【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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ユーザーアンケート結果の留意点①

2007年11月09日 | マーケティング話
 こんにちわ! 私です。
 いつの間にか11月も中旬、立冬も越えましたね。
 本日、私は今シーズン初めてセーターを着ました。
 昨日まで部屋ではTシャツ1枚だったのですが(^_^;)。
 (南向きの2階の部屋なので、晴れれば冬でも暖かいのです)

 何気に風邪も流行ってますね。
 mixiの友人たちの日記タイトルを見ると、「風邪ひいた!」の何と多いことか!
 悪いんですけど、そういう日記って読みたくはないので、私は見ません。
 (I'm sorry, ヒゲソーリー。。。)
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 さて、最近は、私が制作し現在も販売中の音楽関連マーケティング・レポートがらみのお話でしたが、今回はユーザーアンケートの結果について、当たり前のことを書きたいと思います。

  「マーケティングの主戦場はユーザーの頭の中にある」

 というポリシーの私なんですが、
 データの重要さを認識しつつも、
 「データはデータでしかない」という相反するような認識も持っております。

 今回も前回、ご紹介した『2004年 年間注目アーティスト好感度調査』のお話の続きです。
 「おまけのおまけ」ですね。

 アーティスト選考(総論)、「リスナーの嗜好パターン」の23項目なんですが、
 5番目に「大好きなアーティストと同じようなテイストのアーティストが出てき場合、好きになることが多い」という項目があります。

◆大好きなアーティストと同じようなテイストのアーティストが出てき場合、好きになることが多い
 (右側のグラフ)

  

「そう思う」10.9%
「まあそう思う」44.1%
「あまりそう思わない」37.6%
「そう思わない」7.4%

 「そう思う」は1割、「まあそう思う」を合算しても55%です。

 実際、自分が大好きなアーティストと似ているといっても、
 微妙な違いが許せず、好きにならないどころか嫌いになる、
 といった「天邪鬼派」もいるでしょう。(私にも経験あります)
 「二番煎じ」も嫌われることが多い。

 また、供給側の「ブーム創出という下心」がミエミエな場合、
 (例えば「サーフミュージック」とか・・・)
 ポピュラリティ(大衆性)のある同テーストのアーティストが売り出されると、
 嫌悪感を露わにするコア層(マニア)の方も少なくはないでしょう。
 ユーザーとは、ミエミエの「マーケティング政策」には反発しがちなんです。
 どんな商品カテゴリーでも。

 そう考えると、この設問での「そう思う」との回答が1割であることは妥当かと思います。

 では、ECサイトや店頭コーナーなどでの「レコメンド」は効果が薄いの?
 と問われれば、そうとも言えないのが現実ではないかと思います。

 皆さんがよくご存知の「amazon.co.jp」なんですけど、

  「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
  「あわせて買いたい」

 というレコメンドがありますよね。
 個々のユーザーの商品への関与度・知識・造詣の深さによっては、
 たまに「ウザい!」と思うことがあっても、結構、有効ではないかというのが私の仮説です。
 勿論、即購入に結びつかなくてもです。
 (「AIDMA」「AISAS」の「ATTENTION」と「INTEREST」だけでも)

 実際、「amazon.co.jp」さんには、販売データがあるんでしょうけど。
 (データをどの程度まで解析されているのかは別のお話です)
 それでも、「amazon.co.jp」で情報を入手して興味を持っても、
 「amazon.co.jp」以外の場(オンライン、リアル)で購入したケースまでは、
 把握できませんけどね。(こういうときに、アンケートが重要になります)

 で、ECサイトやリアルショップでの「レコメンド」によって、
 ユーザーが商品を購入するケースは、言うまでもなく、
 「行動」 の結果です。

 一方、アンケートでは行動結果を聞くケースもあるものの、
 あくまでも、「こう思っている」 という結果です。

 「大好きなアーティストと同テーストのアーティストを好きになる場合が多い」

 との調査で、「そう思う」が1割だったとしても、
 実購買での「レコメンド」では決して「効果が薄い」ということにはなりません。
 それに「まあそう思う」と併せれば半数強なんですから、確率も高くなります。

 また個人的な考えなんですけど、
 昔流行った紋切り型の「One to One マーケティング」のように、

   「井上様にピッタリの○○がございます」

 なんてメッセージを受け取ると、それだけで気持ち悪いこと極まりなかったんですけど、
 「amazon.co.jp」のように客観的な他人の購入履歴のほうが、
 素直に受け止めやいと感じるのは私だけでしょうか?

 アンケートの結果とは、
 客観的な「ユーザーの行動」の反映ではなく、
 あくまでも、「ユーザーがこう答えた」 という結果です。

 ユーザーの考えていること=データと、実際の購買履歴のデータ。
 消費者の嗜好・行動とは、多角的な視点から捉えていくべきで、
 その上で仮説・検証を繰り返し、
 実際の施策へと落とし込んでいくことが理想であるのは言うまでもありません。

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歌唱力は「当たり前品質」か? 【ユーザーのアーティスト嗜好】

2007年11月06日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
 こんにちわ! 私です。
 約10日ぶりですね。。。

 政界では民主党・小沢一郎さんの去就が注目されておりますが、
 そんなこと(失礼)に関係なく、今回もユーザーのアーティスト嗜好のお話です。

 前回のお話の中で、

   「歌唱力」はあって当然(「当たり前品質」)なんでしょうかね?

 と、私は書きました。
 実を申しますと、前職時の2005年3月に発刊いたしました、
 『2004年 年間注目アーティスト好感度調査』
 のデータでそのことを明らかにしていたのです。

 まず、ざっとこのレポートについて書きます。
(現在も販売中です。私に直接お問い合わせメールを頂ければ、商品を発送いたします。ご請求書は株式会社飯原経営研究所よりお客様に発送いたします)

 調査対象アーティストは2004年の売上実績を勘案し、60アーティストを選出しました。

 ◆調査対象アーティスト
   aiko
   宇多田ヒカル(Utada)
   Every Little Thing
   m-flo
   大塚 愛
   倉木麻衣
   Gorie with Jasmine & Joann
   柴咲コウ
   島谷ひとみ
   SHAKA LABBITS
   Do As Infinity
   中島美嘉
   浜崎あゆみ
   平原綾香
   一青 窈
   BoA
   MINMI
   矢井田瞳
   DREAMS COME TRUE
   ASIAN KUNG-FU GENERATION
   HY
   EXILE
   オレンジレンジ
   河口恭吾
   CHEMISTRY
   サザンオールスターズ
   SMAP
   nobodyknows+
   BUMP OF CHICKEN
   平井堅
   ポルノグラフティ
   槇原敬之
   Mr.Children
   森山直太朗
   ゆず
   ラルク アン シエル
   アヴリル・ラヴィーン
   ブリトニー・スピアーズ
   ジャネット・ジャクソン
   TLC
   ビヨンセ
   リュウ/ソン
   クイーン
   エアロスミス
   エミネム
   グリーン・ディ
   D12
   アッシャー
   オフスプリング
   ザ・ビートルズ
   レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
   ノラ・ジョーンズ
   上原ひろみ
   ダイアナ・クラール
   綾戸智絵
   寺井尚子
   村治佳織
   上原彩子
   フジ子・ヘミング
   川井郁子

 内容は各アーティストの認知度と好感度がメインで、
 こちら(↓)がアーティスト選考<ケーススタディ>です。
 (例:宇多田ヒカル)

  

 ・全回答者と男女別の「認知・好感度」
 ・性・年齢層別の「認知・好感度」
 ・他アーティストを「とても好き」な層の、このアーティストへの「認知・好感度」
 ・回答者のクラスター別の「認知・好感度」(ユーザーのアーティストへの自己投影)
   「メディアによく出る理想の自分(センス派)」
   「理想の自分(センス&親しみ派)」
   「メディアによく出る理想の自分(親しみ&センス派)」
   「メディアによく出る理想の自分(親しみ派)」

 上記4項目の5つのグラフで構成されています。

 他にアーティスト選考(総論)として、
 リスナーの嗜好パターンを調査項目に入れました。

 以下の23項目について、
 「1.そう思う 2.まあそう思う 3.あまりそう思わない 4.そう思わない」
 の4スケールで回答を得ました。

1. 好きになるアーティストに、歌唱力があることは最低の条件だ
2. 好きになるアーティストは、歌唱力よりも、声の質がいい人が多い
3. ルックスやキャラクターと同じイメージ(ギャップがない)の声質の
  アーティストが好きだ
4. 自分の好きなアーティストが、他のアーティストのカバーを歌うのはいいことだ
5. 大好きなアーティストと同じようなテイストのアーティストが出てき場合、
  好きになることが多い
6. 人がどのアーティストを好きか?ということはその人のセンスを表していると思う
7. 自分の代弁者のようなアーティストが好きだ
8. 人に自慢したくなるようなアーティストを好きになることが多い
9. 好きなアーティストは自分では手の届かないカリスマ性があったほうがいい
10.時代の波にのまれず、自分のスタンスを守っているアーティストが好きだ
11.好きなアーティストにはいつも時代の先端を走っていてほしい
12.自分が好きな、今は活動していないアーティスト・バンドにはぜひ復活してほしい
13.アーティストの考え方に共感できるかどうかは大きなポイントだ
14.ユーモアのセンスも自分がアーティストを好きになる大きな基準だ
15.無名の頃から自分が見つけ応援してきたアーティストが有名になっていくのは
  寂しいものがある
16.セクシーさもアーティストを好きになる大事な要素である
17.言動や行動がエキセントリックなアーティストが好きだ
18.「やさしさ」などアーティストの人間性は大切だ
19.ファッションセンスがいいアーティストを好きになることが多い
20.好きになるアーティストは、歌詞がいい曲を歌っている人が多い
21.好きなアーティストが映画やドラマに俳優として出演するのはうれしい
22.TVなどの大きなプロモーションで有名になったアーティストを好きになることが
  多い
23.大きなプロモーションの結果より、口コミでジワジワとのし上がってきた
  アーティストのほうが好きだ

 1番目の「好きになるアーティストに、歌唱力があることは最低の条件だ」
 の結果は以下の通りでした。

 「そう思う」24.3%
 「まあそう思う」54.5%
 「あまりそう思わない」19.4%
 「そう思わない」1.8%

 音楽好きなネットユーザーの場合、
 4人に1人は「歌唱力があることは当然」と考えている、ということでした。
 「まあそう思う」を合算すると(トータルポジティブ)、78.8%なので、
 8割弱=4人に3人以上が、「まあ当然でしょう」と考えていることになります。
 (歌唱力のある・なしは客観的な基準ではなく、ユーザーの主観です)

 ちなみに、アーティスト選考(総論)では、
 各項目で、上位20アーティストのグラフも掲載しております。

 各アーティストに対して「1.とても好き」と答えた回答者(コア層)のみピックアップ、「そう思う」のポイントが多い順に一つのグラフにまとめたものです(ベスト20)。
 なお、各アーティストごとのクロス集計で、統計的に有意ではない(漸近有意確率0.05以上)結果がでたアーティストは省略しました。

(例)河口恭吾(n=42)=河口恭吾を「とても好き」と答えた回答者42名

 いつも画像が小さくてすみませんが、、、こんな感じです。(↓)

  

 左側のグラフで、
 「歌唱力があることは当然」との設問で、
 「そう思う」(グラフでは青色)が高かったトップ5アーティストは、

   1.リュウ/ソン 50.0%
   2.河口恭吾 50.0%
   3.アッシャー 48.8%
   4.森山直太朗 45.3%
   5.ジャネット・ジャクソン 40.0%

 です。2005年春の調査ですので、アーティストには時代を感じますが、
 ユーザーがアーティストに感じる嗜好性は、
 そんなに目まぐるしく変わるものではないと考えます。

 以下は「おまけ」です。

◆アーティストの好き嫌いはその人のセンスを表していると思う
 (右側のグラフ)

  

  「そう思う」(グラフの青色)全体:18.6%

   1.ダイアナ・クラール 58.3%
   2.D12 42.3%
   3.グリーン・ディ 41.0%
   4.上原ひろみ 40.0%
   5.MINMI 39.6%

◆自分の好きなアーティストは自分では手の届かないカリスマ性があったほうがいい
 (左側のグラフ)

  

  「そう思う」(グラフの青色)全体:9.8%

   1.リュウ/ソン 21.4%
   2.ビヨンセ 16.9%
   3.エミネム 16.5%
   4.浜崎あゆみ 16.2%
   5.ノラ・ジョーンズ 16.0%

◆自分の代弁者のようなアーティストが好きだ
 (左側のグラフ)

  

  「そう思う」(グラフの青色)全体:9.8%

   1.nobodyknows+ 22.4%
   2.HY 22.0%
   3.リュウ/ソン 21.4%
   4.グリーン・ディ 20.0%
   5.D12 19.2%

 最後に、本題ではないので細かな説明はいたしませんが、このレポートでは、
 因子分析→クラスター分析を使って、
 「リスナーの嗜好パターン」による、
 セグメンテーションとアーティストのポジショニング
 も試みています。(「サマリー2」:↓)

  

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