風薫海航空翔

カゼカオル・ウミワタル・ソラカケル Presented by 柊(syu)

船に揺られ旅 後編

2005-12-06 11:30:17 | 旅たびたび
ワタシが体験した船旅史上、一番ネタにされてきた航路がある。それは沖縄の石垣⇔与那国便。石垣島と「Drコトー診療所」のロケ地ですっかり有名になった日本最西端・与那国島を、週2回のみ行き来する航路である。通称「ゲ●船」。船内には洗面器が高く積み上げられていて、それが必要になるほど揺れるんだそうだ。外海にでるから仕方ないそうだ。
そんなウワサを耳にしながらも「ワタシは三半規管が強いから大丈夫サァ~♪」と余裕かまして乗船。いつもの船はドック入りしていたので、波照間航路の船が代船として運行。なので名物?洗面器の山は見れなかった、残念
船は石垣島を出航後、八重山の海をズンズン進んでいく。大きな西表島の横を通り過ぎ、いよいよ船は外海にでる・・・そしてワタシは船に振り回され始めた。こんな揺れ初めてじゃーっ!と叫びたくなるような激しい揺れ。前後・左右・上下とか簡単なものではなくねじりの効いた揺れ(ねじりの効いたバックドロップではないぞ)。あががががぁぁぁ!!ドリフのコントのように、船室の端から端まで身体が流れていきそうだ!
                 
ひとり、またひとり、パタンパタンと音を立てるように乗客がカーペットの上で倒れていく。それまではカーペットの上に座って楽しそうに盛り上がっていたのに、あまりの揺れで誰も座っていることが出来ず横になるしかなかった。三半規管には自信があると余裕ぶっこいてたワタシも限界、這いつくばるしかなかった・・・。横になると内蔵をシェイクされるような不快感はなくなる。でも船はここから3時間以上もこの外海を走り続けるので、島に着くまではみんなこのまんまでいるしかないのだ。本を読んで時間を潰したくても、この揺れでは無理。
途中でトイレに行こうとしたけれど、まっすぐ歩けなかった。常に何かにつかまっていないと、アッという間にドリフのコント状態であっちの壁に叩きつけられる。靴を履くのだけでもひと苦労し、洗面所で手を洗うことさえも恐怖を感じるほどの揺れだった・・・。さすがウワサに名高い「ゲ●船」、昔の人は与那国を「渡難(どなん)」と呼んだそうだがホンマその通り
ちなみにちなみに。中編で書いた台湾への航路では、石垣島を出航すると船内の自動販売機でオリオンビールが免税金額で販売される。大好きなオリオンが100円ちょっとで飲める!、と喜んでいた。でも台湾航路も同じ外海を走る。与那国航路に比べればはるかに大きな客船だけどかなり揺れて(大きな船が揺れると半端じゃない)、ビールを飲んでる余裕なんてないのだーーー。
                  
そんなこんなで本来4時間辛抱すれば到着するはずの与那国に、代船だったため6時間かかってようやく島影が見えてきた。もうみんなグッタリ揺れすぎやっちゅーに!。と、そのときカーペットでヘバってたはずの乗客たちが、カメラ片手にみんな甲板へと走り出した。なんだなんだ??なんかいるの?ワタシも後を追った。
目に飛び込んできたものは、イルカの大群のお出迎え!!
何十頭ものイルカが弧を描くようにジャンプしながら船と並走していた。大きなイルカから子供のイルカまで・・・。いらっしゃーい!よく頑張って船で来たね~、と我々を歓迎してくれてるかのごとく。ドラマのクライマックスシーンのようでドキドキした瞬間だった。
イルカがいなくなると、ようやく与那国島上陸・港へ入港だ。船を下りてからも半日以上、足元がグラグラ揺れている感覚が抜けなかった。とにかく辛い航路だった。だけど辛さだけじゃなく「大変さを乗り越えて島へやってきたんだー!」という充実感に満たされる。ときどき飛行機じゃ体験できないイルカのお出迎えなんて経験しちゃうと、やっぱり船旅はいいなあと苦しさ忘れて言ってしまう。これだから船に揺られ旅はやめられない

最新の画像もっと見る