ソウルイーター~メタ・エンターテイメント~

2011-10-29 17:49:15 | レビュー系

ソウルイーターを見終わって四カ月最後の締めが決まらねえとか何だかんだ言いつつここまで来てしまった。いつか考える時間も出るだろうと思っていたが、忙しさは増すばかりで待っていても埒が明かない感じがしたので、ぶつ切りにして感想を掲載していくことにした次第だ。

 

まず始めに自分の評価をはっきりさせておくと、ソウルイーターは非常にすぐれた作品であると思う。と同時に、私はこの作品のよい評者でないとも考えている。その理由はいずれ述べるが、この作品をすすめてくれた「しおみ」という人物の評価を参考に記すと、「interestingというよりfunny」。これは「モノノ怪」という作品との対比で語られている点に注意する必要はあるが、もし「funny」をエンターテイメントと同じ意味で使っているのなら、この評価は概ね適切だと思う(ちなみにここで言うエンターテイメントとは、受け手の価値観を揺さぶったり侵食することを目的としない作品、ぐらいの意味)。

 

とはいえ、その評価に完全に納得できるわけではない。というのは、エンターテイメントというものを極めて意識的に成立していることが容易に見抜ける構造になっており(cf.エクスカリバー、メデューサの扱い)、また「母性」の扱い方や不安ベースの世界観への否定的態度といった単なる「娯楽」を超える要素が散見されるからだ(アシュラの態度と狂気を併せ呑むソウルの態度を比較してみるとよい。これは単に「信じれば叶う」的なものとは異なる)。しかもそれらは個別的なものではなく、「ノイズの排除というものがどのように行われるか」という点で通じており、結果として良質なエンターテイメントでありながら同時にその構造を浮き彫りにする形で批判的な性質も併せ持つ、という希有な作品になっているのである。

 

まあ詳しくは別の機会に譲るとして。
しおみはこの作品を楽しめるかどうかを「エクスカリバーを受け入れられるかどうか」だと述べたが、正直これは的外れな意見だと思う(まあかなり茶化した言い方であったがw)。私なら、間違いなく「メデューサを憎いと思えるかどうか」と答えるだろう。

 

では次回、そのことを念頭に置いて話を進めていきたい。


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