院長室の窓

院長からのメッセージ

2012年10月1日 朝礼 院長談話より

2012年10月01日 | メッセージ
 院長談話  ―医療安全の意識と知識―  2012年10月1日
 
  
  
 皆さんお早うございます。

 
  
 この10月1日は、佐野市民病院にとって記念すべき日、特別な日です。
 我々の病院は佐野市と財団青葉会による公設・民営の形態をとっていますが、今年の10月1日から丸5年目の節目に入ります。
 移行期の1年半を含め5年半にわたって、当院において医療事故その他による訴訟が皆無であったことも記念すべき事柄です。
 今日は医療の実践にとって最も重要な「安全」の問題、その核心について触れてみたいと思います。
  
  
  
 
 キーワードは「意識」と「知識」という2つの「識」です。
 最近大変気になった医療事故関連の報道があります。
 身近で報道された1例の事故です。
 報道はいつも完全に事実と一致しているとは限りませんが、こういう内容でした。
 「“塩化カリウムを希釈して点滴する”という指示をうけた看護師が希釈しないで点滴したため患者が死亡した。担当看護師が業務上過失致死罪で略式起訴された。」というものです。
 これと同じ内容の身の毛がよだつ事故が、ある時間間隔をおいて発生しているのが事実です。
 事故の分析をつきつめていくと、私には「意識」と「知識」という事故防止の核心が見えてきました。
 日頃「医療安全管理委員会」で「インシデント・アクシデントの分析評価とその対応策の策定をおこなっていますと、自然に納得できるキーワードです。
 
  
  
 
 まず意識です。
 医療行為をするものは、医療行為のほとんど全てのものが危険を伴うものであり、「自分は今、これこれの医療行為をしているのだ」という意識です。 
 知識は、その「医療行為のもつ危険性は何か」という知識です。
 両方が揃わなければ必ず事故が起こります。この実例について言えば「自分は今、塩化カリウムの注射をしようとしている。
 血中塩化カリウム濃度が急速に上昇すれば、心停止に至る危険がある」という「意識」と「知識」です。
 
 
  
 
 この2つの「識」を仕事中持ち続けるのがプロの在り方です。
 初心者であろうが熟練者であろうが、医師から事務職に至るまで、全く同じです。
  
  
  
 
 さて昨日佐野市の災害訓練に参加して参りました。
 強い地震を想定し、自衛隊や消防のヘリコプターまで加わった約3時間にわたる大演習でありました。
 「災害は忘れたころにやってくる」というのが言い古された警句ですが「事故・災害は忘れなくてもやってくる」という厳しいものに変え たほうがよいのではないかと実感いたしました。
 我々の病院の標語にしてみてはどうでしょう。

         
                                          以上