Sugarのちょっとお寄りなさいよ

ジャズ、クラシック、オーディオ、そしてコーヒーの話題をお届け

キープニュース・コレクションはやっぱり凄いぞ!!

2009年01月09日 | Jazz
昨年の秋口頃だったでしょうか。ジャズ評論家である成田正さんから『「キープニュース・コレクション」は凄いよ、これは買いだね』と伺っておりました。しかしながら、手持ちの盤としっかりダブルわけですから、いい音になっているというのは理解していても、なかなか購入に踏み切れませんでした。もちろんいつかは、購入するぞ!と意気込んいたのは言うまでもありません。
しかし昨日遂に購入いたしました。それも5枚纏めて買うと1枚が1000円という素晴らしいバーゲンを石丸電気(秋葉原)がやっていたので、家にあるCDと完璧にダブルのを覚悟で購入いたしました。
1)ポートレイト・イン・ジャズ/ビル・エバンス
2)エブリバディ・ディグス・ビル・エバンス
3)チェット/チェット・ベーカー
4)ワーク・ソング/ナット・アダレイ
5)フライ・ウィズ・ザ・ウィンド/マッコイ・タイナー

  
 
この5枚は全てアナログ盤(国内)とCD盤(初期&20ビットK2)で持っている盤です。流石にアナログは聴かなくなりましたので比較していませんが、どの盤も聴いて魂消ました。素晴らしく音がいいです。ではなぜ?との疑問も頭を擡げてくるのですが・・・。
どうも国内で出ているCDは、マスターと称して実際は、国内にあるマスターの使い回しによって製作されている盤が多いのが実情(原因)のような気がします。またファンタジー本社でデジタルトランスファーしてきたものでも、その時期が昔(2000年前と後もある)に行っていたものをデジタルマスターとしている場合も、当然ながら当時のデジタル機器とここ数年のデジタル機器とのクォリティーの差があり、マスタリングの仕上がりに今回の音の違いが如実に出ているような気がします。
まずはエバンスの2枚ですが、『ポートレイト』は元テープ収録の「キーン」音は健在です(!)。そして強音部の歪みも健在。でも10曲目以降のモノラルはしっかり楽しめます。それにしてもモノラル・テイクの元テープ(オリジナル)が「ある」っていうのが謎です。こうなるとインコンプリートのアウトテイクなんて、ステレオ、モノ問わずに大量にあるのではないかと思うのはわたしだけ?
『エブリバディ』は、フィリー・ジョーが実にステレオフォニックに響いて遠近感が数段良くなっています。本当に驚きました。素晴らしいです。うちにあるCDは一体何?って感じです。同じように『チェット』『ワーク・ソング』も歪み感が物凄く減っています。音が荒れていないんですよ。そして最も驚いたのが『フライ・ウィズ』です。まぁ、録音も新しいので当然ですが、以前のCDでは混沌と聴こえていた音がしっかりリファインされて各楽器ともに見通しのいい音になっています。管楽器群の分離が秀逸です。ただし、元々の低域不足(コブハムのバスドラが「パタパタ」だったり、ベースに厚みがない)は相変わらずです(もう少しイコライズしても罰は当たらないと思うのですが)。
というわけで、この3連休には再び散財しに行こうかと思います。しかし何を買おうかなぁ、ウエスですかねぇ。

期待以上の仕上がりに拍手:クリスチャン・ジェイコブの新作を聴く

2008年04月23日 | Jazz
それにしても素晴らしいアルバムに仕上がっている。音もそして音楽そのものもだ。昨年10月に来日したピアニスト、クリスチャン・ジェイコブが東京TUCで行ったライブの、まさに“初”ライブ作である『ライブ・イン・ジャパン』のこと。
このライブの売りは、以前にも書いたのだが、ライブ料金+αで、当日のライブ盤が送付されてくるというシステム。これは、音楽好き、オーディオ好きには堪らないやり方で、ライブ料金と実際に手にするCDの値段を足し算すると驚くほど「超格安」なのである。
こういうコンセプトでライブ盤を手にするのは、色々な意味でお楽しみが多い。実際のライブと出来上がった盤との演奏や音の違いが楽しめるのだから、本当にいいシステムだと思う。
さて、では実際どうなのかなのだが、まずは大きく期待を上回る出来であると断言してしまおう。正直に言えば、そんなに期待していなかったことも事実だ。演奏自体は素晴らしかった。しかし会場で聴いた音は、お世辞にも「最高」ではなかったのだ。ゆえに演奏の良さもこのCDに収録されているものの8割ぐらいにしか感じ取れなかった。
ところがである。これがとてもいいのだ。4曲目から7曲目の日本の四季4部作の出来がライブ以上にとてもいい。リハーモナイズ、あるいは編曲の勝利といっていいもので、クリスチャンのミュージシャンとしてのクレバーな部分が開花している仕上がりだ。通常この手の日本の曲をアレンジすると、なぜか中国的なニュアンスが大溢するのが、ここでの編曲は、原曲の持つ滋味深い旋律を殺さないで新たな高みに昇華しているところが、まさに聴き手(日本人)の心を打つ。この4曲はメンバー間で事前に相当揉んで来たと思われる。
さて、1曲目のこのバンドの十八番である<トゥー・クロース・フォー・コンフォート>からこのトリオは快調だ。この仕掛けタップリのこの曲を何事もないかのように演奏しきること自体が驚異だが、聴き手の僕らを驚かせる1曲でもある。ピアノ・ソロでもある8曲目の<ステート・オブ・マインド>は、限りなく美しいクリスチャンのピアノをじっくり堪能出来るし11曲目のボーナス曲である<マディーズ・スカイズ>まで、緊張感とリラクゼーションの狭間で聴き手をトランス状態にしてくれる力作だ。うーん、素晴らしい。それにしてもクリスチャンのピアノ奏者としての力量は凄い。超絶技巧であるプレイをしているんだけれど、こうすんなりプレイされるとその技巧に全く気がつかないです。ハイ。
  
さて、音だ。録音は常磐さんで、あの機器(失礼)から録られた音とは思えない素晴らしさ。特にあの“ヤマハ”のピアノからこの音が聴けるとは思いもよらなかったので、これはこの作品の大きなアドバンテージだ。ベースもドラムスもライブで聴いた時の音そのもので、たぶんライブを聴いた方なら十二分にこの音に納得のいくものかと思う。どちらのマイクもその楽器以外の音をやや拾っているのだが・・・。
 
実はマスタリングを米国やるよ!と言っていた意味もこの辺にあると僕は思っている。ミキシングを担当したのは横倉裕である。昔からの(80年代以降のフュージョン好きの)ファンなら、「え?もしかしてあのキーボード、アレンジャーの?」というはず。そのとおりである。近年はミキシング・エンジニアとしての方が忙しい。クリスチャンとの付き合いは、たぶんフローラ・プリム・バンド時代からだと思う。なおクリスチャンの『スタイン&マイン』でも彼が担当していたような記憶がある。いずれにしてもエンジニア、ミュージシャン、ミキシング、マスタリングの勝利と言うべき作品として、広くジャズ・ファンの方にオススメしたいピアノ・トリオの秀作だ。

マスタリングを終えたKUNIZO BIG BANDのお楽しみはこれからだ!

2008年01月25日 | Jazz
19日には、最終マスタリングを終えたばかりのCD【Kunizoビッグ・バンドの新作『Introducing The KUNIZO BIG BAND』(TJC-001)】を、何と御茶ノ水の『オーディオ・ユニオン』の3階で聴いてきた。ほんのちょい聴きだったけれど、思わずニヤニヤしてしまいそうな素晴らしい出来である。
こりゃ、凄い、とても素晴らしい出来だ。なんと言っても各楽器のリアリティが格段に素晴らしい。特にサックス・セクションのハーモニーは抜群である。思わずウットリ聞き惚れてしまうような曲が続いていく。どの楽器もリアルだが、特にバリトン・サックスのソノリティは本当に素晴らしい。分厚いハーモニーのなかでも一頭地ヌケたその音のテイストに脱帽である。その他にもトロンボーン群のチームワークにも驚かされるだろう。ただしバス・トロンボーンの音がまだ遠い。もう一歩前へという感じだ(この収録をご覧になった方には分かりますね。ワン・ポイント録音だからなのです)。
残念ながらトランペット・セクションの音のヌケがもう少しいいとメリハリが付いて「キラキラ感」が横溢する音となる筈ですが、やはり着座のままの演奏が裏目に出てしまったかも。トランペット群のブリリアントな咆哮というところまでは、残念ながら至っていません。これは、小さな瑕瑾ですが残念ではありますね。
このビッグ・バンドは、以前も書きましたが強者揃いのメンバーを擁しています。また本物のビッグ・バンドをPA無しで聴く機会なんていうのも、滅多にないことだったわけで、個人的にも注目度はとても高いコンサートでした。そして出来上がったCDは巷間に数多存在するビッグ・バンド盤に一歩もひけを取らないどころか、それらの名盤を遙かに凌ぐ、名録音盤に仕上がっています。素晴らしい演奏と録音が味わえる名盤誕生を素直に喜びたいと思う。
ちなみにオーディオ好きの方は、この盤は、まさに音場情報の宝庫といっていい盤なので、座右の一枚として強くオススメしたい。
なお今月29日には、再び杉並公会堂小ホールで、このバンドのレコーディング及びコンサートが予定されている。滅多に体験出来ない録音風景も再び公開されるし、コンサートももちろん楽しめるという一石二鳥の美味しい体験が出来る。こちらも「レコーディングなんて見たことない」という方には、必見必聴間違いなし。
ちなみに今回聴いたのはマスタリングを終えた音源のCD-R焼きの盤。従って実際の生録された音源を100とするとこのCD-Rは、情報量から言っても2割方は落ちている。29日に引き渡される本盤は、果たしてどの位に仕上がっているか、お楽しみはこれからだ。

18日杉並公会堂でビッグ・バンド・ライブ録音:Kunizo Big Band

2007年12月06日 | Jazz
MA Recordingsで何が一番好きな盤なの? と問われたら、僕は間違いなく『Contrasts+Parallels/Kalman Olah Trio』と答えることにしている。僕はこの盤をジャズだと思って聴いていたのだが、ところがジャズ・ファンにはあまり評判がよろしくないようだ。まぁ「似而非ジャズ」というように聴こえるのだろう。しかしこの盤で聴けるピアノの音は、いいチューニングのピアノを生で聴く感覚に非常に近いものなのだ。この部分を聴くだけでもこの盤の価値は充分にあると思っている。まぁ確かに曲素材がゴールドベルクだからなぁ・・・。
さて、そんなMA Recordingsタッドがなんとビッグ・バンドの音を録るというではないですか。タッド自身も「無謀なのだ!」と言っておりましたが、それはある種の謙遜が入った言葉と僕は受け取りました。ましてや木幡Kunizo光邦さんのビッグ・バンドによる演奏ということで間違いなく面白い音が録れるはず。そんなコンサート・ライブが18日(火)、東京・杉並公会堂小ホールで行われる予定です。
  
このコンサートの詳細はここを見ていただくとして、どういうバンド配置で、どういうマイク・セッティングをして、どう仕上げて録るのか。とても興味深いレコーディングではある。彼の使っているマイクはワン・ポイント、ましてや無指向性の物を使用しているので、マイクを中心にして同心円状にメンバーを配置しての録音だって考えられる。まぁ、ライブなので、無茶なセッティングをすることは出来ないだろうけれど、こんなことまで夢想させてくれるレコーディングなんていうのも、そう多くはないだろう。そしてさらにこのレコーディングは一般公開され、そのプロダクトも手に入れることが出来る。そう前回ピアニストのクリスチャン・ジェイコブのTUCでのライブと同じ趣向だ。生の体験をした後に、ライブ盤で当夜の音の確認が出来るという、一粒で二度美味しい、まさにグリコのアーモンド・キャラメル状態(キャー、古い)になれるわけです。
当日は午後からリハがあります。これも見たいなぁと言う方、メールまたはこの記事にレスをください。手配いたしますので。
なお、22日には、オーディオユニオン御茶ノ水店でPSDのT3スピーカーの試聴会があるようです。もしかしたら、この時の演奏のR焼きの音が聴けたりして。どうなのかなぁ。期待しております。

芳醇なホールトーンが楽しめたゴンサロのソロ・コンサート

2007年11月24日 | Jazz
本日24日、キューバ出身のピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバのソロ・コンサートに行って参りました。
会場であるすみだトリフォニー・ホールは初めて訪れたホールだったのですが、これが素晴らしく響きが良いホールでした\(^_^)/。内部デザインも実に斬新です。行った方ならご理解いただけると思うのですが、左右の壁の意匠が後ろから舞台に向かって斜めにデザインされているわけで、ほとんど舞台が沈み込んでいるように見えるというのが実に新鮮。サイズも大ホールというより、中ホールという感じの、いい響きがしっかり楽しめるホールでございました。
さて、当のゴンサロのソロは、正直に言って良く分からないというのが実感です。いわゆる<ベサメムーチョ><ヒアズ・ザット・レイニー・デイ>ともう一曲がスタンダード(と分かる)曲で(1部、2部全体でも)、後は彼のソロ作品である『ベサメ・ムーチョ』からと思える曲や、ほとんどインプロビゼーションかと思えるソロ(すべて短めの曲)でしたので、ほとんど夢見心地状態で聴いておりました。←単純に寝ていたとの噂もありますが・・・。
ゴンサロは、ヤマハのバックアップを受けているピアニスト。ゆえに当然ピアノは、ヤマハのコンサート・グランドを使用していました。響きのいい、そして程度のいい、ウェル・チューニングなピアノでしたので、素晴らしいピアノの音が堪能出来ました。しかしながらチック・コリア、ゴンサロ、小曽根真と書けば、そう、彼らはヤマハ・ミュージシャンでありまして、彼らのCDを聴いたことがある方なら、盤の中で聴こえるあのヤマハ・ピアノ・トーンがしっかり聴こえていました。ホーム・ポジションの40鍵前後は、非常に張りがあって艶もある音なのですが、低弦側はしっかり唸ってくれるものの、いわゆる倍音が巧く乗っていない感じがしましたし、高域側の鍵盤の音は、線が細く、繊細な音色ではありますがヌケがイマイチでした。ゆえに全体的な音としては豊饒な音と言うところまでは残念ながら至っていません。そういう意味では、杉並公会堂にあるスタインウェイとベーゼンドルファーは、ホール持ちのピアノとしては、都内随一なのかと。
さて、第二部もほぼ第1部の感じで推移したので割愛。ソロだけで、それも知っている曲がないという状態の中で全2時間弱のソロを聴くというのは、私にはちょっと肉体的にも精神的にも辛いものがありました。たぶん7割強の方がゴンサロのソロ・プレイを理解出来なかったかと思います。私も、ゴンサロの調子が良いのか、悪いのか、さっぱり判らなかったですし。それにしても、ホールの響きは秀逸です。ここでクラシックが聴いてみたいと心底思いましたから。
さて、今日は、いわゆる硬派系の評論家の方が大挙して来られていたのが印象的でした。悠さん、青木さん、本当にお久しぶりでした。EMIの行方社長にも久しぶりにお会いして優しい言葉をかけていただいたりしてとても嬉しかったです。というわけで、響きのいいホールでのピアノ・ソロ。とてもいい耳の肥やし(体験)になったコンサートでございました。

天女が舞い降りた夜:Swedish Beauty Live!

2007年11月16日 | Jazz
11月15日の夜は、密かに心待ちしていたスウェディッシュ・ビューティーのコンサートへ行って参りました。拙ブログでもすでにご紹介しているリーサマルガリータ・ベングトソンという美女2人のジョイント・ライブです。
リーサがオープナーを務め、全10曲を一気に熱唱。うーーん素晴らしい。バックは、パーマネントではないのですが、自己バンドということで、各曲ともにとてもスムーズな進行でとても楽しめました。演目はデビュー作『エンブレイサブル』からのものが多いのは当然なのですが、1曲目は、CDにも入っていない<ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド>。この曲ですっかり心臓を射抜かれてしまいましたねぇ。
まぁ、歌を聴く前にすでにその美貌にノックアウトされてしまいましたけれど。スタイルは抜群です。プロフィールにはブロンドと書かれていましたが、当日はプラチナブロンドだったので、もしかするとウィッグかもしれません。コスチュームも男性陣を一気に悩殺するもので、そのスレンダーな容姿にまさにジャスト・フィット。黒のタイトなドレス、当然のように前のVゾーンは、おへその上まで切れ込んでおり、背中もざっくりと全開というもの。モデル&女優(渋谷パルコ秋のキャンペーンのイメージアーティストですし、映画にもちょい役を含めて出演していますが、スティーブン・セガール主演の新作映画「沈黙の激突」では助演女優)ですのでそのスタイル(ボディ・ライン)を拝見し、当方はエロおやじモード全開と相成りました。
さて、ささやくような声でリーサが歌うのはCD通りなのですが、実は声を張って歌うと容姿からは想像出来ないくらいパワーもパンチもある声がしておりました。ですので古いジャズのスタンダードをささやくように歌うというよりも、もう少しポップなロック系の歌でも十二分にこなせる歌手ではないかと思いました。単なるカワイ子ちゃん歌手でないというのは、今回のコンサートを通じてしっかり感じましたから。
さて第2部は、待望のマルガリータが登場。新作『アイム・オールド・ファッションド』で私は、完全に彼女の虜になってしまった感があるので、彼女のライブが聴けるなんて本当に夢のよう。これまた1曲目はタイトル・チューンから始めたわけですが、まさにCDと同じに聴こえたわけですから、大感動です。彼女のブレスが聴こえるだけで、こちらもハーハーとなりました。
歌は巧いのは、当然です。芸歴も長いですしね。非常に声域も広く、ファルセット領域までスムーズに吹き上がるのは、いいエンジン(体)を持っているからでしょう。テクニックも最高でした。新作からの曲を中心に全10曲をまさに一気に聴かせてくれました。今回のライブ・パフォーマンスは、マルガリータのジャズ・シンガーとしての良さをどの曲からも感じさせてくれました。流石です。どの曲も良かったのですが、CDにも入っている母国語で歌う<Allt Under Himelens Faste>は、CD以上の出来映えにウットリ。スウェーデンの空気を会場にもたらしてくれていました。同様に<ブルースェット>もスウェーデン語で歌ってくれたのがとても印象に残っています。いずれにしても、もっと聴いていたいと思いましたから本物です。とてもいいコンサートではありました。
それにしても「慎ましやかな淑女」とはマルガリータのことを指す言葉かと思うくらいに彼女もまた超美人でした。大人の色気満載という感じです。シックなドレス(これまた背中が完全オープン)を身に纏った彼女はまさにステージ映えするものでしたから。
さて、アンコールは、リーサとマルガリータの競演で<Pennies from Heaven/I Can't Give You Anything But Love>を両者が同時に歌うという趣向。これはいいアイデアです(コード進行が同じ)。この美女2人がステージに並ぶと本当に艶やかです。私の目には、スウェーデンのお花畑にいるが如しでした。そうそう、バックの両バンドは、流石に名手揃いで、特にリーサのバンドのトランペッター、ヨハン・セッテリンドとピアノのベングト・リングクイスト、そしてマルガリータのバンドのペーター・アスプランドは、リーダー・アルバムをすぐにも聴いてみたいと思わせるプレイヤーでした。特に後者のペーターは、聴いていて鳥肌が立つほど巧い奏者で、数枚のリーダー作もあるというので要チェックかと思います。
まぁ、ここまでがコンサートなわけなのですが、コンサート後にスパイス・オブ・ライフの社長から、控え室に来ないかとのお誘いが。もちろん「イエス」決まっているじゃないですか。評論家の岩浪、岡崎、成田先生とともに楽屋へ急行いたしました。
いやはや近くで見る美女二人は、ステージとはひと味もふた味も違う素晴らしさ。間違いなく両人とも本当に「美人」です。お高くとまっているんじゃないかと思ったリーサがとても社交的で優しい子だったのが一番の収穫でした。素晴らしいコンサート、そして楽屋まで連れて行っていただいたN村さんに感謝。多謝です。
 
なお、当夜のライブは12月17日~20日のJ-WAVE(24:00)で聴くことができますので、要チェック。特にWilson使いの方々は必聴ですよ。ハイ。

ヘビー・ローテーションのピアノ・トリオ三題

2007年11月03日 | Jazz
キース・ジャレットの『マイ・フーリッシュ・ハート』(ECM)とイリアーヌの『サムシング・フォー・ビル・エバンス』(somethin'else)、そしてチック・コリアの『ドクター・ジョー』(Universal)というのが、このところ我が家でのヘビー・ローテーションとなっているピアノ・トリオ三題だ。聴いていて、とても気持ちがいい作品群で、音もとても興味深い仕上がりとなっている。
まずは、キース。なんといっても2001年のモントルー・ジャズ祭の音源ということで、その日のコンサートがしっかりと収められているのがとてもいい。曲順がよく考えられていて、聞き飽きません。その曲順なのだが、僕の推測では演る曲(板にかける曲:順不同)は最初から決まっていたはず。しかし演奏する曲順は決まっていないというのがいつもの通りだったと思う。また会場はモントルーで一番大きなホールであるストラビンスキー・オーディトリアムで収録されている。しかしながら拍手の音は、抑えめだ。前の方に座っている人達の拍手しか入っていないような音と言えばいいだろうか。また過去のスタンダーズのライブ作とは違って、かなりオンな音作りがジャズ・ファンの琴線を刺激してくれる筈。エンジニアはMartin Pearson。ヨーロッパのロック系のエンジニアで、モントルーお抱えエンジニアの一人だ。なおアルバムのインナーにもまるで書かれていないのだが、アドバンス・シートを見るとやはりヤン・エリック・コンシャウスがしっかりマスタリング・エンジニアを務めている。というわけでしっかりECMの音にはなっているのでご安心いただきたい。
成田さんのオーディオ的チェック曲は、1曲目の<フォア>だが、私は2曲目の表題曲である<マイ・フーリッシュ・ハート>。ルバートして弾き始めるキースのソロでまずは定位をチェック。それにしてもいいスタインウェイ(ハンブルグかな)を使ってますねぇ。そしてご存じ3度、6度チューニング(通常のピアノは4度、5度チューニングでこの3,6度チューニングをすると音場が広がって、響きと表情が豊かになる)。そしてベースとドラムスがインしてくる瞬間のフェーダーの動きや、各楽器のパースペクティブなど聴き所が満載なのだ。ジャックのバスドラの響きが気持ちよく決まらないと駄目駄目です、ハイ。といいつつ我が家では、ゲイリーのベースに今ひとつインパクトがない。もう少し厚めに鳴ってくれれば満点なんだけれど・・・。
さて、イリアーヌである。久々に彼女のピアノを聴いた。素晴らしい。ましてやエバンス集である。私的には言うこと無しの満点かな。各曲の演奏時間が短めというのも、言いたいことを言い切って終わるという潔さがあっていい。もちろんイリアーヌのボーカルも素敵であります。それにしても某ミュージシャンからベーシストに夫を変更するっていうのは、ボーカリストには良くあるパターンです。羨ましい限り。で、そのマーク・ジョンソンのベースがエンリコ・ピエラヌンチィなんかとやっている演奏と音的にも別人かと思うくらい違っている。ハラハラドキドキ系で弾いているように感じるのは僕だけでしょうか? (閑話休題)
とにかくエバンス・ファンが聴いても文句がでないであろう素晴らしい出来ではないかと。それにしてもイリアーヌってのは盤によってスタイルが違うというのは驚き。結構器用な人なんだろうなぁ。で、本作の白眉は、2曲目の<サムシング・フォー・ユー>。名曲です。とても素晴らしい出来です。本作は全曲とも聴き飽きません。ボーカル曲と演奏曲が絶妙に配されています。曲順を決めたプロデューサーに拍手です。さて音です。一転キースの音とは違ってスタジオの音。それも結構端正な音作りに好感度大。ピアノの音もとても良くて、きっといいピアノなのでしょう。響きも巧く録れており、難を言えばボーカルのお口が大きいことと、ベースがややオフ気味。そうそうドラムスももう少しヌケたほうが、メリハリが付くような気もしますが、この音作りは嫌いではありません。それにしてもBGMに聴いても良し、集中して聴いても良しという作品には滅多にお目にかかれないので、この盤も必聴&オススメです。
ラストは、チック・コリア。うーん、この人多作で知られますが、それにしてもトリオで5枚をリリースするというのですから、立派。今回は5枚組を購入するのがベストかと思っています。とある筋から聞いた話によれば、ボックスで発売される(単一CDではリリースされない)音源がどうやらベストな演奏だと漏れ聞きました。とはいえチック好きということでやっぱり待てないので、購入しちゃいました。普通のジャズ・ファンは、5枚組をどうぞ。え? 5枚組買うのは普通のジャズ・ファンじゃないって? まぁ、その通りですけれどね。
というわけで、バーニー・カーシュによる録音の1枚なわけですが、今回のスタジオは、東海岸に出来た新しいマッド・ハッター・イースト(フロリダ州クリアウォーター)でのレコーディングです。西のマッド・ハッターより僕はこちらの音の方が、好み。今回の方がピアノの音が伸びやかに聴こえます。まぁ、ヤマハのピアノもたぶん新しいし、機材も新しい。そんなフレッシュな音がこの盤はします。ただし、聴いた感じはこのスタジオ狭いんじゃないかと感じてしまったのですが、いかがでしょうか。
どの曲のプレイもコリア節が満載ですが、僕的には最後の3曲が素晴らしいと思いました。とてもいいバラードかと。いずれにしてもコリア渾身の曲がビッシリ入っているので、まさにコリア集の趣。最初この盤を聴いた時には正直違和感があったわけですが、いまはまさにヘビー・ローテーションのピアノ・トリオ盤となりました。そうそう、今回の5枚というのはこの作品と5枚目の若手とのもの以外は全てライブなんですね。故にどうしても音的にスタジオ収録のものが聴きたかった一枚なわけです。これまたオススメの1枚ですね。

ライブ&レコーディングの現場:クリスチャン・ジェイコブ・トリオ

2007年10月13日 | Jazz
いやはやである。ピアニスト、クリスチャン・ジェイコブのトリオによるクラブ・ギグを2日間、立て続けに聴いてきました。うーーーん、やっぱり惚れ込んだピアニストだけのことはあるなぁ。素晴らしい演奏でした。
聴いたのは10日のJz Bratと12日の東京TUCでのライブだったわけですが、すでに国内数ヵ所をロードして、かつ最終日はライブ・レコーディングが組まれていた関係もあって、10日の演奏と12日の演奏は明らかに力の入れ具合が違っていました。
10日の演奏は、ほとんど12日のリハーサル状態の様に感じたのは私だけでしょうか。12日にやる曲目のほとんどをここで、演繹して見せていましたから。従って10日は、聴いていても分かるくらいに新曲や新アレンジの確認をしつつ曲を進めていったように思います。
10日のJz Bratではピアノの音がとても柔らかく響いていました。これはこのクラブの部屋の特性と思われる部分が大きいかと。が、それ以上にハイソな(死語です)渋谷を意識してか、とても柔らかいリラックスした雰囲気を感じさせてくれる演奏でした。こういうリラクゼーションもとてもいいものかと思います。
さて、注目のトリオ初のライブ盤となる予定の東京TUCでのライブですが、一転して物凄い「力」が入った演奏となっていました。ちょっと大丈夫なの?って感じのプレイも散見されましたが、そこは凡百のアーティストと違って、アレンジャー・ピアニストであるクリスチャンだけに聴き慣れたスタンダードでさえ、素晴らしいアレンジ(パーマネントなトリオだからこそ可能な非常に凝ったもの)で、一気に第一部を終了。感想は「絶句」。凄いですわ。本当に。

この日は第1部と第2部をすべて聴いて来ました。入れ替えなしでしたので、クリスチャンをタップリと堪能させていただきました。それにしても『充実のライブが聴けてましてや当夜のライブCDが送られて来るというシステム』は素晴らしいです。これは今までのCD製作・販売とはひと味もふた味も違う素晴らしい企画かと。
さて第2部は、いわゆるリテイクを中心に構成されました。当然ですね。特に用意してくれた日本の名曲(4曲)は、やはりテイク2ということに。<トゥー・クロース・フォー・コムフォート>などの曲でも再テイクしていたので、やはり第1部の演奏にクリスチャンも不満があったのでしょう。明らかにリテイクした第2部の演奏がいい感じでした。
というわけで、このライブの完パケが実に楽しみではありますが、このライブのマスターをクリスチャンは持ち帰って、向こうのエンジニアがマスタリング(オーサリング)を行うとのこと。どんな音で帰ってくるのか、楽しみは尽きません。
それにしてもこのライブ録音に賭けるクリスチャンの意気込みを見たような第2部でのリテイク。ここに彼のミュージシャン魂をみたようなコンサートでした。また、ビル・エバンスのバンガード・ライブではないですけれど、取り直しが自分の目で見られるというのも、滅多にないチャンスだったかと思います。このレコーディングの現場に立ち会えるチャンスというのは、なかなか無いですから、まさに非常にお得なコンサートであったと思います。録音を担当された常盤さん、お疲れ様でした。また彼を招聘してくださったSSJの三具様に謹んで御礼を申し上げます。
なお、コンプリートな曲目などは、後藤誠さんのBlogを参照願います。後藤さんライナー期待しております。
ただいま入ってきた情報では、来年の4月リリースとのことでした。


ベーシスト、エバーハルト・ウェーバー、旅路の果ての同窓会

2007年10月06日 | Jazz
ステージ・オブ・ア・ロング・ジャーニー』(ECM)と題されたベーシスト、エバーハルト・ウェーバーの新作、これがとてもいいのです。演奏も、音も。もう何度も聴いています。とにかく広大な音場がどう聴こえるのかという部分で、貴方のステレオのグレード、あるいはセッティングが試されてしまうような、そんな作品です。昔から好きなベーシストの一人ではあるのですが、jAZZHOLEさんも書かれているように、彼が弾いているベースは、いわゆるスティック・ベース(Electrobassと呼んでいる)の一種。ゆえにベース固有の胴鳴りというのが皆無です。ですのでこの事実を知らないでこの人の作品を聴くと「かなり変な音を出す」ベーシストだなぁという風に思われてしまうのが実情でしょう。ましてやフレーズなんか、常にウネウネしてますし、ある意味捉えどころのないベーシストの一人なのですから。
そんなウェーバーが自己の芸歴を振り返るような作品(曲)をリリース(65歳の誕生日コンサート)しました。名曲、名演揃いです。この新作は、ヤン・ガルバレク(ss,ts)、ウォルフガング・ダウナー(p)、ライナー・ブリューニングハウス(p)、ゲイリー・バートン(vib)、マリリン・マズール(ds,per)といった旧友達との同窓会的メンバーによる構成に加えてシュトゥットガルト放送交響楽団がバックに加わるという豪華編成となっています。
全12曲の中で彼が書いた曲は7曲。過去の作品からの曲も多くて、自叙伝的集大成ライブというのがとても良い感じです。オケが加わるのはその中の5曲。中にはピアノとのデュオや、ベース・ソロなどの曲もあるので、この盤での曲組みもいい意味でオムニバス的な楽しみも味わえるようになっています。そうそう、1曲だけスタンダードがあるのは、ECMのこの手の作品には珍しいんですが、これがとてもいいアクセントになっています。まぁ正直言ってマリリン・マズールの“ポカチョコ”リズムは??と思うのですが、全体の内容は充実しています。収録時間も長くて大好きな作品ですねぇ。
音的には、相当マイク(ライン)アレンジが複雑になっていると思われる録音ですが、流石にECMで巧く纏めています。通常ならこの手のコンサート(編成)だと、明らかに音が濁るのが普通。これをどう回避したのか知る術はないのですが、これが望外にクリアな音質でしっかり収録されています。この盤はオーケストラの奥行き、左右の広がりがしっかり捉えられています。ましてや各楽器の(オケも)定位がしっかりしていて、音的にダンゴ状態になっていないのが聴き所。怖いのはパーカッション&バスドラの重低音と、暗騒音的に聴こえるホール・エコーと観客の騒めき。これは物凄くリアルです。というわけで、久々のエバーハルト・ウェーバーですが、愛聴盤になりそうな予感。

スウェーデンのジャズ事情をスパイス・オブ・ライフで聴く

2007年09月30日 | Jazz
私ぐらいの歳になりますと、スウェーデンと聞きますとすぐに「スウェディッシュ・エロチカ」という言葉が口の端から出てしまいますねぇ。この部分に反応された方というのは、明らかに40代後半か50代の方でしょうか。違います? (閑話休題)
今回何を書きたかったかというと、スパイス・オブ・ライフというレコード会社の一連の作品群についてです。この会社、いろいろなことをやっておられるようですが、私としては冒頭に書いたスウェーデンのジャズを積極的に紹介しているというところに非常にピ~ンと来たわけです。というのも以前、本ブログでも紹介したマルガリータ・ベングトソンという歌手の作品、そして今回ビックリしたリサという歌手など、かなりの数の作品をリリースしている会社なのですが「どの作品も非常にクォリティが高く」かつ秀作揃いなのです。うーむ、本当に素晴らしいことです。
女性ボーカルの「スウェディッシュ・ビューティー」シリーズも上記女性陣が本当に素晴らしいですし、ピアノを中心とした一連の作品群も聴き応えがあります。それ以上に素晴らしいのは、録音が北欧独特の透徹なまでのクールネスが表出されていて実に気持ちいいこと。本当にオーディオ好きには堪らない“好演奏・好演唱・好録音”という三拍子揃い踏みの作品ばかりなわけです。
で、今回はそんな作品群の中から、私が全く知らないミュージシャン&歌手の新作をご紹介いたしましょう。
まずはスウェーデンの若手ピアニスト、マティアス・アルゴットソンの新作『イン・コペンハーゲン』。「リッツ・カールトン・ホテルの様な高級ホテルのラウンジで聴いているような感じ」がこのピアノ・トリオの演奏にはあります。“若手”とは思えない老獪なフレーズ作りにも驚かされますね。この落ち着きのある音選びは、いったいなんなんでしょう。脇を固めているベースのイエスパー・ボティルセンは、もうN・H・O・ペデルセンが乗り移ったとしか言いようがないほど、ニールス・ペデルセンを感じさせてくれます。とくにソロがフィーチャーされる曲では、もう完全にペデルセンに成り切りという感じなのです。←最中さん、これ必聴ですね。
そしてドラムス、エド・シグペンの参加がこの盤の白眉。なんてことのないサトルなブラッシュ・ワークなのですが、これがゾクゾクするほど「巧い」。こんな言い方は失礼ですね、シグペン様。高級ホテルのラウンジで聴いているようなというのは、彼のドラミングがそう聴こえさせているのかもしれません。まぁ、本当に妙技で、私はこの盤を聴いてジョー・ジョーンズのドラミングを思い出しました。
そして音なのですが、これはヨーロッパ・トーンのレコーディングと言えばいいのでしょうか、この盤をかけると部屋の空気がいきなり清浄化されるような、そんな雰囲気を持っていて日本や米国のスタジオでは絶対取れない音です。ピアノのチューニングも素晴らしいです。本作はゆっくり本を読みながら聴くのにうってつけ。ちなみに私は、ステサンを読みながら聴いておりました(大爆)。
さて、もう一枚は、リサという“スウェディッシュ・ビューティー”な歌手の『エンブレイサブル』。これまた美人であります。なんと女優でもありましてハリウッド映画にも出ておりますね。まぁそんな事より1曲目<ハートに火を付けて>にやられました。ドアーズの名曲なのですが、私的にはホセ・フェリシアーノでございます。
そう言えばかなり前のことなのですが、デビッド・フォスター(arr, key)のHPを覗いていた時に「彼女にぞっこん」との記事がありました。プロデュース(1曲)を手がけているとの情報を見てはいたのですが、今思い出しました。というわけで、5曲目の<恋に恋して>は、フォスター・プロデュース(まぁ、なにが変わるってことは無いです。そうそうピアノは別人です。キーボードはフォスターが弾いてます。それにしてもデュエットが好きですなぁ)。バックはスウェーデンの腕利きを揃えているようで、実に巧い。まぁフィーチャード・アーチストにクリス・ボッティ(tp:2曲目の<エンブレイサブル・ユー>)が参加しております。というわけで、スタンダードをしっとりささやくように歌われちゃうと、男性陣メロメロ。私もメロメロです。
さて音。これも本当に素晴らしい。なにしろ彼女の口元がよく見える(大口ですけれど)。そして高いところに声が定位するんですよ。そして楽器との遠近感の表現が素晴らしいのですね。ストリングスを含むオーケストラ(と言っても超大編成ではありませんが)の定位、リズム・セクション各楽器の音色、定位が素晴らしく捉えられています。そして左右のパースペクティブが驚異的。
というわけで、このスパイス・オブ・ライフという会社からのリリースにちょっと目が離せないと思う今日この頃です。

ピアニスト、クリスチャン・ジェイコブが待望の来日!

2007年09月28日 | Jazz
ディスクユニオンで販売されて話題を呼んだピアニスト、クリスチャン・ジェイコブが来日する。なにしろ自己トリオによる初来日ということで期待が高まるばかり。
 
ご存じのように、自己のWilderJazzレーベルからは『スタイン&マイン』『コントラディクションズ』(こちらは10月3日発売)がリリースされて注目を集めているジェイコブだけに彼のライブへの期待は大きい。一連の来日コンサートの中でも10月12日に行われる『東京TUC』でのライブは、ジェイコブ初のライブ・アルバムとしてレコーディングされる予定とのことだから、これまた超楽しみ。今回のライブは10日と12日の2回を見に行く予定にしておりますが、10月は忙しいなぁ。
そうそう、帰国後にジェイコブは、スタジオでレコーディングするとのこと。果てさてどんな企画のアルバムとなるか、これも楽しみです。今回のライブ収録、そしてスタジオ録音の新作と、来年はクリスチャンの当たり年になるかもね。
PS トランペッター、アレンジャーのカール・サンダースの新作『ブルース・オン・ザ・サイド』でもクリスチャンは素晴らしいピアノを弾いておりました。これも秀作です。
なお今回ご紹介した作品は、すべてSSJレーベルからすべてリリースされています。
    

バトンが回って来たぞ:ウロウロ、どうしよう!ましてやボーカルだ!!

2007年09月10日 | Jazz

Suzuch姉さんのご希望のバトンなんですが、ボーカルが弱い私に「ジャズ・ボーカル」を回すというところなぞは、いわゆる「ネット・イジメ」ということでございましょうか(爆)。ましてや最大の問題点は3人に回すということ。そりゃ無理だわ。ということでご辞退申し上げたいですが、天邪久なものでバトンは回せないけど許してくださいね。<m(__)m>
というわけで、
1、好きな「ジャズ・ボーカル」
2、嫌いな「ジャズ・ボーカル」
3、最近思う「ジャズ・ボーカル」

というお題で、やってみました。

1.昔、某吉祥寺のジャズ喫茶の親父が『楽器曲ばかり聴いていて楽しいかい? ボーカルを聴かないとね、ボーカルを!』と彼のご自宅でしっかり言われたことがあります。この場合、ボーカルとは女性ボーカルのことなんですけれど。その時の私の受け答えは『へへ、ボーカルは老後の楽しみですよ、老後のね』と答えた想い出が鮮烈に甦りました。(閑話休題)
さて「好きな」という意味が難しいのですが、最近「イケている」ということなら、ソフィ・ミルマンが断トツのオキニ。
雰囲気で聴かせる若手女性ボーカリストはたくさんおりますが、この人、相当お勉強しているのがよーーく分かります。特に2作目である『メイク・サムワン・ハッピー』はすでに何度も聴いておりますが、飽きませんねぇ。どの曲も素晴らしい出来かと。またジャケ写と本当の彼女の顔がこれほど違ったシンガーも見たことないです。逆に好印象を受けました。普通の女の子なんです。ジャケ写は、ケバ過ぎかと。自宅でのオフ会での定番商品と化しています。
昔はブラコンなんか、結構好きで聴いていたせいか、黒人モノが好きでしたが、最近は白人オンリー。ブログにも書いたマルガリータ・ベンクトソン女史なぞも、とてもいいです。とは言いつつこの盤、貸したきり帰ってこないなぁ。
とはいいつつ、一番好きなのはエラ・フィッツジェラルドだったりするのはご愛敬。古い40年代のモノから満遍なく好きな盤が並ぶのもエラだけかもしれません。
2.ボーカルでは、面白い経験がいくつかあって、まずはチェット・ベーカーは、女々しい声で歌う野郎だなぁという感じで昔は超嫌いなシンガーだったわけですが、これが映画『レッツ・ゲット・ロスト』を見てからは、大好きになりました。なぜなんだろう?
またサラ・ボーンも、大嫌いだったのですが、EmArcy盤が児山さんの手でリマスターされて出された頃、ちょうどサラのライブをワシントンDCの『ブルース・アレイ』で見てから大好きに。特にあれだけ嫌いだったパブロなどの後期の作品も聴くようになりました。
人の好みってのは、変わるのですねぇ。というか、聴かず嫌いってのがあるのじゃないかと思います。なにせボーカル初心者ですから。
3.最近、齢を重ねる事になぜかボーカルが聴けるようになりました。老後の楽しみだったはずなんですけれどもねぇ。ちょっとだけ早まっただけというところでしょうか。この頃はあれだけ嫌いだった日本人のボーカルもなぜかすんなり聴けるようになっています。
おっと忘れてならないのがフランク・シナトラです。これはなぜか別格でコロンビア、キャピトル、リプリーズ、ワーナーという具合に、なぜかしっかり持っていたりするわけです。持ってはいるけれど頻繁に聴くかというとそうでもなかったりして。でも一番若い時のシナトラとなぜか最晩年のシナトラが好きです。シンプルに歌っているんですが、とてもジャズを感じるわけです。そう、このシンプルに歌うってかなり難しいはず。あまりにやると「ヘタ」に聴こえるし。というわけで、この頃のボーカル・アルバムは徹底的に聴くか、1回でお蔵入りするかの両極端。あ、これもちろん若手が中心のことですが。


ヴィトウスが描く壮大な音曼荼羅『ユニバーサル・シンコペーションズII』

2007年06月10日 | Jazz

世の中には、恐ろしい音がする盤というのがいくつかありますが、近年聴いて一番驚いた盤が、この『ユニバーサル・シンコペーションズII』(ECM2013)。
ミロスラフ・ヴィトウスの大ヒット作『ユニバーサル・シンコペーションズ』(ECM1863)の続編のようなタイトルですが、実際の内容は全く別物です。今回は前回のようなオールスター・キャストでもありません。もちろんランディ・ブレッカーやボブ・ミンツァー、ボブ・マラック、アダム・ナスバウムらの腕利き連が参加していますが、まぁ、前回と比べたらば、という感じです。
さて、ヴィトウスは現在、イタリアに住んでいるようです。そしてそこにあるのがユニバーサル・シンコペーションズ・スタジオ。たぶん自宅をスタジオに改造したところだと思われますが、そこで本作のオーケストレーションやアンサンブル、コーラスなどと言った部分を収録しています。もちろん録音エンジニアは、ヴィトウス本人(!!)というのがとてもビックリなのですが・・・。(前作でもやっていますねぇ)
本作の成り立ちというのは、彼が過去10年以上に亘って取り組んできたいろいろな楽器の音源集のことを知っていないと本当の意味(意義)も分からないかもしれません。(昔は高かったけれど、随分とお安くなりました。そっちの方がビックリ)
さて、ここからは推測ですが、ヴィトウスはオーケストレーションなどの全体の構成(アレンジの細部まで)をまず考えて(プリ・プロダクションを作っているかもしれません)、譜面にその細部をしっかりと起こして、その後バンド演奏を録音して、自宅スタジオで、オケなどをオーバーダブしたというような感じに本作は聴こえます。つまりバンド演奏を録音した後にアンサンブルを被せたのではないのではないかということが感じられるわけです(細部を修正しているでしょうが)。
ちょっとまどろっこしい書き方をしているのは、ご存じのようにヴィトウスはサンプリング音源(ミロスラフ・ヴィトウスのオーケストラ & コーラス・ライブラリー)の大家です。その中でも一番有名なのはストリングスのサンプリングCD(チェコ・フィルの音源)でしょうか。どうもこれらの音源集をここではパーフェクトに使っているような感じがしています。
まぁ、全くの逆に、プリ・プロダクションの時点で、彼のサンプリング集を使って今回のCDの全体の骨格を作って(聴けるようにして)おいて、参加ミュージシャンにそれをしっかり聴かせた後にバンド・レコーディングをしていったということも考えられますが。いずれにしても、今回のアンサンブル、コーラス、オーケストレーションといったところは全てサンプリングによるものではないかと僕は思っているわけです。
演奏なのですけれど、もう1曲目の<オペラ>からビックリ仰天。特に出だしの部分(最後の部分も)は面白いですねぇ。なぜオペラと題されたかが分かるような気がします。今回収録されている曲の各々のバックグラウンドには、ウェザーリポートの臭いやマイルスのビッチェズ・ブリューの感覚などを彷彿とさせる部分がたくさん見受けられます(前作もそうですが)。この曲でも途中から一転して8ビートで迫るような所を聴いているととてもその感を強く感じます。
希有壮大なオーケストラのパートやバンドのソロ・パートなども練りに練った仕上がりで、聴き手に息付く暇を与えません。本作全曲に聴き手側の集中力も必要とさせて、まさに完璧な作りです。正直1枚を通して聴けませんでした。(;´_`;)
ストリングス・オーケストラの細部の音ははもちろん、グランカッサの「ドッシーン」と鳴る音に驚嘆、ティンパニーの革の震えまでも再現、細かいところではウィンド・チャイムが遠近感を伴って鳴るという、もう物凄い音数三昧というわけです。圧倒的ですね、これは。実音であるドラムスの録音で大きい空間を感じさせるところなどもやはりECMならではかと。
この1曲目から驚かされるわけですが、2曲目、3曲目と聴き進んで行っても次々と驚かされる仕掛けがタップリというのは、まさに恐ろしい作りです。どの曲にもヴィトウスの手腕(センス)が随所に光っているというのが体感出来ます。
今回の作品ばかりは、生粋のジャズ・ファンにどう迎えられるかとても楽しみなところなのですが、クラシック・ファンの方にも、オーディオ・ファンの方は特に、必携の作品になるのではないかと思っています。ましてや、あなた自身のオーディオをしっかり試されてしまいますから。本当に怖い作品です。掛け値無しの驚愕盤。日本では6月20日発売予定。

Miroslav Philharmonik(フル・オーケストラ・ワークステーション)
http://www.minet.jp/miroslav/philharmonik/
デモンストレーションのフラッシュをご覧ください。本作の謎がこれでかなり見えてくるはずです。


サラ・ガザレクのコットン・クラブ・デート

2007年06月03日 | Jazz

とあるジャズ評論家が、エンジニアから聞いたという形で「『コットン・クラブ』の音は中抜けしている」と書いておられました。それもサラ・ガザレクのコンサートについて。
え? 何?って感じなのです。
まずこのクラブは、音響的にも非常に良く考えられて作られているのは、行った人ならよく分かるはず。ステージからすり鉢方式に座席が並んでおり、PAを極端に効かせなくても音が通るように考えられた作りになっている。フラットな構造のジャズ・クラブとはひと味もふた味も違う作りで、このクラブに足を運んだことがある方ならその音はお分かりになるはず。ただし物凄い量のドレープのカーテンが壁際に吊されているので、実はかなりデッドな環境ではある。
デッドではあるが、しかし中抜けの音ではけしてないのだ。では、実際なぜ「中抜け」と書いたのか。これはあくまでも推測だが、サラの声の声量にある。すなわちジャズ系の若手シンガーの中では、彼女は明らかに声量がない部類の歌手と言っていいだろう。その歌声をオーガニックとかナチュラルと呼ぶのも自由だ。そういう歌手なのだから。しかし声量の無いことを履き違えて書いているのでは、と推論してしまうのだ。そしてもっとも僕が危惧しているのは、彼女の声量の無さを「揶揄」する形で、そう書いたのではと受け取れるような書き方をしていること。ちょっと残念に思った。
正直言って彼女の歌をジャズ・フェスなんかで、僕も聴きたくはない。今回のようなクラブで、インティメートに聴くというのが一番だと思う。もっと言えば自宅で彼女のCDをソッと聴くというのが最高ではないか思っている。
それにしても、彼女のYou Tubeにあるクラブ・デートの歌声をしっかり聴いていたら、こんな書き方をしなかったんじゃないかなぁ、と思った次第。
SD05仲間のTaoさんも、私が行った1日前にサラをお聞きになられたとBlogに書いておられた。ちなみに私の行った土曜日の1部は、な、な、なんと1時間40分も歌いっぱなし。僕はそれだけで脱帽でした。
バックのジョッシュのピアノも良かったし、ドラマーがとても背が高いのも分かったし、ベーシストはとっても可愛い人でした。え? サラはどうなのかって?、 そりゃもうサインしているところへ行って、近くで見て参りました。とってもチャーミングな女性です。日本語結構上手いのでビックリしました。ハイ。


歌姫SARA GAZAREKの再来日に備えて予習です

2007年05月27日 | Jazz

愛しのサラ・ガザレクが再来日するというインフォを頂いた。
5月31日~6月2日まで、東京・コットンクラブでの3デイズ。ポスト・ノラ・ジョーンズってことで、今話題の歌姫ですが、その宣伝文句が「オーガニック」というのがどうも気に入らないなぁ。(閑話休題)
さて、そんな素敵な彼女の歌を聴きに行く前に、You Tubeでちょっと予習をしていこう。で、調べてみたら、な、な、なんとどっさりある。こりゃ聴き放題、見放題だな。版権どうなっているんだろう。でも彼女のHPにある動画と同日収録のものがあるから、内部流出なのか? と思ってしまいますが、どうなんでしょう。というわけで、新機能に挑戦。

サラ・ガザレク "More"

サラ・ガザレク "Blackbird" and "Bye Bye Blackbird"


とにかくたくさんありすぎてもう満腹。
PS
やっぱりドレスをちゃんと着て出演して欲しいなぁ。コットンクラブでも。
そうそう、TV出演した際には、しっかりメイクしてたから、ぜひ日本でも
しっかりとしたメイクで登場して欲しいと思うのは私だけ? ≦(._.)≧