連載エッセイ しとせいかつ 最終回 死と詩と私、と生活 亜久津歩

2015年12月12日 | エッセイ
2015年、師走。出産予定日も近づいてきた。おかげさまで「早産」の時期は越え、いつでもドーゾ状態だ。はやく抱きあげ、笑いたい。 さて、当エッセイも最終回。締めに何かいいことを言いたいなどと考えてみたものの、やはりダメで。結局、あまり人に話したことのない―話したいかもわからないけれど誰かに聞いてもらいたいような―とても個人的な話をさせていただくことにした。最後だしとかこつけての、読んでくださっ . . . 本文を読む

連載エッセイ しとせいかつ 第11回 枕元の『現代詩100周年』、つながらない冒険者たち。 亜久津歩

2015年11月14日 | エッセイ
 「切迫早産」になってしまった。妊婦健診へ行ったその場で「できればすぐに入院を」と言われるもすみません無理ですとヘコヘコ帰宅し、極力横になっていること・4時間おきに服薬することというお達しを遵守している。前回書いた「産前さいごの祭り」もすべて泣く泣くキャンセルした。まだ出てくるには小さいのだよ、次男坊!  飲み始めた薬の副作用が顕著である。ふるえは何の中毒かしらというほどで滑稽にさえ感じるが、動 . . . 本文を読む

連載エッセイ しとせいかつ 第10回 女性詩人、は「詩を休む」のか/子連れイベントレポート 亜久津歩

2015年10月10日 | エッセイ
11月、朗読会へ参加することにした。会場は埼玉県飯能市。埼玉育ちながら飯能は初めてなので、奥武蔵周辺を観光して一泊(そして一杯)くらい…といきたいところだが、今回はトンボがえりだ。4歳になったばかりの息子を夫に託し自身は翌月に出産予定日を控え、しかも会の翌日は出店予定の文学フリマ。すでに十分すぎるほどの強行…産前さいごの祭りなのである。 この4年。文芸系のイベントごと . . . 本文を読む

連載エッセイ しとせいかつ 第9回 「詩作」の入門書、1冊目。   亜久津歩

2015年09月08日 | エッセイ
わたしは「詩を書く」という行為において、 1.「言えないこと」を書く 2.「伝えたいこと」を書く …を経てきた。今は、 3.「書きたい詩」を書く …というところにいる。 (「書きたい詩」を書こうとしているが書けないところにいる、というのがより正確ではあるものの。) 5月の「マエバシ詩学校」で、自分がどのように詩を始め、書いてきたのかを上記の3段階に分けてお話し . . . 本文を読む

連載エッセイ しとせいかつ 第8回 夏、すりきず、焦げて図太い向日葵がすき   亜久津歩

2015年08月01日 | エッセイ
  青い空は動かない、  雲片(ぎれ)一つあるでない。    夏の真昼の静かには    タールの光も清くなる。  夏の空には何かがある、  いぢらしく思はせる何かがある、    焦げて図太い向日葵(ひまわり)が    田舎の駅には咲いてゐる。  上手に子供を育てゆく、  母親に似て汽車の汽笛は鳴る。    山の近くを走る時。  山の近くを走りながら、  母親に似て汽車の汽笛は鳴る。    夏の真昼 . . . 本文を読む