【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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『TWEET and SHOUT ニュー・インディペンデントの時代が始まる』 (津田大介著)

2013年03月20日 | 書評
*正式な書名は『TWEET&SHOUT』ですが、タイトルが文字化けするんで、『TWEET and SHOUT』と表記しました。

本書で使われている「インディペンデント」という言葉は、従来から使われてきた「インディーズ」とはニュアンスが異なることは重要だと思う。

「インディーズ」とは、(マスを対象とする)「メジャー」なシステムでは表現できない表現の場であった。
語本来の意味での「インディーズ」が「メジャーの予備軍」と位置づけられるようになったことは、いい悪いという問題、気に食う気に食わないという問題とは関係なく、必然であったことは否めない。

70年代もそうであったろうし、自分が体験した80年代もそうだった。
「メジャーがインディーズを取り込む」という図式には、「上から作用=取り込み」だけではなく、「下からの作用=プロモーション」があったのも事実。
80年代の「インディーズブーム」がマスコミに取り上げられる前、インディーズから“逆スキャンダリズム”という戦略でメジャーに自らの存在感を示したのが、THE STALINの遠藤みちろうさんだった。
そして僕らも「いい兆候」だと思っていた。
(だから、自分よりも上の世代で、語本来の意味での“インディーズ”スピリットを持っていた方々のみちろうさんへの評価は、概ねネガティブだった。自分の経験則だけど・・・)

それから30年。そういった構造とシステムの金属疲労が進行して久しい。
文化も経済社会の構造変化から逃れることはできないどころか、ダイレクトに影響を受ける。

本書では音楽(産業)がメインテーマだけど、インディペンデントな精神が求められるのは時代の潮流だと考える。
1年前に書いた記事で、コンサルタントの神田昌典氏の著書に触れた。
「あと数年で会社はなくなる」というのは著者の意図とはあまり関係ない、出版社のエキセントリックな宣伝文句(似非マーケティング)であるし、会社組織がなくなることはないばかりかマジョリティの地位は揺るがないであろう。
(組織あってのフリーランスということをお忘れなく、自分!)
右肩上がりの成長期に比べて相対的な存在感が薄れただけのことだ。
が、フリーランスであれ組織に所属する会社員であれ、インディペンデントなスピリッツが大切なキーになっていく潮流にあることは身を持って感じている。

『Tweet&Shout ニュー・インディペンデントの時代が始まる』の最大のキーワード。
それは「300人を確保せよ!」。
今まで感じたことのなかったようなリアルな説得性を感じる。
僕らにとって切実なことは「音楽産業」「音楽業界」ではなく、「音楽」そして「文化」だ。
アーティスト、ミュージシャンも「ギョーカイありき」の前提ではなく、「なぜ、自分が表現活動をしているのか?」を問い原点回帰することが大切だろう。
「生き残るため」なにをすべきかを考える前に、そもそも「なぜ生きる?」「そもそも表現する必要あんの?」を問うこと。

最後に備忘録(自分だけにしかわからないメモなので悪しからず・・・)。

・自らのアイデンティティを重層的な“横”の構造ではなく、多層的な“縦”の構造で考えていく津田さんの思考の健全さ

・これからの時代のマスメディアのアドバンテージ⇒ネットの話題の裏取り
 また、マスメディアをなめてはいかんなと。NHKさんとかよくやってると思うよ。

・紙媒体(ストック情報)とネット(フロー情報)の有機的結合

・「スペンドシフト」⇒3/11という大きなきっかけがなかったとしても成熟社会の大きなトレンドであると思うね。3/11はそれを加速したわけだと思う。

・「キュリオシティ」って懐かしい言葉。97年頃、キャンシステムの人に教えてもらったときは「はぁ、そうでうか・・・」つー感じでピンとこなかったなと(笑)。

Tweet&Shout
津田大介
スペースシャワーネットワーク


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神田 昌典
PHP研究所

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【興味深い記事】 クリスタラーの「中心地理論」が予言する秋葉原の儚い未来

2013年03月02日 | マーケティング話
とても興味深い記事だ。

超絶衰退する秋葉原――都市学者・クリスタラーの「中心地理論」が予言する秋葉原の儚い未来

ドイツの都市学者のヴァルター・クリスタラーが作った「中心地理論」、面白い!
「周縁」がいつのまにか「中心」化する。
行政による都市計画ではなく、
自然に業態が集積して発展してきた秋葉原。
これからどうなるのだろうか!?

*タイトル写真は『趣都の誕生』。
 2003年、当時の仕事の必要から読んだ名著。

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