日々諸々

西日庵雑記・洗足ベース通信

酒肆とりふじ閉店のお知らせ

2021-09-18 10:12:59 | 業務連絡
 きっかけは昨年春の緊急事態宣言です。街から人がいなくなり路面店には休業の貼紙。暗い閑散とした夜の銀座に慌てました。でも給付金が貰えるとのことで、遊興施設等の当店は考えもせず休業しました。あとはご存知の通り。要請はだらだらと続き、時短、休業に抵抗感がなくなりました。私は働かないと却って収入が得られる不思議を知り、難きになじまず易きに付きました。憲法第27条、UBI、だから何って気持ちです。

 かと思うと堂々と要請に従わない店、隠れて營業する店もありました。 喜んで利用する人、気概を讃え頑張れと応援する人もいました。範を示さねばならない議員もヤミ営業に通いました。お友達優遇、嘘、改竄、隠蔽、バレてもシカト知らんぷり、さらに独裁、恫喝、こんな政権が長く続いたせいか、倫理や道徳、遵法なんてどうでもいい世の中になってしまったんでしょうか。

 さらに、ゴールを知らされないまま繰り返される自粛延長、入金されない協力金、進まないワクチン接種に政治不在を、恐れるべきは恐怖そのものなのに火に油を注ぐ専門家、マスコミ、それを拡散させるSNSに人々の、いや社会の思考停止をつくづく感じました。怒りや失望よりは軽蔑と諦め。暗闇の手前3cmくらいは見えるつもりですが、心が折れたといえばそうかもしれません。

 かねてより私は、少子高齢化、人口減少、財政赤字に危機感も対策もないこの国の、落日の将来を憂いています。そこにコロナ禍。騒ぎが収まればペントアップで世間は活況化すると思います。でもそれは一部一瞬のこと。沈静化しても停滞、収縮、淘汰、格差、分断は加速し、激化するでしょう。

 当然飲食業界も。既に環境は変化していました。昨今のフードサービスは資金力と情報操作が勝負の、近視眼的で効率偏重の、せこく退屈なビジネスに成りつつあると感じます。それはネット時代の顧客の要望に応えた結果でもあり、致し方ないともいえますけれど、私は素直に従えません。

 この変化はチャンスですが、生き残るためには厳しく強くずる賢く戦う必要があります。でもそれは自分とは何か違う。生涯現役、老後の楽しみと好き勝手に営業を続けてまいりましたが、ぼんやりとした不安を覚えました。状況が加速、激化し、刀折れ矢尽きて降伏するよりは戦意を失った今が引き際、痛手をこうむる前に逃げようと決めました。私はいい時代、いいワイン人生を過ごせたと満足しております。

 歳を取りました。心身ともに老化し適応力がなくなりました。古稀を過ぎて体の衰えを実感します。不具合も出てきました。少し前、人間ドックで心臓の疾患を指摘されました。直ちに入院、手術の必要はないがいずれはといわれました。要経過観察はこの他、膵臓などいくつかあります。通院が増えました。終活も考えねばなりません。

 突然の閉店、誠に申し訳ありません。でも自分なりに考えた結論です。鬱じゃないんでご心配なく。利権と政治利用のためとはいえ、巨費を投じた残念な五輪開催に比べれば、ちっぽけな地下の酒場の閉店なんて東京では取るに足らない些細な出来事です。残念なことなど何もありません。

 ですがその小さな店を続けてこれたのは、ひとえに皆さまのご支援の賜物と深く感謝しております。18年間のご愛顧、お力添え、心からお礼申し上げます。

 本当にありがとうございました。
             
  2021年 燕去月   
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