主人公の設定・描き方~主にドラクエシリーズ~

2008-11-07 00:01:26 | ゲームよろず
前回の「同級生から下級生へ~「白紙」の主人公の扱い」において、同級生と同級生2を比較した場合、主人公に設定が付与され「白紙」の部分が少なくなっていること、そのような変化にもかかわらずむしろ評価が上がった(もっと厳密に言えば拒絶されなかった)ことを指摘しました。それによって、想像の余地が多ければ多いほどプレイヤーの評価が高くなる(つまりそれを歓迎する)とは限らないことをある程度は示せたと思います。


ところで、そこでは君が望む永遠と同じ恋愛ADV(さらに言えばエロゲー)の枠で話したわけですが、プレイヤー、そして製作者側のゲーム体験を考慮に入れるなら、一般のゲームにおいて主人公がどのように描かれているかに触れないのは視野が狭い、あるいはエロゲーを妙に特権化(笑)しているとして批判を受けるだろうと思われます。そこで、代表的な例で考えてみましょう。


「白紙」の主人公と言えば、おそらくドラクエシリーズを連想する方も多いのではないでしょうか。選択肢が常に「はい」「いいえ」しかなく主人公が(基本的には)しゃべらない、という描き方はドラクエ1~8まで共通しています。しかも興味深いのは、主人公=勇者と考えた場合、その範囲・定義がどんどん曖昧になっていることで、具体的には

ドラクエ1.2.3=ロトの「血」統
4.5=「天空人」(この定義自体が曖昧)
6.7=ほとんど説明されず(誰でもなれる)
ドラクエ8=勇者というカテゴリー自体が成立していない

となっています。この見方で問題がなkれば、主人公の定義(設定)がより細かくなる同級生⇒同級生2の流れとは逆行していると言えるでしょう。


もっとも、またドラクエ5を主人公=勇者の図式で考えていいのか?という疑問が出ると思います。それに、ドラクエ5の主人公がシリーズ中最も背景がきちんと描かれている(何せ幼年期から始まるわけですから)点も、勇者を軸にした分析ではうまく掬いきれないと批判も出てくるでしょう。もっとも、スーファミ版ドラクエ3の性格システムとその決め方もまた、議論の余地がありそうです。さらに、「主人公=操作可能なキャラ」というふうに考えた場合には、ドラクエシリーズと同級生シリーズを同じ基準で計ることはできない上、

ドラクエ1.2=キャラ固定
ドラクエ3=自由
ドラクエ4=キャラ固定
ドラクエ5・6=キャラ固定+モンスター(自由)=ドラクエ3・4のミックス?
ドラクエ7=キャラ固定(ドラクエ4への回帰)
ドラクエ8=キャラ固定

というように、一本道ではなく複雑な流れが見てとれます。おそらくこれはプレイヤーの反応などを考慮した結果の試行錯誤だとは思うのですが、まあ少なくとも、同級生~下級生のように明快な結論を出すのは今のところできなそうです。


ところで、設定ということに関して言えば、選択肢で設定そのものやジャンルも変わる「弟切草」「かまいたちの夜」などがどうプレイヤーたちに受容されたのかも気になるところではあります(まあさすがに主人公の設定が変わる選択肢はほとんどなかったように思いますが…)。


とまあこのように話を広げだすと際限がありませんが、ちょっと話がまとまりそうもないので(笑)、とりあえず今回はそういう視点でシリーズものを分析するとどうなるか、という話で終わりたいと思います。では。
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