高いビルが目立たぬカーディフの街は、しっとりと落ち着いた、穏やかな雰囲気に包まれていました。
最初に、近年再開発された、カーディフ港を訪ねました。
港の近くに車を停めて、港に接するマーメイド・キーを散策します。
駐車場正面のウッズ・ブラッセリー(森のビアホール)が趣に満ちた建物でした。
よく見ると、屋根の上に置かれた、漁船のディスプレーが魚を引き連れています。
屋根の上の船の模型を拡大
カーディフ港は1900年頃に石炭の積み出し港としての最盛期を迎えたそうです。
しかし、石炭産業の衰退後は荒廃し、人が近づかない程の場所となりましたが、近年の都市再開発計画で息を吹き返したそうです。
マーメード・キーに設置されたモニュメントが、港町の風情を醸していました。
マーメード・キーに、お洒落なカフェーやレストランなどが軒を並べます。
私は朝の営業を始めたばかりのコンビニでサンドイッチとコーヒーを求め、港の雰囲気を味わいながら朝食を摂ることにしました。
早朝のカーディフ港は人影もなく、どんより曇った空の下で、整然と並ぶ石畳の商店街が、静かに進む時計の針を眺め、存在感の薄い、不思議な印象を私に見せていました。
コーヒーの香が、鼻腔の奥深い場所で、遥か昔の記憶を手繰り始めました。
しかし、私を包む湿潤すぎる大気が、その作業を妨げます。
スーパーのコーヒー自販機
それ程長い時間ではなかったはずです。
もしかすると、私自身が港のモニュメントと化していたかもしれません。
コーヒーを飲み終えると、私は再び意識を戻し、カーディフ城近くの市街地へ移動しました。
カーディフ城も公開前でしたが、民俗衣装を纏った人たちがお城に入って行きます。
今日は何かの催事でもあるのでしょうか。
そう言えば、今日は土曜日でした。
お城の塀の上に、穏やかな表情の動物達の像が周囲を眺めていました。
このようなフレンドリーな彫刻物が、戦の為の城の塀に据えられているのを私は初めて目にします。
動物達の顔に、威嚇する表情は全くありません。
百獣の王のライオンでさえも、柔和な顔で寛いでいます。
街を歩いてみました。
小雨の為か、休日の為か、人通りは少なく、街はひっそりと佇んでいました。
建物が並ぶ大通りの一角に、アーケードの入口を目にしたので入ってみました。
アーケードの中は不規則に屈曲し、好奇心をくすぐる不思議な空間が続いていました。
営業中の店はありませんでしたが、ブティックやアクセセリー店などがショーウインドーを連ねていました。
ウエールズの首都であるカーディフは、昨日まで見てきたイングランドとは趣が異なり、どちらかと言えば南欧を思わせるような雰囲気を漂わせていました。
カーディフのミレニアム・スタジアムでは、ロンドンオリンピックとしての、サッカー試合が予定されているようです。
カーディフの不思議な空間で、どんなドラマが始まるのでしょうか。
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