日々諸々

西日庵雑記・洗足ベース通信

ピーターレーマン ストーンウェルシラーズの

2007-09-14 12:59:03 | 日々程々
垂直テイスティング&セミナーにいって来ました。

ワインは89 91 94 96 98 00 01 02。
すべて、ワイナリーのセラーにあったものをワインメーカーが液面や色などチェックし、6週間前にエアで日本に入れたそうです。抜栓は2時間前、2度デキャンティングしてあるとのこと。

8種類のワインは各自のテーブルに89から96までが後方一列に98から02までが前方一列に並べられていて、セミナーの前にテイスティングの時間がありました。それぞれのワインのコメントはひかえますが、私がいいと思ったものはすべて後列のものでした。特に89 91は熟成したシラーズという感じがして思わず飲み込んでしまいたいくらいでした。

前の列のワインはいいにはいいのですが、オーストラリア!シラーズ! という感じが希薄で、いい若い赤ワインもしくはスパイシーというか、薬っぽくて取っつきにくいシラー(最近こういうシラーないですが)ではなく飲みやすいシラーという印象でした。2000年以降の3ヴィンテージは特に。

セミナーでの話によると初期のものは330Lのアメリカンオーク樽で発酵、熟成させたものであるのに対し、95年からフレンチオーク樽をテストし始め、96は10%、98は67%、00は73%、01と02は90%フレンチオークの小樽熟成とのことで、それを聞いて合点がいきました。

同じアメリカンオークでも、自然乾燥か人工的か、割って木取りするか鋸で切るか、火で曲げて組むかスチームで曲げるかなどにより特徴であるミルキーさも変化するらしいので断言はできませんでしたが、最近のストーンウェルは何か変わったなと感じていました。しかしこれほどフレンチオークの比率が高いとは思っていませんでした。

この点について疑問をもった参加者もいらしたようで、どうしてフレンチオークの比率を増やしたのかとの質問がありました。

かつては力強い凝縮した葡萄に個性的なアメリカンオークが合うと思っていたからとか、今はマーケットがしなやかでエレガントなワインを求めているからとの予想通りの答でしたが、かつてはお金がなかったので割安なアメリカンオークを使っていたという正直な話も聞けて面白かったです(並べられた空き瓶を見ると、株を上場したときから瓶が立派になってるんですよ)

まあそこで・・・なんですが。
私は個人的には、やはりシラーズはアメリカンオークで熟成してほしいのです。ジンファンデルがそうであるように・・・世の中の流れに逆らってることは重々承知の上ですが。

以前「暑いときには熱いワインを」と、夏にシラーズのワイン会をやったことがあります。そのとき余興にストーンウェル、アイリーンハーディ、シャトーダンピュイの98を水平で、ブラインドで出したのです。参加者全員、シラーズとシラーの違いは分ったのですが好みはわかれました。私は同じオーストラリアならアイリーンハーディがストーンウェルよりいいと思ったのですが、その理由はミルキーな古い造りのシラーズだったからです。

今回の89、91でもわかりましたが、熟成してもアメリカンオークのニュアンスは残ります。私は、何度もいうようにローヌのシラーは熟成してカベルネと間違うようなのが好みですが、オーストラリアのシラーズはちょっと違うと思います。枯れてもアメリカンオークのタッチが少し残り、いかにもオーストラリアシラーズと分る(もっと熟成すると古いリオハと間違ったりするが) それが個性だと思うからです。さらにいうならば、もしオーストラリアワインがヴィンテージのわりに若く荒々しさが残るのも特徴のひとつなら、2回のデカンタージュをして、まろやかにしてテイスティングするのはどうかとも思いました。

まあ、80年代後半にラウリーと呼ばれた樽の影響による独特の個性がなくなってから、90年代初め爆発的なチリカベブームが起きたことを思えば、アメリカンオークによる化粧よりは果実をストレートに表現したマイルドで自然な味わいのワインのほうがいいというのもわからないではないんですけれどもね。

今回の比較試飲から、新しい造りの今のオーストラリアシラーズは、素直でまろやかで口当たりがよく一般受けするのかも知れませんが、造りが違うので、私は同じ年月熟成させてもかつてのワインが今そうあるようにはならないだろうと確信しました。もし熟成したとしても、きっと私の好みとは異なるものになるでしょう。そういった意味では、とてもためになったテイスティングでした。

歳をとるっていうことは許容範囲が狭まること。老人は頭が固く頑固なものだといわれれば、その通りですけれど、現行の、近年のバロッサの最良年と評価の高い02みたいな今のワインを、買って待つなんて・・・嫌です。

追記
2008年6月4日に試飲会があり93、99、02のストーンウェルをテイスティングしました。

93は100%アメリカンオーク 99は詳細は告げられませんでしたが、98と00からしてフレンチオーク70%前後でしょう。93は十分熟成しコーヒーやトリュフのニュアンスがあり、3者のうちでは一番好みでしたが、アメリカンオークのミルキーさは89、91ほどはなく、感激も以前ほどでありませんでした。

99は、これが一番という人たちが多かったのですが、私にはかすかに感じられた昔のバローロにあったような醤油っぽさが気になりました。果実味は衰えておらずはつらつとしていてワインとしてのピークを過ぎているとは思えないのですが、保存の問題かたまたまそういった瓶だったのか、残念でした。













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