宮澤賢治の里より

下根子桜時代の真実の宮澤賢治を知りたくて、賢治の周辺を彷徨う。

136 賢治と東和町(ふるさと歴史資料館)

2009年04月10日 | Weblog
 以前、「藍姿、毘藍姿の二鬼と伝吉祥天立像(のレプリカ)は『東和ふるさと歴史資料館』でも見ることが出来る」と云うことを報告したが、その資料館を訪れてみた。
《1 東和町ふるさと歴史資料館正面》(平成21年3月26日撮影)

この正面のモニュメントは安俵という地区から出土した”板状土偶”のようだ。下の石の板には
   この地東和は縄文の昔から
  祈りの地なり。
  珍しき男の土偶・顔面の石棒
  など数々有り。
   平安のころ東に丹内権現
  西に毘沙門天つくられけり。
  鎌倉過ぎしころ安俵小原
  毒沢等の武将が治め、
  豊かな稔りの地となれり。
   南部の境、守りは堅く
  村々に祭の囃し賑やかなり。(以下略)

と記されている。
 館内にはいると、レプリカではあるが
《2 伝吉祥天立像》(平成21年3月26日撮影)

《3 毘藍婆》(平成21年3月26日撮影)

《4 藍婆》(平成21年3月26日撮影)

が展示されている。そして、傍の説明板には
  伝吉祥天立像(でんきちじょうてんりゅうぞう)
                               (複製)
 この立像は、東和町北成島の毘沙門堂内に安置されています。
 堂内には丈六(約五m)の兜跋毘沙門天(国指定重要文化財)があり、その脇に安置されていたことから吉祥天(毘沙門天の妻)と呼ばれます。
 像高は一七六.〇cmで台座を合わせると二一八.七cmとなります。
 材質はケヤキの一本造りで製作年代は平安時代前期のものと言われ、製作当初は前面に漆が塗られ、その上から金箔が置かれていましたが、いまは薄れケヤキの木目が美しく現れています。また、多くの腕が取り付けられていたと考えられ、その数は左右十八本とみられています。

という案内があった。
 その他には、東和町内からの
《5 出土品》(平成21年3月26日撮影)

《6 〃 》(平成21年3月26日撮影)

《7 〃 》(平成21年3月26日撮影)

《8 〃 》(平成21年3月26日撮影)

や、民族資料の
《9 カマドガミ》(平成21年3月26日撮影)

《10 シンベ》(平成21年3月26日撮影)

《11 ハンバキ(手前の長方形状の編み物)》(平成21年3月26日撮影)

などが展示したある。このハンバキとは、賢治の詩『春と修羅 第二集』の
  三七五
     山の晨明に関する童話風の構想
                  一九二五、八、一一、
   つめたいゼラチンの霧もあるし
   桃いろに燃える電気菓子もある
   またはひまつの緑茶をつけたカステーラや
   なめらかでやにっこい緑や茶いろの蛇紋岩
   むかし風の金米糖でも
   wavellite の牛酪でも
   またこめつがは青いザラメでできてゐて
   さきにはみんな
   大きな乾葡萄がついてゐる
   みやまうゐきゃうの香料から
   蜜やさまざまのエッセンス
   そこには碧眼の蜂も顫える
   さうしてどうだ
   風が吹くと 風が吹くと
   傾斜になったいちめんの釣鐘草の花に
   かゞやかに かがやかに
   またうつくしく露がきらめき
   わたくしもどこかへ行ってしまひさうになる……
   蒼く湛えるイーハトーボのこどもたち
   みんなでいっしょにこの天上の
   飾られた食卓に着かうでないか
   たのしく燃えてこの聖餐をとらうでないか
   そんならわたくしもたしかに食ってゐるのかといふと
   ぼくはさっきからこゝらのつめたく濃い霧のジェリーを
   のどをならしてのんだり食ったりしてるのだ
   ぼくはじっさい悪魔のやうに
   きれいなものなら岩でもなんでもたべるのだ
   おまけにいまにあすこの岩の格子から
   まるで恐ろしくぎらぎら熔けた
   黄金の輪宝がのぼってくるか
   それともそれが巨きな銀のラムプになって
   白い雲の中をころがるか
   どっちにしても見ものなのだ
   おゝ青く展がるイーハトーボのこどもたち
   グリムやアンデルセンを読んでしまったら
   じぶんでがまのはむばきを編み
   経木の白い帽子を買って
   この底なしの蒼い空気の淵に立つ
   巨きな菓子の塔を攀ぢやう

    <『校本 宮沢賢治全集 第三巻』(筑摩書房)より>
に出てくるはむばきのことであろう。
 そして、
《12 ツマゴ》(平成21年3月26日撮影)

も展示してあったが、このことと高村光太郎に関して少し触れたいのでそれは次回へ。

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