わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

戦場のAI

2015-07-28 | 時の話題
「エクス・マキナ」見て、ああ、恐ろしや…と、思ったばかりの私に、更に追い打ちを掛ける恐ろしやニュースが、タイミングよく報道されました。スティーブン・ホーキング博士、イーロン・マスク氏(電気自動車のテスラ社CEOで、すっごい天才)、スティーブ・ウォズニアック氏(アップル社創立した目立たない方のスティーブ氏、今は有り余るお金を使ってロケット飛ばしたり、道楽三昧と聞きます)、ジャン・タリン氏(スカイプの共同創設者、家族が祖国にいる海外在住者の恩人)、デミス・ハッサビス(Google DeepMind創設者)、ノーム・チョムスキーMIT名誉教授(有名な言語学者)等、100人以上のAI専門家が自律型兵器の禁止を求める書簡を発表したそうです。これは、非営利団体「フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュート(FLI)」がアルゼンチンで開かれている国際人工知能会議(IJCAI)で、27日に公開されました。


 曰く、"development of autonomous weapons, “a global arms race is virtually inevitable, and the endpoint of this technological trajectory is obvious: autonomous weapons will become the Kalashnikovs of tomorrow.(自立型兵器の開発によって「世界中で武器開発競争が起きるのが避けられないのは明らかだ。そして、その行き着く先は、自立型兵器がカラシニコフになる未来だろう)”だそうです。また、人工知能兵器は核兵器のように高価で入手の困難な特別の材料も必要ないので、簡単に大量生産できるとも。

こういうのんですか


 そのように比較的簡単に製造可能になれば、テロリストやウォーロードの手に入り、敵国の襲撃や民族浄化に使用される恐れがあるとも、書簡では述べられています。そういや、巨大ロボットアニメって、宇宙から来た侵略者は無人ロボットを送り込んで地球を破壊しようとするのに、地球軍は兜甲児くんやら南原ちずるちゃんその他やら、もちょっと新しいとこだと碇シンジくんやら、人間が乗って操縦してる。あのノリで民族浄化を企む悪者が高価で高性能な無人人工知能兵器を投入し、貧しい少数民族は昔ながらの手動兵器で防御ってイメージですか? 

 取り敢えず裕福な軍事大国(例えばアメリカとか、アメリカとか、アメリカのような国)の兵士が危険にさらされる事態は減りそうです。実際、遠隔操作のドローンでの襲撃も、戦争の間化という意味では同様でしょう。でも、一般市民の犠牲が減るって、どういうことなのか、今ひとつ判らない。誤爆が減るとか?

 これに対し推奨派は、AIの活用によって、人間、特に一般市民の戦場での安全性が向上され、失われる人命が減ると言いますが、なんか「戦争」って何だっけ…と、悩んでしまう。敵は、土地や機械じゃなく人間であり、時分のの利益を損なう人間を消滅させる、屈服させるのが、戦争の目的ではないのか?なら、アバター同士でやりあうのって、なにかズレてない?

 何より、まず第一に、戦争をなくそうというコンセプトがないのか、戦争がなくなるなんて不可能だから想定する価値すらないのか?と、悩む私は平和ボケ?

 グローバル化の時もそうでしたが、いくら頭のいい人達が警鐘を鳴らしても、今後の人工知能の発展はもう止められる状況にはないと思います。アトムやドラえもんのような、感情のあるお友達人工知能ロボットを開発するのはまだ夢かもしれないけど、状況を判断し、それを基にコンピューターらしく冷徹な判断を下す人工知能は既に可能なのでしょう。日本人的には、映画に出てきた介護ロボットや、お友達ロボットが先に頭に浮かびがちだけど、災害時に活躍する消火ロボットや救出ロボットも、使い方によっては立派な殺戮兵器になりえます。

 この警鐘を鳴らした世界の頭脳の皆さんは、ただ「怖いぞ~!」と警告するだけではなく、だからこそ、そのような事態を避けるための管理や開発に力を注いでいただきたいと思います。防災リュックを供えるとか、防災訓練するとかみたいに、私ら一般人が、なにか対策をとれるとは思えないし…

今は昔のフェスティバル

2015-07-25 | 田舎暮らし
 LAでさんざ散財したので、今月は爪に火を灯す生活を…の、はずですが、楽しげなイベント情報を得ると行きたくなってしまいます。イベントに行くとお金使っちゃうから、本当は週末も家でまったりDVD見たり本を読んだり、掃除・洗濯してるが一番なんだけど、根っこがお出かけ大好き、ちょっと変わったイベントがあると知れば、あっさり好奇心に負けてしまうお祭り気性なもんで、やっぱり今日も犬連れてGO。本当は同じ街で同じ今週末に開かれているハズのアニー・オークレー・フェスティバルに行くつもりだったのですが、会場の場所が判らなかったので、先に場所の見つかった博物館の屋外イベント、Gathering at Garst(ガーストでの集い)」に行った。このGreenvilleという街は、射撃の名手で、バッファロー・ビルの西部ショーで人気を博し、ヨーロッパでも後続の前で腕前を披露した世界最初の女性スーパースターと言われる、アニー・オークレーの出身地。このガースト歴史博物館では、彼女に因んだ展示物が充実しています。

 
大砲射撃の実演(すごい音!)とか、樹脂のクラフトとか

  
ネイティブアメリカンの歌やクラフトとか

  
地元レストランのBBQやクラフトビールとか

 地元アーティストによるクラフトの屋台や、アンティークを扱う屋台も沢山出ており、物欲に負けそうになるのをぐっと我慢。でも、折角なので、テントでブルーグラスの生演奏を聞きながら、BBQと地元醸造所のビールを楽しみました。ビールは軽い味わいのサマービール、チキンのBBQの付け合せは、Cowboy Beans(甘辛く煮付けた赤豆)とBaked Apple(要はアップルパイの中身)。強い日差しも夏らしくって、夏好きな私は大満足でしたが、足元でモカはお腹を地面にくっつけて舌を出していたのでした。でも、子どもたちに「可愛いね~」なんて撫でられると、デレデレになって尻尾振ってたんだけどw


 この写真には面白いエピソードがあって、お姉ちゃんが赤ちゃんをあやしている姿が可愛くてパチリ。よく撮れたと思ったので、見せに行きました。西部開拓時代や南北戦争時代の衣装を着ている人が多かったので、そんなグループかと思ったら、アーミッシュの人達。彼らは写真を撮られるのを嫌うので「まずい!」と思ったのですが、「あら、ほんと、いい写真ね」と、おばあちゃんらしき人がすかさず自分の携帯を取り出して、私の携帯の写真をパチリ(@_@)時代は変わっていくのね~

EX MACHINA – エクス・マキナ ネタバレ・感想

2015-07-24 | 映画・ドラマ・本
 息子たち絶賛で、激しく薦められたので図書館で借りてみたカルトっぽい一作。SFファンタジーかと思ったら、こわ~いお話でした。

 巨大検索エンジン会社のコーダー、カレブ・スミスはくじにあたって、この会社の創立者で、人前には滅多に姿を現さない大金持ちの山奥の家に一週間招待されます。カレブって名前がまた、今時の名前なんだけど、いかにもオタクっぽさが漂う、ひょろっとした若者らしいイメージがありますね。全米のカレブくんのご両親、ごめんなさい。で、カレブ君、大喜びで週に一回、ヘリコプターが来るだけという、とてつもなく辺鄙な一軒家に行って、その創立者、ネイサンに会います。ネイサンって名前が、いかにも頭はいいけど変人って感じでいいですね。全米のNathanさん、すみません。で、もちろん、タダで家において飲み食いさせてやろうってんじゃなくて、AVAって名前のアンドロイドと、チューリングテストをやってもらうって言われるの。チューリング・テストっていうのは、コンピューターと人間が会話して、人間と変わらないような受け応えをしたら、それは人工知能だと判定できるっていうテスト。つい先日、「イミテーションゲーム」を見たばかりの私に抜かりはなかった。

「イミテーション・ゲーム」って、ベネディクト・カンバーバッチがアラン・チューリング役でね、第二次世界大戦中にドイツの暗号「エニグマ」を解読するために集められた英国の頭脳「Ultra」ってチームを率いた人で、「クリストファー」と名付けた機械で暗号を読み解くことに成功したんだけど、これは国家の最高機密だからって終戦後はなかったことにされちゃって、讃えられることも感謝されることもなく、それどころか同性愛者だからって裁判にかけられて、ホモセクシュアルという「病気」を治すための薬の服用を義務つけられて、1952年に自殺しちゃったんですね。やっと2009年に名誉回復なったそうなんですが、死後半世紀近くも経ってから、何を今されなんですけどね。

 まぁ、それはいいとしても、天才役ならこの人!のカンバーバッチ氏が上手いんですよ。絶対に共感できるタイプの変人役なのに、見てる側がどんどん彼に惹かれていくんです。なんで機械の名前が「クリストファー」何か、とか、彼の理解者である女性の存在とか、もー、それはそれは切ない映画なんです…と、話ずれてますけど、そのチューリングさんが、コンピューターも存在していなかった時代に提案したのが、この、人工知能判定するテストなんです。去年、初めてこのテストに受かったコンピューターが出たって少し話題になりましたよね。ウクライナの13歳の少年に設定されたコンピュータでした。13歳の少年ってのはなんとなく納得できるんだけど、なんでウクライナやねん?と激しく疑問に思った記憶が…

 で、そのAVAちゃんなんですけど、ロリ顔で小柄で、右上のポスターのように、顔以外は機械のままなんです。そこがなんとも言えぬエロティズム。AVAちゃんがお洋服着て出てくると、カレブ君の好みそのもので、花柄ワンピにカーディガン。これがやり過ぎで、カレブくんは「俺、くじで当たったんじゃないやん!最初から仕組まれてて、俺がテスト役に選ばれてたんやん!」と気付いちゃう。何しろ作った本人が、世界最大の検索エンジンを作って運営してる人ですから、カレブくんの検索履歴から好みとか、ぜーんぶ把握してる。ここで、アンドロイドでもいい、好み通りの異性とお友達になりたい、と、思った私は、ダメな人間でしょうか?

 自分のダメっぷりはさておき、カレブ君は当然それが罠だと判っていても、理想をそのまま具現化したAVAちゃんに「このテストに失敗したら私はどうなるの?」とか言われて、ネイサンに、「メモリーを移管して次のアップデートバージョン作るだけ」とか返事されるとズルズル泥沼。しかもタイミングよく前のバージョンが出てきたり。この山荘には、ネイサンとAVAの他に、キョーコってお寿司を作るのは上手いけど英語は全くわからない女性がいるんですが、彼女もまたAIなのは、最初から明らか。でも、こっちはちゃんと全身が人工皮膚に覆われ、セックスのお相手もできちゃう。キョーコの前のバージョンはジェイドって中国人で、ネイサンはアジア人女性フェチらしい。なーんかITの天才って言うか、オタクは東洋人女性好みって偏見があるような気がする。確かにザッカーバーグの奥さんも中国系だけどさ。

 このキョーコ役はミズノ・ソノヤって日本人が演じていますが、背がスラリと高く、ミステリアスな雰囲気の美人。メイキングのインタビューでは、英語も殆ど訛りがなくて流暢だし、今後、どんどん活躍してほしい!キョーコ役は元バレリーナだからダンスが上手いのですが、ネイサン役のオスカー・アイザックも上手くて感心しました。この人は今度のスターウォーズで大役を射止めた注目株の役者さん。歌手でもあるのだとか。歌って踊れるスターウォーズなんですね。どっかで見た顔だと思ったら「ドライブ」の情けないムショ返り亭主でした。
  
カレブくんをドン引きさせた問題のダンスシーン。観客の私も引いたわw


 どっかで見たといえば、カレブ君のドーナル・グリーソンは、この間見た「フランク」の主人公でもありました。似たような役だ。でも、ハリポタ・シリーズのビル・ウィーズリー役が一番、有名かな?そして、この映画の監督・脚本、そしてロボットのデザインをしたアレックス・ガーランドは、カズオ・イシグロ作品映画化「Never Let Me Go(邦題:わたしを離さないで)」の脚本を書いた人。私の好きな映画がこれだけ並べば、この映画を好きになるのは仕方ないわ。

 さて、すっかりAVAに情の映ったカレブくん、当然ながら一緒に逃げよう!ってなっちゃう。AVAちゃんも自分のことを好きなみたいだし。でも、先日、「Her(世界でひとつの彼女)」を見たばかりの私に抜かりはありませんでしたよ。待て、カレブ、相手は人工知能OSや!信用したらあかん!って。でも私はダメ人間なので、「Her」に出てきた、スカーレット・ヨハンソン声の的確にアドバイスをくれるポケット型人工知能は本気で欲しいですけど!

 で、案の定、裏切られて、美しき人工知能は世に放たれます。怖いですねー。人間界に出た彼女はこれから一体、何をやらかすんでしょうねー。ああ、恐ろしい…と、いう映画でした。スティーブン・ホーキンス博士なんかは、AI開発に反対なのだそうです。人間、負けるから、絶対。人間のほうが滅ぼされるから、というのが理由だそうです。「ターミネーター」とか「火の鳥」みたいね。でも、セクサロイド・ロボットとかはどう思っておられるのかしら?だってホーキンス博士ってスケベじゃありませんか?(自動発射なんでしょwww)なにしろ私、最近、「博士と彼女のセオリー」を見たばかりですからね。抜かりはありませんよ…

世界大戦のポスター展@デイトン・アート・インスティチート

2015-07-19 | Museumsとイベント
 今週末は今年一番の暑さ。しかも、湿気が高くて、まるで大阪の夏みたい!とても屋外で歩きまわりたい天気じゃ無いので、愛犬はガッカリだけど、私は冷房の効いた屋内で週末を楽しみたい。そこで、新しい特別展が始まったばかりのデイトン・アート・インスティチュートを訪れました。うちから車で30分以下、ほぼ一本道(二回曲がるだけ)なので、気軽に行ける美術館です。

 今の特別展示は、世界大戦時の英米のポスターを集めた展示と、第一次世界大戦の記念碑を白黒写真でとらえた「石の涙」(Call to Duty: World War Posters & Tears of Stone)です。独立記念日の7月4日から、10月4日まで開催中。
 


 例によって、特別展は撮影禁止なので、特に印象的だったポスターをGoogle Imageで探してきました。猫タンクは黒猫のポスターというだけでポイント高しなのですが、このビビッドな色合いは目を惹きますよね。そして日本人としては、なんとも微妙な気になる、左のポスター。俺のこと覚えてっかな?まだ戦ってるとこだよ?と、帝国軍人が憎々しくニタついています。当時は、人気のポスター職人が何人かいて、展示されていたポスターの多くは、そんなポスター職人の作で、それぞれに特徴があるのですが、このポスターの作者については詳細が不明。他に同じ画家によるポスターも存在しないそうで、独特のタッチが異彩を放っていました。
   


 アメリカのイギリスのポスターが展示されていますが、面白いのは、イギリスのポスターは、息子が「あの戦争の時、パパは何をしていたの?」って聞かれたら答えられますか?みたいに、罪悪感に訴えかけているのに対し、アメリカはピンナップ・ガールが「私が男だったら海軍に入ったのに!」とか、女の子にモテたきゃ兵隊になろうぜ、的な訴えかけが目立つこと。国民性がでてますねぇwww ドイツやフランス、ロシアのポスターも見てみたくなります。日本の場合は「欲しがりません、勝つまでは」だけど、アメリカのポスターも、第二次世界期のものは「食料を無駄にするな」とか「国債を買って国を支援しよう」という、なんか同じような節約ムード漂うものに。いみじくもスネオくんのいとこのお兄さんが言ってたように、戦争は、お金がかかるものなのね。


Enemy 複製された男 ネタバレ!

2015-07-18 | 映画・ドラマ・本
 早速、図書館で借りてまいりました。要は「ファイトクラブ」で「シックス・デイ」な映画でした。脚本が、捻りはあるけど練りが足りないって気がしました。粉物をひねる前にしっかり練っとかないとポロポロとダマになって落ちちゃう感じ。全体が古い映画みたいに黄色いフィルターのかかった画面で、ずっと不穏な音楽が流れてて、登場人物の住んでいるのが、そこだけ異世界のような巨大団地。昔、なんたら洋画劇場で見た、ヒッチコックの「めまい」を思い出すなぁ、ってノスタルジーな気分で見ていたら、エンディングが本当に昔のサスペンス映画やアメリカの連続ドラマ番組風味で、なるほど、元からそこが狙いだったのかな?と、自分で納得。でも、このポスターは今風でおしゃれね↓


 最初のシーンは暗くて何が起きているか分からなかったので(うちのテレビ安物だからさ)、あそこで俳優が何かの暗示にかけられて教師という分裂した人格を創りだし、二回目に秘密の集会に行ってから、第二の人格はもういらんわ、と、未練のあった昔のガールフレンドともども脳内事故で殺して、代わりに奥さん巨大蜘蛛に見えちゃう妄想に変わったのかな?一病去って、また一病。難儀やねぇ… と、解釈しましたが、実は最初のシーンは、裸のおねえちゃんが一杯いるんだと、後であらすじを読んで知りました。いいところを見逃した!

 一人二役で、見た目は同じなのに全く違ったキャラクターを演じるのって、役者さん的には楽しいんだろうなと思います。双子だけど、「仮面の男」のレオナルド・ディカプリオは、目付きの悪い性格悪い王様と、幽閉されてた優しい目の弟を演じ分けてました。「るろうに剣心」みたいね。アダムとアンソニーが同じ画面にいた時の、シャキッとして自信に溢れた上から目線の役者と、猫背で両手を上着のポケットに突っ込んだ教師とか、解りやすい。普通なら、役者の方が妄想っぽいのに、実は冴えない教師のほうが妄想だったってのが引っ掛けポイントかな?

 それにしても、あまり仕事のない三流役者(を、売れっ子が演じるのも面白い?)が、ずいぶんといいアパートに住んでるんだなって思ったのですが、冒頭で、お母さんから電話がかかってきて、アパートに招待してくれて有難うって言ってるし、お母さんの家には何やらアートらしきものが沢山なので、裕福なアートディーラーのお母さんが買ってくれたのかも。お母さんの家で、息子が真剣に妙な悩みを打明けてるのに、うちの息子、頭大丈夫かしら?と、心配するより、「あなたは私の一人息子よ!いい加減にしなさい!」と、ムッとしているとこから、以前にも、この息子は、妙なことを言い出すことがあったんでしょう。しかし、イザベラ・ロッセリーニは上品で素敵なオバサマだわねぇ… 私もあんなに素敵なオバサマになりたい。

ナイトクローラー (実話の後日談付)

2015-07-12 | 映画・ドラマ・本
 そのままのタイトルのコンピューター・ゲームもありますが、犯罪小説や映画のジャンルにも、「LAノワール」という分野があると思います。フィルム・ノワール(虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画 を指した総称;狭義には、1940年代前半から1950年代後期にかけて、主にアメリカで製作された犯罪映画を指す…Wiki先生より)の系統を継ぐ映画が、「ブレード・ランナー」や「チャイナタウン」、もう少し最近だと「LAコンフィデンシャル」や「コラテラル」、「ドライブ」とLAを舞台にしている。その「LAコンフィデンシャル」原作者である、ジェイムズ・エルロイの「LA暗黒4部作」等、LAの闇を背景にした作品は枚挙に暇を尽きません。なぜ、LAばっかが悪の巣窟にされるのかというと、映画作ってる人がLA周辺に住んでるので自分の周りのアラは目に付き易いとか、アホほど青い空の下、道行く人は何も考えてないような顔してて、音に例えるなら「ぱっかーん!」って感じのやけに明るい街だからこそ、闇世界との対比が面白いからとか、色んな事情はあるのでしょうが、「NYノワール」や「マイアミ・ノワール」もありそうでないのは不思議。「タクシードライバー」は「NYノワール」にしてもいいかな?でも、この頃はなんだか、NYを舞台にした映画そのものが減ってるような?9・11以来、なんだか扱いにくい街になっちゃたのかな?

 ともあれ、旅行でお財布が枯れすすきな上、天気予報は雨なので、今週末はどこにも出掛けず家にいようと決めた私、図書館に映画を借りに行きましたが、金曜夕方の図書館は、新しい映画DVDがあんまり残っていません。歯抜け状態の”NEW!"の棚を眺めて、これといって観たい映画はないけど、なんか観たいし…と、手にとったのが「ナイトクローラー」。うち帰ってから調べると、とても評価の高い一作(Rotten Tomatoesで95%、IMDBで7.9だと)でしたが、この時は他に興味のある映画ないし、LAから返ってきたばかりで里心がついているので、ロサンゼルスが舞台というだけで選んだ作品。

 Nightcrawler(夜を這うもの)とは、警察の無線を傍受して事件を追っかけ、現場の映像を撮ってTV局に売りつけるパパラッチのこと。こそどろで日銭を稼いでいた失業者のルー・ブルーム(ジェイク・ギレンホール)は、偶々、交通事故現場に遭遇し、その模様をゲリラ撮影しているパパラッチを見て、「これだ!」と、思いつく。これがまさに運命の出会い、天職だったのですね。どうも善悪に対する常識や、他人への感情が欠如しているらしきルーは、衝撃映像を追って、報酬を得ることが全てであり、同業者が事故って救急車で運ばれる場面も、自分のアシスタントが撃たれて死にゆく姿も冷徹に何の感情も挟まず録画して、放送局に売りつける。インターネットを駆使して情報を得、スマフォのGPSをもとに事故現場へと急ぐ。多くのサタイアが込められた映画だと思いますが、私は深く考えずスピード感あふれる夜のカーチェイスや、ジェイク・ギレンホールのキレっぷりを楽しみました。

 ハリウッドには「カメレオン」と呼ばれる、役に合わせて痩せたり太ったり、髪の毛抜いちゃったりなんて極端な役作りをする俳優さんたちがいます。ロバート・デ・ニーロやクリスチャン・ベイルがその代表格でしょうか。「デ・ニーロ・アプローチ」なんて言葉もあるくらいだし。でも、彼らはあくまでもデ・ニーロであり、ペンであって、どんなに変身して、雰囲気までガラリと変わっても誰だか判らないってことはない。色は変わっても、カメレオンはあくまでもカメレオンなのだ。それは、色が変わったくらいじゃ覆い隠すことの出来ないスター性とか画面におけるカリスマの成せる技だからかも。この映画の主役を演じたジェイク・ギレンホール、次世代カメレオンの予感。と、言いますのも、「ブロークバック・マウンテン」の、あの子犬のようなカワイイ青年が、「プリンス・オブ・ペルシア」のかっこいい王子様が、もっと前の映画だと「遠い空の向こうに(October Sky)」(この映画、大好き!)のひたむきな少年が、すっかりイっちゃったサイコさんになりきっているのですから。しかも、次の映画ではボクサー役で、すっかりムキムキになっている模様。

 特に好きな俳優さんじゃなかったんだけど、気になり始めたので、図書館で他の出演作も借りてみよっかと思っています。まずは「エンド・オブ・ウォッチ」かな。


7月17日
 取り憑かれたように悲劇の現場を携帯で録画し、高い金額で売りつける男を主人公にしたこの映画は、私に強い印象を与えたのですが、時折しも実際にそのような事が起こりました。地元新聞紙のサイトに、男が死亡事故の被害者を助けずに録画、フィルムを売るつもりだったという記事が。この男は事故者のドアを開け、負傷した17歳の少年二人(後に二人とも死亡)を撮影してFacebookに載せ、そのフィルムを地元の地方局に売りつけようとしたのです。この男は、死にかけた少年達を助けようともせず、車が引火し、近所の人達が少年たちを助けようと車から引っ張りだしている間も、撮影し続けました。結果、勝手に車の後部座席ドアを開けた件で逮捕されることに。
 映画でも、主人公が映りがいいように死体を動かしちゃったり(バレてないけど)、警察より先に事件現場に入っちゃたりしてましたが、警察に疑いの目は向けられたものの、犯罪とは見なされなかった。映画ならではの架空の設定だから?それとも、ロスの日常茶飯事は、他の地域の非常識??

マッドマックス 怒りのデス・ロード

2015-07-11 | 映画・ドラマ・本
楽しかった~!

 私の住む田舎街からも、20分ほど運転すれば、ちゃんとシネコンがあります。しかし観客席が5分の1以上埋まってるの見たことない…っていうか、今迄に私が行った中で、一番お客が入ってるところでも20人以下だった。働いてる人の数のほうが多いんじゃないかって思うほど、お客さん少ない。いつまで経営が保つか超心配。せめて雀の涙でも営業に貢献すべくマメに行きたい気もするのですが、いかんせん画面小さい。私が映画を劇場で見るのは大画面で堪能したいからであって、これは絶対、音響の良いおっきなスクリーンで見ないと迫力ないよね、って映画じゃなければ家のテレビで十分何ではないかと。更に加えて、驚いたり笑ったり、どよめきの一部となって他のお客と体験を共有するのも劇場でお金を払って観る理由。だからガラガラの観客席で観て、一人で笑ってたら、かなり虚しい。いくら安いからって、ガソリン代使って劇場行く意味ないやんと思うのです(←そこまで言うか)。

 で、これは劇場で観なあかんわー、と、心に決めていたのが、30年ぶりの新作マッドマックスですよ。噂通りのキ○ガイっぷりで大満足でした。環境に全然優しくない狂気の車が砂漠を走る!お話は、ただ、ただ、「俺様の考えた、すげぇイっちゃってる車」が派手にカーチェイスするために適当にくっつけただけじゃないか?と思うほどに、もー、どうでもいい。そしてチャーリーズ・セロンお姉さまはひたすら格好良かった。お姉さまは、元が美しすぎるので、キタナイ姉ちゃんを演じるのが好きなようですが、元が美しいから、二枚刈りで「フンガー!」ってやってても格好いいんだと思うの。それにしても、あの義腕のCGすごいよね~

 寡黙な新マックスも良かったと思います。過去と罪悪感に囚われた孤独な男。彼は最後まで自分の名前を明かさない(もちろん観客は皆、知ってますが)。その彼が、重症を負ったフュリオサに、マックス、俺の名前はマックスだぁ、って名を明かした時に、己を取り戻す。オリジナルのマックスは、やはり過去に囚われつつも、それを怒りと狂気という形で爆発させていましたが、今度のマックスは派手なことやってるんだけど、爆発してる感じがない。ま、今となっては、メル・ギブソン自身がほんとに狂気を秘めてたってのが、判明しちゃったんですけど!

 いかにも小物風に登場したのに、意外と活躍して、カノジョは出来るわ、華々しくどっかーん!と死ぬわ、「Lovely day to die!(←うろおぼえ)」とかって名言叫ぶわ、で美味しいところを持っていった白塗りの青年(名前くらい覚えとけよ)、ずーっと、どっかで見た顔だなと思っていたのですが、「ウォーム・ボディー」のゾンビ君だった。「X-Men」では、ビースト君だったんですね。白塗りの役ばっかり。ハリウッドの歌舞伎役者、白塗り系アイドルですか。

 

 はてさて、LAの劇場らしい劇場で映画も楽しみ、オハイオに帰らなきゃと荷物を詰めてたら、クロさんが百均で買ったスノコの上ですまし顔。一緒に来ますか?

この世の箱は全て私のものなのみゃ

夏休み報告、LA犬猫事情とも

2015-07-10 | 犬と猫、たまに人間の息子
 先週はお得意様の工場閉鎖に合わせて、私の会社も夏休みでした。そこで息子たちやお友達にも会うべく、そして日本の食材や本を買いだめ、食い溜めすべく、お正月以来、約半年ぶりにLAへ行って(帰って?)まいりました。行きはからのスーツケース持って、帰りは規定の50ポンド(これより重いと、追加料金がなんと100ドルですよ)ぎりぎりまで詰めたスーツケースに加えて、預かり荷物の重量節約のために本をたくさん詰め込んだ手荷物引っ張ってきた

 久しぶりに会えたのは、人間だけではなく、LAにいる犬のサイモンと猫のクロちゃん、そしてお友達Aさんの愛犬たちで、私が子犬の頃からよく知っているグンタくんとアロちゃんも。この兄妹は大型犬なのですが、私にとっては可愛いパピー達。グンちゃんは男らしく凛とした表情でたくましく、一方アロちゃんは女の子らしくやわらかな表情で華奢な体型。同腹なのに大きさ以外はあまり似ていませんが、やっぱり仲良し。テキサスの州立公園で野犬をしていたサイモンは、すっかりお爺さん犬で甘やかされ放題、コロラド出身のクロさんは相変わらず甘えん坊だけど凶暴でした。西LAで自分から飼い猫になったミケさんには会えなかった。クロさんと相性が合わず、私が先にオハイオに行っている間に家出してしまい、一週間後に帰ってきてからは、わにおのお友達宅に預かられていましたが、その家の猫がミケさんをお母さんとでも思ったか、いきなりベッタリになっちゃったそう。ミケさんも満更でもなく、いつも二匹でくっついてるんだって。彼女は自分の運命を自分で決める猫なので、彼女が、私はこの家に住むみゃ、と、決めれば、人間の思いなど関係ない。もう私のことは覚えてないかも…
 
まずます哀れっぽい姿になってきたサイモンと、なぜか袋を被ってごきげんなクロさん

  
グン&アロと、サンタモニカの無印良品で飼主の買物に付合う犬

 LAは、ペットにとってもフレンドリーな街。わんこ同伴可、というよりわんこ同伴推奨なカフェも多数あるし、お店にも堂々とわんこ連れて入っちゃう。アニメ・エキスポにも、飼い主と合わせたコスプレで来てるわんこ、飼い主の腕に抱かれてるにゃんこに出会いました。

 そしてLA、サウスベイといえば、日本のお店がいっぱいで、海外にいながらも殆どの日本の物が手に入っちゃう。ほーんとにっ!贅沢な環境に居たんだなぁと、納豆買うにも一時間以上運転しなきゃなんない今となってはしみじみです。ブックオフでは、ネットで評判を見て読みたいなと思っていた本をほぼ全部ゲットできたし、好きな雑誌のバックナンバーも買えた。サウスベイの本屋さんが全て閉まっちゃったのは残念だけど、リトル・トーキョーとコスタメサの紀伊國屋さんでは、続きが気になってた漫画の単行本も、日本で出たばかりなのにもう買える。韓国スパで茹だった後の垢すりは最高だし、DAISOで可愛くてお役立ちなグッズを大人買いしても、お財布には優しいお値段。そして和食レストランの数々!一日に12軒のお店で食べられるよう、胃が4つ欲しくなっちゃう!
 
昼は牛角で焼き肉を食べまくり


ベニスビーチのボヘミアンなカフェで休憩、そして夜食にはラーメン


次にカリフォルニアを席巻するのは、これだ!



 往路は、中継地のシカゴへの便がキャンセルになり、アタシが乗る飛行機っていっつも予定通りに飛ばないのはなぜっ(ムキーッ)?!でしたが、復路は何も問題もなくスムーズで、むしろ、その方に驚きました。前回に比べて、日数に余裕があるので、もっと色々なことができるかなと思っていたのですが、ドタバタとあっち行ったり、こっち行ったり、出発直前に送った翻訳仕事のファイルを間違えていて、翻訳者仲間でもあるお友達に急遽PCを貸して頂いて打ち直したり(A子さん、あの節は本当にありがとうございました!)、痩せ過ぎな息子たちを太らせるべくカロリーたっぷりなお料理に励んだり(で、自分も食べてしまったり)、あれよ、あれよという間の一週間でした。今年のクリスマス~お正月のお休みはちょっと微妙なので、次は若息子の高校の卒業式がある来年の6月かなぁ… またまた散財しちゃったので(とほほ…)、1年間、またLAで美味しいものをたらふく食べて、MUJIやUNIQLOでお買い物して、本もたっぷり買い込めるよう節約しなくちゃね!

LA アニメ・エキスポ 2015!

2015-07-09 | 旅行
 まさかのAnime Expo'再参加です!たまたま、お休み最中のLA訪問中の週末に開催されたので、親子揃ってい
そいそと出かけたよ。なんだか毎年、規模も参加人数もアップしてきてるみたい。一昨年までは無かった撮影用の背景コーナーもあって、宇宙船の中や日本庭園、囲炉裏を囲んだ和室等々のプロップ前で、キャラクターのコスプレで決めた参加者がポーズを決めていました。アニメやゲームのキャラクターに扮する人もいれば、オリジナルなスタイルで決める人も。期間中は、バス停から、駅から、近隣駐車場から、コスプレした人達がゾロゾロと会場に集結します。LAコンベンション・センター前の交差点は、この日、世界で一番フシギな空間なんじゃないかと思う。たまたま観光バスで通りかかった外国観光客には、是非とも「ロスではこれが日常茶飯事です」って、平然と解説してほしいw

 
息子らもなんちゃってコスプレ

  
人も犬も鳥も(?)みんなコスプレ


  
世代を超えたコスプレーヤー達 


  
他にも会場で撮った写真をいっぱいFacebookにアップしたので、興味があればご覧あれv


 来るたびに思うのは、本当に老若男女、色んな人がコスプレを楽しんでいること。結構なお年を召したコスプレーヤーも珍しくありません。毎年参加している車いすのお母さんと息子の常連コンビは、既にレジェンドですし(まーた、これが、年々グレードアップしてるんだな)、ビクトリアンなドレスのおばさま軍団、背中に甲羅を背負ってサングラスを掛けたらコスプレ完成の実は日頃から亀仙人なじっさま、メタボなおじさんは紅の豚やスーパーマリオの体型を活かし(?)、一方でセクシーな美女がこれまた目のやり場に困るような(ガン見するけど)セクシー衣装で闊歩していたり。みんな、すっごく楽しんでるって感じがひしひしと伝わってきます。

 若息子は会場でお友達と合流、色々なゲームを楽しんできた模様。上息子と私はお店で散財したり、コスプレしてる人の写真撮ったり。一昨年のアニメ・エキスポには、上息子が当時付き合ってた女の子と行ったのだな。彼女は今年は、しっかりコスプレで参戦だってw その時の過去記事のリンクでは、上の真ん中写真、レジェンドな二人の一昨年の写真もあるので、比べてみてください。

 私もたっぷり堪能したけど、無念なのは、今年も日本から参加のお友達Kしゃんに会場で会えなかったこと。本当は、ホテルにお迎え行って、彼女のコスプレ勇姿も見られるはずだったのですが、駐車場代ケチって安いとこに停めたら、監視員がいないのをいいコトに勝手に停めちゃいけない通路に車を停めた奴がいて、お迎え時間に車を出せない事態に!暫くしたら、その連中が帰ってきて車は出せたんだけど、他にも車を出せずに怒っていたグループがいて不穏な雰囲気に… さっさと逃げたんだけど、時既に遅しで、Kしゃんは既に会場に向かっていました。約束してたのに、本当にごめんなさい(TT)

来年も、この時期が夏休みになるといいな。そしたら、私もエキスポ開催中はダウンタウンにホテル取っちゃうって手もあるかも??