『おやおや、翁さん。土曜日にお買い物は珍しいですね。あら奥さまもご一緒ですか、ホホホホ。この午後の2時過ぎに医大ですか?、奥さまがしこりの検査を?、まあそれは大変ですね。「奧さん、今日わ、やっとお元気になられたのにね。大丈夫ですよ、気にしない、気にしない、ホホホホ。お夕食の時間ですから、近くで鰻でも食べて、お二人とも元気になりませんと、ねえ奧さん」』
『やあ、今日わ、初子さん。この間、ナスとキュウリを畑から失敬して、即席の味噌漬けにして食べたら美味しかったわ、ギャハハハ。痛くも痒くもないしこりが胸に、散歩がてらにエコーの検査をしてきたわ。・・・・スーパーに来ても、何を作って食べようかが曖昧、買って帰った物がしばしば賞味期限切れに。今夜は一応稲庭うどん、徳用のね。婆さんも俺もこの頃栄養失調気味だわ、ファハハハ』
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『お二人のご苦労は心底お察しをします。ある人からお聞きをしましたが、奥さまは翁さんが作る物を「美味しい」と言って食べられるそうで。お父ちゃんは、美味しいとは言いませんが、食べ残しはしませんでね、ホホホホ。私たちだって、三食何をたべようかって考えるのは大変で、投げ出したくなることがありますよ。そう言う時には手打ちうどんです、孫も喜んで食べますから、フォフォフォ』
『初子さんの夫婦は、“おもろい夫婦” だと思うわ、初子さんが姥桜会の山登りやバトミントンなどで出かけても、茂さんは「婆さんはどこかに出かけたよ」と無関心を装って、ハハハハ。・・・・鰻はもう少し先だが。身が柔らかいから婆さんも食べられるよ。検査の結果は来週に、前祝いに鰻を食べてから医大で審判を受けるかな、ギャハハハ。ではこのまま家に、茂さんによろしくね』
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あとがき==夫婦は風のような関係ではなく、存在感を意識して生活を、お互いの我が儘に寛容にだ。ガハハハ==放念の翁