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またもや機器選びの旅に出た:CDプレイヤー編 Part3

2008年05月08日 | Audio
このところ自宅でメインに使っていたのはティアックのVRDS-10(購入直前に前オーナーがピックアップの交換、ベルト交換、各種チューニング、メンテが済ませているとても程度のいい中古)。購入後内部・外部へ各種チューニングを行って、相当なレベルの音へ昇華してくれているのだが、うちへ来た当初のデジタル接続での音というのは、レンジも狭くチリチリした付帯音が載っていて鮮度が足りないような表現をしていた。これはまったくデジタル側の出力を前オーナーが使っていなかった所為でもある。ところがエージングをしていくうちに(これまたジッと我慢していくうちになのだが)、この付帯音もすっかり消えて、俄然艶のある素晴らしい音に変身してくれた。待てば海路の日和ありという所か? 一言「ここまで変わるのね!」であった。そういう意味でも、ティアックの機器を一気に信用した。そういう伏線もあっての今回のエソテリックの購入と相成ったわけである。
さてEsotericのX-05が我が家に来て、すでに一ヶ月が経過した。で、課題であるデジタル出力、そしてアナログ出力(SACD)でのインプレッションをここで書いてみよう。いやはやそれが大変な一ヶ月だったのだ。
まず来て直ぐの音なのだが、愚妻曰く「いい音じゃないの」とのことだったが、私には音が「晴れ」ていないように感じた。すなわち定位が高いところへ登っていかないのである。この状態ではVRDS-10に明らかに負けていた。ただし当初から最低域の部分の表現というのは、X-05に一日の長があった。そうなのだ「気配」なのだ。この最低域の表現力がVRDSー10との「決定的」な違いを生んでいるような気がする。重量の違いというのは、すら恐ろしい。
 
また中域から高域の表現も確かに粒子が細かいものの、音に艶がほとんど感じられないものだった。ただし高域の繊細感は素晴らしいもので、薄氷を踏んで歩むようなデリケートさが音に横溢している。しかしピアノを聴くとそのある程度のスケール感は出てはいるものの、私が最も愛するピアノの艶が想像以上に薄かったのである。これにはちょっとガッカリした。ゆえに自宅にあるデジタルケーブルを総ざらえをして好みの音を追い求めていった次第。
意外にも贔屓にしていたサウンドデザイン・ファンクラブ謹製のデジケイの音が芳しくない。最低域が無くなってしまうという挙動を見せたし、スケール感が全く出ない。また最近の贔屓である5Nの銀線を使用したデジタルケーブルのLune Pureteも「これで艶は決まり」と思って投入したが、期待の艶が出てくれない。そうなのだ。CDP側のデジタル出力のエージングがなされていなかったからなのだ。というわけで、ここ1ヶ月はデジケイ取っ替え引っ替え大会で聴いていた。いろいろ面白い経験(涙)が出来たと言うところなのだが、記録の為に続けて綴っておこう。
先日購入したCableLinksの通称イエローと呼ばれるケーブルは、左右、前後の音場感は完璧なものの、音の線が細くハイエンド的に鳴ってくれるのはいいのだが、音に芯がなく艶も出ないのがどうも気に入らない。特にまたSA/LabのハイエンドホースにWBTを付けたデジケーは実に面白い定位の(逆相成分が必要以上に聴こえてくる)ケーブルなのだが(艶もよく出るケーブル)、これももう一つ低域の表現が弱い。
また艶、切れ味抜群のオヤイデの銀線DR-510は、かなりX-05の駄目駄目な時期に健闘してくれた1本。つまりシンバルなどの高域の倍音表現、ピアノのスケールと艶は、捨てがたいものとなった。ただしどうもオリジナルであるコネクターがこの線の良さを奪っているような感じもする。またベルデンの1506Aや9116Rは、論外。これはどこがいいんでしょう?という鳴り方をした。
というわけで、初期のX-05では、デジケイに何を使っても思い通りに鳴らないという経過を辿った。ゆえにひたすら音楽を聴いて、デジタル出力側のエージングに勤しんだのである。(続く)