君が望む永遠:虚構への埋没・感情への埋没

2010-01-03 18:22:57 | 君が望む永遠
傑作PCゲームあれやこれや」で触れた君が望む永遠の草稿第一弾。かなりの嫌味を含んでいるが、これが当時の実感に近い。最後の方では、分量が多くなりすぎ、かつ予定している「最も影響を受けたPCゲーム」で使えると思ったため打ち切った次第。

なお、最後の注(※以下)で下級生2を取り上げているが、こちらは君望と違って反発がどの程度一般的で、どのような内容なのか詳細を知らないし、何より自分自身がそのシナリオをプレイしていないという事情がある。それゆえ、あくまで試論にすぎないことをお断りしておく。


【君が望む永遠】
すでに書いてはいるが、君望のレビューを書くようになった最大の動機づけは「怒り」だった。ひぐらしをプレイして分析の視点が大きく変化した後、理由は覚えていないが君望のDVD版を購入・プレイし、相変わらず孝之に怒りを覚えつつも(特にサブキャラシナリオ)、今まであやふやだった行動・言動の理由付けがかなり理解できるようになったし、演出の意図も以前より明確に見えてきた。そこでプレイ後に自分の見落としているような視点がないかと色々なレビューを読んでみると…何じゃこりゃ?「孝之が不快でしょうがない」とだけ垂れ流す失語…げふんげふん、貧しい言葉の垂れ流しに終始する残念なものばかり。しかも、普段は世界設定とかを饒舌に語るそれなりに知識のありそうな人のレビューまで同じ有様なのを見て、正直まず理解できなかった。本編であれだけ具体的に行動原理とか示しているんだから、「~だから…はありえないだろ!」とかいくらでも具体的な批判はできるはず。例えば「茜妊娠エンド」であれば、「本当に遥の容態を気遣うならあんな無茶するのはおかしいだろ(アニメ版で傷を見て思いとどまってるのは批判の反映?)」「いくら主人公がヘコんでみせても完全な自業自得」「まさにオナニー・自己憐憫の典型」とかいくらでも言えるわけですよ。にもかかわらず、そんな具体性のある発言は皆無であり、そうかといって「あの妊娠の話は重かった」とか「(自分がまたしてもやってしまったという意味も含めて)三年前の再来に思わず暗くなった」という同情的なものがあるわけでもない。そんな体たらくでは、「ヘタレ」という苛立ちをテコに「なぜ俺はこんなにも苛立つのだろう。それを成立せしめているのは何か?」とか「なぜこんなにイライラさせるヤツを主人公にしやがったんだろう。今までのような『白紙の主人公』をなぜ採用しなかったんだろう」といった、感情を喚起させる枠組みであるとか、あるいは演出などを含むシステムへの問いは出てくるはずもない(そういう精神構造を、「感情への埋没」と呼べるだろう。こう考えると、事は「エロゲープレイヤー」に限定される問題では全くない)w


にしても、この発言の貧しさは、「誤読」とか「ネタばれ回避」なんていうレベルじゃねーぞ。この人たちって一体プレイ時に何を見ていたのかしらん?そう思ったんで、初期のレビューは徹底的に具体例を挙げつつ「これが~という行動原理に繋がって、だから…の場面での行動は―」などと話す方向性を取っていた。が、「何でこんなちゃんとプレイしてれば誰でもわかることを解説してんのかなあ」という俺自身の苛立ちと、おそらく相手方としては「そんなことわかった上でヘタレって言ってるんだよ!」という根本的なディスコミュニケーションがあり(てゆうかそもそも多少解説した程度で理解してもらえるなら、あんな失語…もとい貧しい言葉を連ねたレビューなんか書かないわけでw)、おそらくそれが積み重なるにつれて「解説してるお前こそが孝之と同一化・埋没して批判にいきり立ってんじゃね?」と見なされるに到ったのではないかと推測している(実際、昔の君望のレビューの後って必ずアクセス数が下がったのでw)。


まあそんなこんなで具体例をもって「解説」しても効果が無いと痛感するようになり、色々搦め手を考えた結果が、選択したプレイヤーの責任を問うたり主人公への苛立ちをシステム的なものに還元する一連の対話篇だったわけ。そこで得られたサブキャラシナリオに関する違和感をつきつめて完成したのが、サブキャラシナリオの批判性。ゲームのキャラクターの特徴をもう一度確認しながら。


これらの目的は、恋愛ADVやキャラといったプレイヤーが拠って立つ枠組みそのものを相対化すること(「恋愛ADVの主人公が鈍感である理由」、「鳴海孝之への反感とキャラへの埋没」など)。要するに、具体例という形で枠組みの中でいくらしゃべっても無意味。それを成立させる舞台をひっくり返してやる必要があるかなと(ネタばれだが、「ひぐらし賽殺し編再考~詩と本編の齟齬が孕む毒~」などが関連する)。



下級生2で二股キャラがおり、それに拒絶反応を示したプレイヤーも少なくないと聞く。その反応は予想できるものであり、全否定しようとは思わない(当たり前の話だが、拒絶反応を示すことそのものは自由なので)。しかし、拒絶反応を示す人は、いったい自分がエロゲーをプレイしていることについてどのように考えているのか、興味深いところである。例えば、色々な誤解をおそれずに言うが、恋愛ADVをプレイするということは、あるキャラを選択する行為を繰り返すことだが、別の言い方をすれば(好意を持っている者も含めて)あるキャラを選ばない行為を何度も繰り返することでもある。そういった所業はどのように理解されているのだろうか?あるいは同時攻略プレイというのは要するに疑似二股、三股なわけだけど、それって二股キャラを批判したロジックとは抵触しないのだろうか?え、それをあからさまに見せるからその二股キャラは不快であり、見せないようにすればいいんだって?くくく。そりゃわからんではないけど、極悪人てのは最後の最後まで「いい人」だって騙し続けられるやつのことだぜえ。おっと横道にそれた、とりあえず、ハーレムエンドについてどう思いますか?って聞きたいところだね。ふむ、相手が納得してりゃそれでいいと。そいだったらその二股キャラに納得できないからもう二度と攻略しねえ、ちう反応はダメなんかいねえ。あ、それとも攻略した時点ですでに不快感罵痢罵痢ですか。それは失礼しゃーしたw結局、単に自分勝手なだけなんじゃないの?俺は好き勝手やるけどテメーは貞淑であれって?いやいや、これは笑うしかないほどの独善性だよ。ん?所詮虚構じゃんって?語るに落ちたね。だったらその「所詮虚構」の産物に拒絶反応なんて示さなくてもいいじゃん。「ああこれ気持ちよくなれねーわー」とばかりに「下級生2」ってラベルのついたアンプル(笑)を捨てればいいだけよ。

要するにこういうことでしょ。俺は気持ち良くなりたいから恋愛ADVやってんのに、それを邪魔するキャラを入れるなよ、と。せめてそういう発言ができるくらいは自分の拒絶反応の拠って立つところを理解しなよ。一応「大人」なんだからさあ(まあ俺15歳からエロゲーやってますがね)w

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1 コメント

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Unknown (名無し)
2013-04-19 03:34:19
下級生2はなまじ安牌に見えたキャラだったからこそ波乱があった訳で
一概に処女厨が暴れただけとは言えませんが
和姦主義者が安牌だと選んだら鬼畜ものだったって話なら認識の甘さだけで事は済みますがねぇ
触手が苦手なのにジブリールを絵だけで買った感覚
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