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一青窈 「表現者」としての今後は?

2007年03月09日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
 こんにちわ、井上秀二です。

 このところ、IT(昔、森喜朗元首相は「イット」とお読みになったようですね)がらみの話題が続きましたが、今日はアーティストのお話です。

 ところで先日、記事に書きました浜崎あゆみの『BEST2-WHITE-』、『BEST2-BLACK-』ですが、予想に違(たが)わず好セールスのようです。
(私は「チャート予想屋さん」ではございませんが・・・)

 やはり、大規模なマス向け販促の奏効とともに、コア層(しかもボリュームもある)にとってのブランド価値の高さ(=絆の強さ)を物語る結果でしょう。
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 今日は音楽の範疇に留まることなく、文字通りのアーティストとしての才覚を感じざるを得ない一青窈のお話です。

 普通、凡人が「9・11テロ」にインスパイアされて詞を書いた場合、直接的な詞を書きがちです。怒りでも悲しみでも愛情でも。

 しかし、極めて時代性の高い「9・11テロ」にインスパイアされながらも、
 自らの体験に裏打ちされた「生・死・夢」というテーマを持った自己のフィルターに通した上で、
 極めて普遍性=汎時代性の高い名作「ハナミズキ」の詞を書き上げた彼女を、
 私は「天才」と呼びたいですね。“アーティスト”というよりも、“表現者”と呼びたい。

 個人的な好みですが、心象風景と見事にシンクロした叙景的な詞は素晴らしいと思います。

 また、「一思案(ひとしあん)」の“言問橋”、「金魚すくい」の“多摩川の鳥居”、「夢なかば」の“赤坂見附”、「大家(ダージャー)」の“読売ランドの観覧車”のように固有の地名・施設を使うスタイルもね。

 余談なんですが、彼女、Wikipediaによると、「saku saku」というTV番組の2005年4月19日放送分で、男女の恋愛観の違いについて、

 「(思い出を)男はフォルダ保存、女は上書き保存する」

という名言を残しているとのことです。80年代、90年代に「恋愛の教祖」であった柴門ふみは、

 「男にとって女は絵画、女にとって男は音楽」

という名言を残しましたが、21世紀の今は、「フォルダ保存」「上書き保存」というメタファーが使われるようになったんですね。

■価値構造

 好感度は「10代」で高い(認知度は若干低め)彼女ですが、「40歳以上」の中高年層での高感度も高いという“二極型”の彼女、「価値構造」では際立った特徴が見つけづらいです。

 ブランド要素のどの評価項目を高めれば、(最も大切な)観念価値が高まったり、低くなれば、観念価値が低くなったり、という傾向が比較的フラットなんですね。

 基本価値の「歌詞」への評価が、観念価値の「生き方への共感」と強い相関にあるのではないか? というのが私の仮説だったのですが、少なくとも「価値構造」においては、その傾向が見られなかった。「歌詞」への評価は、“当たり前”過ぎるのでしょうか?

 むしろ感覚価値の「時代遅れではない」「フレッシュな感じ」が、観念価値の各評価項目と比較的強い相関にあるんです。

 亡きご尊父は台湾人で、自身も幼い頃台湾で暮らし、日本で生活するようになってから英語もマスターしたという彼女の“ハイブリッド”な素養が、ユーザー・リスナーにとって何かしら“新奇”なイメージを付与したのかもしれません。

 そう遠くもない“異郷”の香り

 そう言えば、 

「価値構造」において、
一青窈と元ちとせは酷似しています。


■ブランド価値評価

 「ブランド価値」においても、一青窈と元ちとせは酷似しています。

 ともに基本価値は高いですね。

 細かいことを指摘すれば、「歌唱力」「声質」では、元ちとせが一青窈を上回り、「曲」「歌詞」では、一青窈が元ちとせを上回っています。

 感覚価値観念価値は、ほぼ一緒。

 気持ちが良いのか悪いのかわかりません。。。

 但し、感覚価値観念価値というブランド価値2要素のポイントは低いです。

 アーティスト・楽曲のテーストを考えると、感覚価値のポイントの低さは、目くじらをたてる程のことではないかもしれませんが、前述の「価値構造」を見ると、疎かにしていいというわけではありません。

 「萌え系」ファッションで遊んじゃいけませんよ!!!

 ところで、観念価値のポイントの低さなんですが、元ちとせにも共通する傾向として、

 曲(詞)のクオリティとポピュラリティが高く、
 アーティストイメージより先行してしまう


のではないか? いう仮説が導き出されます。

 マネージメントオフィス、レーベルの戦略・戦術について言及することはしません。
 決してブレてはいないことだけは確かですが。

 ここでも私の主観が混じってしまいますが、

 「流行歌」(死語?)の作り手・歌い手としてのミッションに留めることなく、アーティストへのロイヤリティを高め、継続させて欲しい。

齢(よわい)を重ねる程に、“魅力”を深めていくアーティスト(表現者)ですから。

 何年も経ってから、“懐かしのあの人”という存在にしないで下さいね。
 アーティストの価値を高めるだけでなく、継続性を重視するという、アーティスト・ブランディングの立場から切に願います。
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 うううっ、腹へったぜぃ。。。
 夕飯食べにいこっと♪
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