ひぐらし:シナリオ紹介文の変更に関して

2008-02-08 02:03:10 | ひぐらし
ひぐらしカケラ遊びの綿流し編終了。とはいえ、「綿流し再考」1でほとんど分析を書きつくしてしまった感もあり、特に発見はない。そこで今回は、ちょっと趣向を変えて綿編・祟編のシナリオ紹介文の変更について述べたい。


盥編・暇編+αの記事で、赤坂と大石が料亭で話す感動的なシーンにもミスリードを忍び込ませているところがうまい、と書いた。これとの関連で、目明し編発売後の「ひぐらしのなかせ方」(製作者インタビュー)に興味深い話が載っているので、ちょっと長いが引用してみよう。

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誰が見ても双子の娘がどこかで入れ替わっているから、1/2の確率で犯人が当たる。魅音が犯人/詩音が犯人、どちらかで当たりです。ところが、プレイした方々…登録して頂くと無料でソフトをお送りする、その代わり感想を送って下さい、という感じのテストプレイヤーの方が当時50人から100人くらいいらっしゃったんですが、その方たちはほとんど推理を放棄してしまった。
誰も勘ぐってくれなかった。「魅音かわいそうですね」で終わってしまって、私は「あれー?」と思っちゃって(汗)ある意味ショックを受けたんですよ。私としては「どこから入れ替わったんだろう」とか…例えば「綿流し編」の中だけの、あの祭具殿の侵犯が村の懲罰対象になっている設定が出たら、お魎が殺されているのは明らかに筋違いなんですよ。といった部分があるにも関わらず、誰もお魎の死を疑わしく思ってくれない。私の方から「お魎死んでますよね」と振ったくらいで。ある意味お疲れさま会でのミスリードが効きすぎちゃって、みんなそれで納得してしまった。だから今のシナリオセレクト画面で、4つ並んでいる形式は「祟殺し編」以降のスタイルなんですが、その中で「非常に悪質」の一文を入れることにしました。 (以上ひぐらし礼特典バージョンの13,14Pより)
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魅音が罪を告白するシーン自体がミスリードといったあたりは確かに「悪質」かもしれないが、(おそらく)それを元に事件をもう一度考えもせず、ゆえにおかしな点が出てくることにも気付かず、「魅音がかわいそう」という感想で終りっていうのは…上記のテストプレイヤー達がどれほど真剣に推理したかという問題はあるにせよ、彼らの思考停止っぷりには呆れる他ない(思考というよりもはや「痴考」だ)。こういう輩ほど、共感などと言って己が埋没や「痴考」を正当化するのではないか?まあそれは言いすぎにしても、目の前のニュースなどにかわいそうといった感想を持つだけでわかった気になり、次の刺激がくれば前の感情や事件を忘れ去る特技は持ってそうである。They are idiocy itself!


さて、引用文中にある通り、各シナリオの紹介文は最初から現行のものだったわけではなく、鬼・綿編収録バージョン(二編ver)から鬼~祟編バージョン(三編ver)に移行する段階で、ライトな雰囲気からやや硬くて挑戦的な文章へと大幅に変更されている(元綿流し編シナリオの紹介文参照)。さらにもう一度手が加えられており、祟殺し編の紹介文が三編verから四編verになったとき、祟編の「難易度は高いですが、今のあなたなら高い内に入りますまい」という紹介文が「難易度は最悪。多分あなたは推理にすら至りますまい」へと変更されている(引用文中にある追加もおそらくこの時のもの)。これらは、作者が最初どのような反応をプレイヤーに期待し、かつそれがどのように修正されていったかを物語っており、非常に興味深い(※)。



すでに述べた通り、ひぐらしの初期バージョンではFredericaの詩まで異なっている「ひぐらし初期の方向性:ホラーと『終末』」も参照。また、「レナ=良い子」といったレッテル貼りなども想起したい。

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