Some Like It Hot

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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

東京タワー オカンとボクと、時々オトン

2007-08-23 | 映画(た行)

◼️「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(2007年・日本)

監督=松岡錠司
主演=オダギリ・ジョー 樹木希林 内田也哉子 松たか子

リリー・フランキーのベストセラーを映画化したヒット作。僕は原作を読んでいないし、速水もこみち主演のドラマも見ていない。リリー作品で知っているのは「おでんくん」くらい。でも、その分だけ素直にスクリーンに向かえた気がする。「おでんくん」に出てきた病気にまつわるエピソードや、東京タワーを見上げるおでん屋台にした設定の裏側にこうした現実が反映されているのだろう。そう思えた。

映画撮る側にとっては、さぞかしプレッシャーのかかる仕事だったろう。世間で成功している原作だけにイメージを損ねる訳にいかないし、ドラマも先行していた。この映画は、絶妙なキャスティングと手堅い演出でそこを上手に作っている。松岡錠司監督作って実はこれが初めてだ。代表作「バタアシ金魚」もそういえば観ていないなぁ。

原作者を美化したような(失礼)オダギリ・ジョーもいいのだが、樹木希林演ずるオカンが何よりも素晴らしい。田中裕子や倍賞美津子が演じたテレビ版は見ていないけど、あのおおらかさとユーモアは他の女優さんじゃ出せない。それに若き日のオカンを、樹木希林の実の娘内田也哉子が演じたことも忘れてはいけない。彼女もこの映画で母の愛を強く感じた一人に違いなかろう。

この映画で母の愛を思い知らされたのは僕も然り。リリー氏のオカンがすごいということだけでなく、僕の母についてだ。オカンが息子の卒業証書を「私の財産」と大事にするところで、今更ながらこれが親の気持ちなんだと気付かされた。僕は就職する頃、特定の業界に妙にこだわってしまい(他の要因もあったけど)、結果バブルの恩恵もたいして受けないような就職をすることになった。「留年して就職にこだわりたい」などと発言したことがある。結局それは戯言で片付けられ、僕は留年もせず大学を卒業した。結婚してからも、ろくに相談もせず転職を決めて結果として悲しませてしまったこともある。卒業証書を大事そうに手にするオカンを見て、僕は母を思わずにはいられなかった。これから僕は母に何をしてあげられるだろう。

映画をみて我が身を振り返ること。ときどきあるけど、今回はちょっとだけ泣かされた。多くの人がこの映画を観て、母親への、家族への思いを新たにしているのではなかろうか。そんな思いで映画館を後にしたのだった。




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