おはようございます。
3月8日火曜に放送された「クローズアップ現代」の、覚書です。
タイトル:シリーズ 変わる農業 コメ輸出 農業は再生するか NO.3014
第1回 本格化する中国向けコメ輸出
日本の年間米消費量は823万トン(平成21年度)で、最大の消費量だった昭和38年と比較し、3分の2しかなりません。中国の消費量は1億3,000万トン。日本の16倍。人口は13億です。しかし、日本から中国に輸出された米は年間100トン足らず。農水省はこれを、20万トンまで増やす計画を立てています。それにより減反政策の解消・農業者の所得拡大を目指します。
1月下旬、中国農業発展集団会長リュウ身利氏が来日。「品質の良い日本米が中国に入るのはいいこと」とコメント。中国農業発展集団は、農水省が中国輸出相手先にしている団体です。
北京 中国富裕層の間では、日本米の人気が高まっています。高級スーパーでは日本米の特設コーナーがあり、新潟産コシヒカリが2kgで2,500円。中国産の4倍ですが、人気は上々です。日本の家電メーカーも、炊飯器を投入することにしました。
250平方メートルの高層マンションでは、そのような日本米が食卓にのぼります。このような高級マンションに住んでいる富裕層は、北京だけで10万世帯と見られています。
中国農業発展集団は、80以上の国や地域と食料の取引をしています。中国における日本米市場は今後拡大する方向にあると見ています。しかしながら、日本の生産現場は消費低迷・価格下落といった厳しい環境にあります。
横浜 中国が輸出することに出してきた厳しい条件のひとつ、くん蒸を実施。くん蒸とは、害虫を防ぐため、農薬を含んだ水蒸気で米をいぶすこと。中国側が認めた広い倉庫で行えばコスト・手間がかかります。そこで、倉庫の中に持ち込んだコンテナの中でくん蒸を実施するよう、農水省が提案。
山形・酒田 中国側が認めた倉庫は現在全国で1ヵ所しかないので、それを2年間で70に増やす予定。
全農(全国農業共同組合連合会) 4年前から、贈答用に輸出。これからは、業務用・家庭用に拡大する方針。2月22日、担当部長:川崎史郎氏を中国に派遣。中国の取引企業と、輸出量を昨年の3倍にすることで合意。
ゲスト 大泉一貫氏(宮城大学副学長・農業経済学が専門) 20万トンは非常に多い量。3月末に鹿野農水省が訪中する予定。、農業の競争力・品質の向上を目指し、基本方針を6月までに策定するということは、農業の考え方を180度転換すること。
中国のニーズは日本米のおいしさ、品質にある。日本米は短米粒種で新市場開拓が必要。そして、日本の食生活・料理をトータルで売り出すことが必要。例えば、寿司・丼など。今までの主な輸出先は、台湾・シンガポール。
このように農水省が輸出に積極的だと、生産農家は可能性を見出し、やる気を出す。市場を意識し、工夫する農家の出現がこれから期待できる。
足腰の強くない農家、例えば中山間地域の農家とかサトウキビ農家は、徹底して保護すべき。
農家が元気になることは、日本の消費者にとり国際的に流通する米が国内にあるということで、大きなメリット。
新潟・村上市 農業生産法人:佐藤正志氏 品質にこだわった米つくり。その米は岩船産こしひかりと呼ばれ、佐藤さんは輸出に期待しています。少しでも早く市場に入り、自分のポジションを確保したいと考えています。
佐藤さんの農業は、データに基づく徹底した栽培管理をしています。植物の栄養状態を検査する機器や、米粒の色・形・厚みを調べ、生育のどの段階で問題があったか分析可能な400万円する機器を導入。200項目の残留農薬検査も実施。安心・安全の面から、他の米との差別化を図っています。
東京・千代田区 丸紅食料部門長:岡田大介氏 現在コスト面で中国と比較すると日本米は10倍だが、流通の工夫などで3倍までコストダウン可。中国では人件費が上昇傾向にあるので、日中の価格差は縮小すると予想。
岡山市 奥山孝明氏 米づくりに徹底的コストダウンするため、規模の拡大をしています。130人の地主から土地を借り入れ、全国平均の20倍以上の広さである45ヘクタールの農地を耕作。そして、乾田直播。苗作りの省力化を実現しています。これらの努力により、全国平均より20パーセント安い価格でも利益が出るようになりました。
しかし、課題もあります。農地は470ヵ所あり、細かく分断されています。また農地が畦にへだてられ狭いので、能率がどうしても低下します。畦をなくす取り組みを始めましたが、現在完了したのは30ヵ所のみ。それでも奥山さんは日本の米はおいしいと世界が認めてくれているのでチャンスだと思う、と話しました。