【本】橋本健二著 「アンダークラス－新たな下層階級の出現」(ちくま新書)

　「下流老人」の次は「アンダークラス」の勉強。社会は富裕層と貧困層との二極化が進み、老人に限らず「下流」な生活をせざるを得ない人々が増えていると言う。

　アンダークラスという言葉の定義、統計からみたアンダークラスの増加、アンダークラスに至る原因、アンダークラスな人々に見られる現象、このクラスの人々へのインタビュー記録など、内容は盛り沢山。楽しい内容ではないし、自分や友人がそうならない保障はないので他人事とも思えない。アンダークラスに至った経緯は人それぞれなので、自己責任だろうと思う人もいれば気の毒にと思う人もいる。どこまで社会保障するのか、博愛主義になれない自分としては悩ましい。

　2019年9月5日　通勤電車にて読了

【映画－京都アニメーション追悼】リズと青い鳥(3回目)

　京都アニメーション追悼＆応援上映会の「響け！ユーフォニアム」シリーズも3作目。本作はキャラクターデザインが全く異なるスピンオフ的作品だが、観た人が増えてから下馬評を覆し評価が高まっていったように思える。本日も毎度の友人とで、本日も満席。終演23:30なのに皆さん頑張りますね。

　引っ込み思案で友達もいなかった自分に声を掛けてくれ、音楽の世界を教えてくれた友人のことだけをひたすら想い続ける女子高生…ストーカー的行動には出ないにせよ、コワい。彼女にとって、その友人以外の総てのことはどうでも良いこと。認めてほしいのは世間にではなく、その友人に。やっぱりコワい。だがそうなるくらい「何も無かった」人の心情に思い至ることなど、これまでなかった。そういう人間が、ちょっとしたきっかけで才能を大きく開花させる、そのシーンだけ見れば感動的だけど、そうして日の目を見る才能って実はごく僅かで、世の中には多くの才能が、本人も気付かずに埋もれているのかもしれない。

　本作の評価は当然ながら二人の主人公の関係性に集中するわけだけど、他にも考えさせられることがあるんじゃないかって思いながら作品を観た。色々な見方をできるのは、複数回観た人間のアドバンテージ。ストーリーはもちろんのこと、画にも音楽にも新たな気付きがある。

　2019年9月5日　新宿ピカデリーにて

【映画】引越し大名！

　観たい映画のスタートが22時と遅く、かと言って帰宅して出直すのも面倒。図書館や喫茶店で過ごす手もあったが、たまにはアニメ以外の映画も観てみようと思った。近隣の映画館を含めて上映プログラムとスケジュールをリサーチ、結局お目当ての劇場でハシゴすることになった。

　江戸時代、徳川幕府による有力大名いじめとしては参勤交代が有名だが、国替えと言う手も取られた。今風に言えば転勤、しかしそれは大名だけでなく家臣もろとも。荷物を置いてゆけるわけでもないから、城だけ残しその他は一切合財を持ってゆくのが常道。従って莫大な手間と費用がかかる。この国替えを、円滑かつ低廉に行った侍の物語をコミカルに描いたのが本作。

　主人公は武芸に弱く付き合いに疎く、ひたすら書庫という殻に引き篭もる、「かたつむり」と蔑称される侍。粗野だが気の良い同僚に引き立てられ、心ならずも藩の国替えを司る「奉行」に任命されてしまう。知識だけはあるが体力も人望もない主人公は、この大役を果たすことができるのか。

　当事者にとっては生死に関るほどの一大事、正攻法ではできない難局また難局を一つ一つ乗り越えてゆくのは、主人公の力だけでは無理。真摯な態度に表れた協力者、信頼者が増えてこそ事はなる。主人公達の「わざ」に感心する一方で、仕事を成し遂げるに必要なことは何かも押し付けがましくなく描かれており、楽しくも真面目なエンターテインメントに仕上がった作品だと思った。

　2019年9月5日　新宿ピカデリーにて

【映画】天気の子(2回目)

　前回「ライブサウンド」上映で観た「天気の子」、今回は大画面高画質良音響がウリの「IMAXレーザー」の劇場に出向いた。精細な再生が可能なシアターなら新海作品との相性が良さそうだから。

　うん、画も音も良かった。作品のタイプにも拠るけど、書き込みの精細な作品なら次からはIMAXで観るべきかな、常連のシアターには悪いけど。それくらい、明らかに違う。そして、ここまで描き込んであったのかと改めて背景美術の緻密さに驚嘆する。エンドロールの作画スタッフの多さからも窺えはしたが。

　内容について言えば、本作のテーマを愛と捉えるだけでは不十分ではないかと思う。全体主義と個人主義のぶつかりあいだ。一人の生贄さえ出せれば多くの人が救われる。(作品ではそこまで描かれていないが)それを拒めば、例え生き延びられてもその者は社会で爪弾きにされ結局は生きてゆけなくなるのではないか。仮にその結果が死だとしたら、最初から生贄の大役を果たしながら死ぬ方がマシではないのか。自分が生贄もしくは近しい人の立場ならどうするか。「国のために死んでくれ」と爆弾抱えて特攻攻撃を命じられた航空兵とどう違うのか。「会社のため、偽装に目を瞑ってくれ」と懇願される社員とどう違うのか。

　素晴らしい品質に感動しながらも、問われた命題の重さに帰りの足取りは重かった。

　2019年9月4日　109シネマズ川崎にて

2019年9月3日 【物欲】イヤホンのイヤーピースを替えてみた

　「有線式の無線イヤホン(TT-BH07)」から「無線式の無線イヤホン(CHE-615)に変えたものの外音遮断がいま一つ、低音はいま二つと言う感じで満足していない。それでも不承不承使うのは、通勤電車で他人にケーブルが引っ掛かるトラブルを避けたい一心から。それくらい混んだ電車や駅を利用するんです。

　ケーブルを交換できるなんて超高級イヤホンならともかく、エントリーモデルのイヤホンで交換できる部分と言えばイヤーピースしあない。だがここはバカにできない。前々から興味はあったし高いものでもないので、他の品物を注文するついでにオーダーしてみた。FSCと言うメーカーの製品で低反発ウレタン製、この分野ではComply(のT-400)と言う製品が名高いのだが、FSCはぐっとお買い得。

　パッケージには3サイズ6個のウレタンが入っている。オリジナルのサイズはSだったのでFSCも一番小さいものにリプレース。作業時間は左右で30秒。うん、フィット感が増した。だが通勤の雑踏や騒がしい電車に足を踏み入れてみると、音質的にはさほど効果が感じられない。

　ならばと、イヤーピースを真ん中の大きさ(M)に変えてみた。柔らかくフィットするウレタン製ならイケるのでは？イケた！きちんと耳穴に嵌まり圧迫感もない。そしてこれまで聴こえなかった低音がグンと聴こえるようになった！イヤホンの携帯ケースにも押し込んで収まり、きちんと補充電できる。

　と言う訳で、今のがどんなイヤホンであろうと、「聞こえ」がワンランクアップする低反発ウレタン製イヤーピースはお勧めです。

【映画－京都アニメーション追悼】劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜(4回目)

　京都アニメーション追悼＆応援上映会の「響け！ユーフォニアム」シリーズ2作目を、今夜も毎度の友人と観に行った。満員御礼の大盛況。

　久しぶりに観たせいか新鮮。過去に気付いたか気付いていなかったか、登場人物たちのちょっとした仕草や表情の動き、背景の微妙な色調の変化など、改めて作品クオリティの高さに感心した。

　2019年9月2日　新宿ピカデリーにて

2019年9月2日 【食べ物】サンマは高級魚に返り咲き

　いよいよ9月、今年も残り1/3になったところで、ランチに行く店でサンマが出た。迷わずチョイス。

　今年は昨年以上の不漁だそうで、サンマもいずれはウナギと同じ運命を辿るのだろうか。実はラーメンの出汁にも干しサンマが使われていることが多く、不漁はランチだけの問題ではないのだけど。

　子供の頃サンマは高級魚で、大衆魚と言えばイワシとシャケだった。その後イワシが不漁になり、その代わりサンマが豊漁で大衆魚になったのは喜ばしいことだったのに。いま普通にランチで出てくる魚と言えばサバかシャケ、イワシもサンマも滅多にお目にかかれなくなってしまった。

　昼定食のサンマに生モノなど望めず、冷凍しかも細身でちょっと寂しかったが、それでも美味いと思った。

2019年8月30日～9月1日 【旅行】いろいろツブしに四国まで（３）

　豪華バス乗車、離島訪問、徳島宿泊と3つのネタを「回収」し意気揚々。9月1日は昼まで徳島でそれからテツ旅。市内を遠回り散歩して眉山ロープウェイに至り、ゴンドラで上がって高みの見物。本当は歩いて登ろうかと思ったのだけど昨日けっこう歩いたのと時間的に微妙なので止めた。

　山を降りて徳島を去る前にラーメンもう一杯(別稿)、普通列車で阿波池田へ、乗り継いで大歩危へ。「秘境トロッコ号」に乗って最近来たばかりだよねえと思ったが、帰宅して調べたら2016年11月だった。3年前じゃん！大歩危では直ぐの乗り換え、ここから土讃線を引き返し「四国まんなか千年ものがたり号」(写真)で行く。

　キハ185系3両編成はJR四国の観光列車でも最上級の仕上げ、内装はウッディだがあちこちで水戸岡デザインより落ち着き目か。確か自社の職員でデザインしたように聞いたが、なかなか良い感じ。食事コースを予約しておいた。発車と同時に飲物の注文に来て、ほどなく小ぶりな3段重ねの専用重箱が運ばれてくる。車内調製できないのは仕方ないが、暖かい吸い物くらいは欲しい。

　沿線では多くの人が待ち構えて手を振ってくれる。殆ど週末のみの運転で時刻が決まっているので、待ち構えるのもさほど負担にならないかのかもしれないが、嬉しいことです。車内からも負けじと振り返す。アテンダントも「ここのおばあちゃんは90歳で…」など情報収集に余念がない。上り列車は発車して直ぐに大歩危・小歩危と言う名勝地を過ぎてしまうため、以降がダレないようにするのに大変だろう。

　適宜運ばれてくる飲物や食べ物、単線ゆえの交換待ち停車、あちこちに現れる「お手振り隊」への返礼で飽きる間もなく多度津に到着。車両は回送で高松まで行くのでそのまま乗せてくれても良さそうだが、あまりに退避待ちが長くダレるのと乗務員の拘束時間の問題なのだろう。普通電車を宇多津で降り高松空港ゆきのリムジンバスに乗ったが、バスの始発は通り過ぎてきた丸亀始発。何でここで乗り換えるプランを立てたのか自分でもワケワカメ。JL486便(JA332J:737-800)で帰京した。盛り沢山で充実した週末でした。（おわり）

2019年9月1日 【食べ物】徳島・麺王

　毒を喰らわば皿まで…「東大」に行ったのなら有名店の双璧、「麺王」にも行かないと。実は同じ資本らしく、隣にある別の店にすれば良かったかなと思ったのは帰宅して気付いたこと。

　11時の開店早々に入る。昨晩のと似たルックス、だけどここの方がスープの塩分を濃く感じる。これはライスが欲しい(我慢我慢)。細ストレートな麺は「かため」をオーダーした方が良いか、「ふつう」のままの方がスープに馴染んで良いか迷うところ。

　スルリと食べ終わる頃には店内満席、店の前にも客が並んでいた。ご馳走様でした。

2019年8月31日 【旅行】楽天トラベル「たびレポ」制覇

　今はイベント終了し、公式サイトからのリンクは消えてしまったが、過去に紹介した通り、かつて楽天トラベルでは「たびレポ」と言うお遊びをやっていた。都道府県単位に分割された地図があり、楽天トラベルで予約をすると当該の都道府県に色が着く、いわゆる「塗りつぶし」である。

　表舞台から消えてしまったものの、個人的には残り僅かとなっていたので自主的に継続目標としていた。それが今回の徳島行きの宿泊手配でようやく、残っていた最後の県を塗りつぶすことができた。コンプリートしたからと言って賞品が貰えるわけでなし、お祝いメール一通くらい寄越したって罰は当らないと思うがいかが＞楽天トラベル殿

　楽天トラベルはデルタ航空スカイマイルのショッピング特約店となっており、宿泊代金の支払いで楽天ポイントが貯まるだけでなく、デルタ航空のマイレージも僅かながら貯まるメリットがあった。だがその提携も8月30日で終了してしまった。今回の宿泊は31日だったが、登録を終了日以前にしていたためセーフ。

　これでまた一つ、今回の旅行の「お題」を達成できた。