■「Once ダブリンの街角で/Once」(2006年・アイルランド)
監督=ジョン・カーニー
主演=グレン・ハンサード マルケタ・イルグロヴァ ビル・ホドネット
懐かしい友達に会えた気がする。彼の名はグレン・ハンザード。十数年前、僕はアイルランドを舞台にしたある音楽映画に夢中になった。その映画は、アラン・パーカー監督の「ザ・コミットメンツ」。ソウルバンドを組んだダブリンの若者を描いた青春群像劇だった。そのバンドでギターを弾いていたのがグレン。映画の最後でバンドは解散してしまい、「アメリカン・グラフィティ」の最後のようにみんなのその後が語られる。脇役だったグレンは友人と再びストリートで演奏するようになったのだった。その彼が今やアイルランドのバンドのフロントマンとして活躍し、この映画に主演。しかも、まるで「コミットメンツ」の続きのように、ストリートで歌っているのだ。映画の冒頭、僕は銀幕に向かって心の中であいさつした。「やぁ、久しぶり。」
街角で歌うシンガーソングライター志望の彼は、ある花売りの彼女に出会う。二人は音楽を通じて意気投合。チェコ移民である彼女はいろんな悩みを抱えている。やがて曲をひっさげてロンドンに行く彼が、レコーディングしたいと言い出し、彼女と街角で演奏するミュージシャンたちが協力する。恋愛映画なんだけど、大きな事件も起らないし、想いが成就することもない。でもそこに行き着くまでの触れそうで触れない二人の気持ちを思うととても切なくなってくる。
「ロマンティックな詞は書けない。詞を書いてみるかい?」「いいわ。」
彼は別れた前の恋人を思いながら曲を書く。昔の映像を見ながら曲を作る場面が何とも切ない。彼女は母親と子供を抱える苦しい生活。貯金箱から小銭をとって電池を買いに行き、店から戻るとき彼女は歌う。
「私が欲しいなら私を満たして。」
彼女も深い悩みを抱えている。一夜のレコーディング場面、ピアノを前に苦しい心情を露わにする彼女。彼は肩を貸してやることしかできない。なんて切ない場面だろう。
「朝食を一緒にどうだい?。うちにおいでよ。」「帰るわ。間違いが起りそうだもの。」
僕はこの台詞で胸が締め付けられた。音楽で結ばれた人と人の絆は深い。僕はそう信じている。だから、成就し得ない二人の思いが余計に切ない。挙げたりないくらい、いい場面がいっぱいある映画だ。前向きに歩き出すラストシーンは、切ないけど爽やかでもある。
このサントラは全米でヒットしたそうだ。手持ちカメラの地味なアイルランド映画が、アメリカでウケたのには驚いた。でもここに収められた楽曲は、彼と彼女の少ない台詞の行間を埋めるために存在している。僕らはその曲に涙する。ソウルバンドで目立たないギター弾いてたグレンは、僕らの心を揺さぶる曲を歌っていた。この映画に出会えてよかった。
今度会ったら、話し合いましょう。
う~、たのすぃみ~!
次は何観ようかな。
ビデオなんですが、持ってますし(とはいえ、買ったんじゃなくて、レンタル屋さん在庫一掃のときにただでもらっちゃったんですが(^^ゞすっごくラッキー!!!)ときあるごとに見直したりしております♪
あの映画でも道に立ってたなぁ、というグレン・ハンサードが今回も^^似合ってました、ほんとに素敵でした。
あの時点ですでにジーンとしてしまった私ですが
ほんとにこの映画での2人は音楽で繋がってて
プラトニックなままでも深い所で繋がっているという
ところがたまらなく切なくも素敵でした。
あ~、こういうのあるよなぁ、と思いました。
言葉よりも雄弁に語る音楽でしたね♪
TBどうもありがとうございました~♪
随所に音楽好きの心をくすぐる場面があって、なかなかナイス。
「シン・リジィしか演らないぜ」には思わずクスリ。
アイルランドの気質が伝わるようでもありました。