わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

それが結婚というものよ ゴーン・ガール

2015-03-01 | 映画・ドラマ・本
 3月は獅子のようにやってくる(March is coming in like a lion )、という英語の諺がありますが、いきなり朝から大雪の3月1日。でも、家の前の歩道は、ご近所の方が雪かき機でブロック全部を往復して下さるので安心して歩けます。車寄せも、お向いさんが小型トラックにショベルを付けてガガー!でスッキリ。おかげで私は一度も雪かきをしていません。本当に助かっていますが、困る(?)のは、自分ちをやるついでだから、と、お礼を受け取ってくれないこと。もし日本に帰れたら、一杯おみやげを買ってきたいなぁ…

 ところで、先週末にはアカデミー賞授賞式がありました。毎年、この時期は映画的に年度が一周りした感があります。TVはあるけど、ケーブルやサテライトと契約していないので、放映される番組は見られない我が家。普段はDVD見るだけで十分ですが、アカデミー賞授賞式だけは見たいと去年までは思っていました。ところが、東に引っ越した今年は、時差のせいで生中継の時間が遅い(明日も会社だしー)のと、どうせハイライトは後からいくらでもネットで見られるしー、だいたいノミネートされた作品も見てないしー…

 最優秀作品賞ノミネート作で唯一観た「グランド・ブタペスト・ホテル」は、とっても楽しんだ一作だけど、受賞しそうにない。他のノミネート作は、話題作だし図書館にあったら一応観ておこうかなと思う程度。でも、ロザムンド・パイクが主演女優賞にノミネートされてた「Gone Girl」は、気になっていたので、図書館で取り寄せてもらって観ました。いやー、評判通りの後味悪さでしたね。流石は「セブン」のデヴィッド・フィンチャー監督、後に引く嫌な感じの結末はお得意です。「ファイト・クラブ」や「ソーシャル・ネットワーク」だって、決して見終わってすっきりする映画じゃないし、でもだからこそ、忘れられない印象深い映画。

 ロザムンド・パイクさんは、「ジョニー・イングリッシュ気休めの報酬」や「ザ・ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」でのイメージが強く、私にとっては、イギリス・コメディーの女優さん。でも、ここではとっても怖いサイコさん。母親の書く児童書「Amazing Amy(すんごいエイミー)」シリーズのモデルとして、本人もハーバード卒の才媛でしかも美しく洗練された女性。NYのバリキャリ(死語)時代の彼女は、もー、知的かつ美しく、惚れ惚れします。パイクさんご本人も数カ国が堪能なオックスフォード大学出身の才色兼備な人で、滲み出てんのよ~、知性が。お洒落のセンスもよく、自分自身に対するお手入れが行き届いてる。ボディコンのドレスに完璧にセットされたブロンド。おハイソ感がダダ漏れですよっ!はーはー(←落ち着け)

 ニューヨークで出会ったハンサムな男性と夢の様な恋に落ち、傍からは完璧なカップルに見えましたが、共に失業し、夫の母が末期がんを患っていることもあって、夫の故郷、ミズーリ州の小さな街に引っ越したのが運の尽き。夫は仕事を探すつもりもなく、だらしなくて、昼間っからバーを経営する双子の妹と客のいない店でボードゲームしてる為体。完璧なアタクシの完璧な夫が、こんなダメ男のはずはない。許せないわ、ムキーッ!ってんで、夫に自分殺しの罪を着せてしまおうと言うお話。ネタばれ込みで詳しいストーリーはウィキペディアに載っています。私はお話の内容を知ってから観たのですが、何も知らないままに見たかった!あの、開始後1時間位の「あっと驚く」超展開を、前知識なしで楽しみたかったですよ!
 

 この映画のいいところは、その配役の妙にあると思います。ロザムンド・パイクのエイミーもピッタリですが、ベン・アフレックの夫が最高にはまり役です。お口ポカーンで、カメラを向けられると反射的ににっこりしてしまう間抜けっぷり。この、ワケもなく人をイライラさせる雰囲気は、持って生まれた才能でしょう。天性の才能といえば、とことん損な役回りのエイミーの元カレ、デジー役のニール・パトリック・ハリスの醸し出る変質者臭も絶妙です。かつて「天才少年ドギー・ハウザー」で全米のショタ心をキュンキュンさせた彼は、今年のアカデミー賞司会で、白ブリーフ一丁で世界生放送に現れる、立派な変態さんに成長しましたね。映画では、いきなり転がり込んできた元カノに尽くしまくったのに、一方的に殺されて変態誘拐犯人扱いは可哀想と思いましたが、原作では色々と変態っぷりが表現されていて同情キャラじゃないらしいです。
 
 それにしても、元カレは大金持ちで教養豊かとはいえ変質者っぽいし、旦那は間抜け。エイミーさん、実はだめんずウォーカー?そして、この映画で得した(?)のは、エイミーさんから現金を奪ったヤク中カップルだけってのが、とっても皮肉。この映画、日本のサイトで紹介を見ると、アメリカではコメディーとして受け取られて、観客から笑い声が漏れたと書いてありますが、在米28年目の私には、これのどこがコメディーなのか分かりませんでした。多分、トークショー・ホストのいい加減さや、ベン・アフレックの間抜け面っぷり辺り?とは思うのですが、笑えるとこかというと微妙な気が…

これですよ、これ!


ま。何はともあれ、猫が可愛かったです。

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