそのLet It Goを歌っているのは、大好きなミュージカル映画「レント」にも出演していたイディナ・メンデル。

 アンデルセンの「雪の女王」を元ネタにした姉妹の物語。ものを凍らせてしまう力を封じ込めてきた姉エルサが、自分が王位を継いだ王国を逃げ出して山中に氷の城を築いて閉じこもってしまう。妹アナは姉との仲を取り戻し、雪に覆われた王国を元の姿に戻したい、と姉の城へと向かう。その愛と勇気の物語だ。「雪の女王」は冷酷な女王に立ち向かう物語というイメージが幼い頃からあっただけに、この翻案には驚かされた。いやはや見事というしかない。姉エルサは不思議な能力をもつことで苦悩を抱え込んでいる存在だ。映画の製作当初、エルサはオリジナル通りに悪役とされるはずだったという。しかしミュージカル楽曲を担当したロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン・ロペスの二人が書き下ろしたLet It Goですべてが変わった。エルサの置かれた身の上と生き方を変えようとする決意を歌ったこの曲でキャラクターの改変が行われたと聞く。音楽の力を思い知るエピソードだ。また、妹アナも幽閉されたも同然だった生活から、幸せを手にしようすることに一途なキャラクターとして描かれる。

 そして何よりも素晴らしいのは、ディズニー映画のお約束とも言える"白馬の王子"を待望する話になっていないということ。雪と氷のスペクタクルと化した物語を収束させるのは男女の愛ではない、という結末だ。劇中"真実の愛"が解決の手段だと何度も語られ、観ているこちら側もきっと山男クリストフが愛を勝ち得る話になるぞ、と思いながら行方を見守っていたはず。しかし"真実の愛"はディズニーの伝統を、というと言い過ぎかもしれないが、僕らが抱いていたイメージを見事に打ち崩してくれる。そして見事なハッピーエンド。世代を問わずに感動できる作品に仕上がっている。僕は字幕版を選んだけれど、日本語吹き替え版がここまで評判を呼んでいる作品も珍しい。松たか子と神田沙也加が起用に応えるいい仕事をしている日本語版も観てみたい。

アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラックアナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック
V.A.

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