「空気」に異議あり!

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日本の自称リベラルの嘘と保守派の的外れ

2016-08-29 | 政治の空気
<ポール・ターナー裁判長は「俺は東条(英機元首相)が嫌いだ。他の米国人も大抵嫌いだ。そういう人を差別して何が悪い?」と言う。>
http://www.sankei.com/world/news/160827/wor1608270016-n1.html

これは驚愕の大問題発言です。これについての論点は多々あります。

1.「欧米先進国は差別に厳しいのに、差別に甘い日本は許されない」という日本の自称リベラルのプロパガンダが完全に嘘だと証明された。
何と法の番人である裁判官すら平気で差別を公言するのが、自称リベラルが称賛してきた「先進国」の真の姿。

2.「外交権の侵害」などという意味不明で弱い理由ではなく、「日本人差別への抗議」という理由で訴訟すべき

3.慰安婦問題等の歴史冤罪が欧米に広がっている理由を「政府の無策」にばかり求める日本の保守派が軽視してきた、「戦勝国民の敗戦国日本への差別意識」が証明された。
欧米人は「中韓に騙されて」日本の歴史冤罪を攻撃しているのではなく、戦勝国の立場を守るという私利私欲のために進んで日本に冤罪を押し付けているということ。


<自称リベラルの嘘>

まず1について。
「欧米先進国に日本のように差別に甘い国はない!」と大騒ぎし、ヘイトスピーチ法案他際限なく表現の自由を弾圧しようとする自称リベラルが日本には多数存在しますが、それが全くの大ウソであることが証明されました。
教養のない一般人どころか、最も差別主義から遠いはずの、法の番人である裁判官が、平気で「場合によっては差別してもいい」と言っているんです。

日本では、裁判官は、「絶対に自国びいきのバイアスを持ってはならない」という強い圧力があり、むしろ日本や日本人に厳しい判決を書く傾向があります。
そういう「理念」は、欧米の法学に存在するでしょう。
しかしそんな風に糞真面目にそれを守っているのは世界で日本だけのようです。
バリバリの先進国であるはずのアメリカで、裁判官が差別を容認している訳ですから。


それからもう1つ、世界における、「やってはならない差別」の定義というのは、何ら論理的一貫性のあるものではなく、「差別反対を激しく主張し、差別はいけないという風潮を勝ち取った者に対する差別だけが禁止される」という力の法則が支配しています。
実際にアフリカ系アメリカ人にしろ、欧米でのイスラム教徒にしろ、暴力を伴った命がけの抗議デモを繰り返しました。そうやって彼らは差別はいけないという立場を「勝ち取った」訳です。

いつも指摘しているように、差別を受けたことをろくに抗議もせず、それどころか島国ガラパゴス感覚によって、差別を受けたことにすら気が付かない日本人ですから、「日本人を差別してはいけない」という風潮を勝ち取るには程遠い状況です。
だからこそ、日本人はもっと差別を受けたことを主張し、激しい抗議を続ける必要があります。


<グレンデール訴訟の戦略ミス>

それに関連するのが2です。
「外交権の侵害」などという理由ではなく、「差別に当たる」という理由で訴訟すべきだと、私はこの裁判が起こされた時からずっと思っていて、フェイスブックで関係者にもそうコメントしました。

それは裁判の勝ち負けの問題を言っているのではありません。
どうせ戦勝国、特に日本と直接交戦したアメリカ人にとって、自国の原爆投下や大空襲などの大量虐殺を正当化するために、日本の悪をでっちあげたいという心理が強く、裁判も敗訴の可能性が高いと見ていました。
しかし同じ敗訴しても、その後も抗議を続けるに相応しい理由である必要があると思っていました。そういう意味で、「外交権の侵害」では弱く、やはり「日本人に対する差別に反対」という意思を示す必要があったと思います。

現にオーストラリアの日系人は、「差別反対」を理由に慰安婦像関連の訴訟をしています。同じ敗訴でもその方が今後の行動につなげられます。

勝ち負けで言えば、「外交権の侵害」という理由は私は最初から反対でしたが、それが現地の司法の特徴に沿った、勝訴できる理由なのであれば、それで仕方ないかなと思って見ていましたが、同じ敗訴するならば、そんな甘い理由では絶対にいけません。
敗訴後も、日本人への謂れのない偏見・差別に反対・抗議し続けることが重要です。


<保守派の的外れ>

そして3ですが、欧米戦勝国の人間にとって、自分達が勝利した戦争を肯定したい、その中で行われた大量虐殺も、「罪のない他の人を苦しめた悪(日本やドイツ)を止めるために仕方がなかった」という理屈で擁護したい訳です。

これはちょっと想像力を働かせれば分かることです。ところがそんな簡単なことすら考えないのが、日本の保守派の大半のようです。
日本の保守派は、欧米で慰安婦像が立ったり、韓国人団体の主張が認められたりすることについて、何でもかんでも「欧米人は韓国に騙されているんだ!」「日本政府が無策だからだ!」とばかり言っています。

しかしそれは的外れです。欧米人は「進んで」韓国人の主張を認めているんです。それは韓国人のためでも何でもありません。全て「自分達のため」です。韓国人の主張を認めることが、自分達戦勝国の戦争を正当化できるからです。自分達を正当化するために、慰安婦問題という冤罪に飛びつく訳です。

逆に言えば戦勝国にとって、自国の歴史を正当化することはそれほどまでに重要な訳です。冤罪や差別をまき散らしても、戦勝国は自国の歴史を何とか正当化したい訳です。
そういう戦勝国の心理を、この「裁判官失格」のポール・ターナーという男の失言が証明しています。


その戦勝国の心理を軽視している保守派が多すぎます。そんなところに日本政府が正面から冤罪を晴らそうとしたら、戦勝国による馬鹿の1つ覚えの「歴史修正主義」というレッテルを貼られ、外交がまともに立ち行かなくなります(本当に歴史を修正しているのは戦勝国側な訳ですが)。だからドイツ政府だって歴史については、冤罪も含めて認めてしまっています。
そんな簡単なことすら分からないくらいに、島国のガラパゴスの中に籠った精神状態なのでしょう。

もういい加減、日本の外の大陸国の立場を少しは想像し、それを踏まえた上で、日本の立場を守るための効果的な運動を積極的に展開すべきです。
敵を知らずに戦える訳がないのです。


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