わにの日々-アラフィフ編

大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の小さな街に暮らす日記

FROZEN  アナと雪の女王

2014年01月12日 | 映画
 ディスニー・アニメ最新作、とても評判の良い「Frozen(邦題:アナと雪の女王)」を観てきました。昨年11月の公開時には、大して興味はなかったのですが、とにかく評判がいい。映画に関しては気の合う友人が絶賛するし、息子たちも学校で友人たちに薦められて観たがっていたので、思い立ったら!と、劇場へと足を運びました。公開から既に1ヶ月以上経っているのに、劇場内は大方の席が埋まっていました。矢張り、小学校低学年の女の子を連れた親子連れが目立ちましたが、リピーターも多いのではないかと思います。上息子の「Best movie ever!(今まで最高の映画)」が、また一作増えたらしいのですが、ストーリーの意外性、CGアニメの美しさは、流石はピクサーの名作を手がけたジョン・ラセターと思わずにはいられないし、雪男のオラフやトロール達、そして特にトナカイのスヴェンという魅力的な脇役たちには、ディズニーの伝統を感じました。

 お話のベースはアンデルセンの童話「雪の女王」ですが、前作の「塔の上のラプンツェル(Tangled)」が、グリム童話を基にしながらも、好奇心旺盛で勇気があり、髪の持つ不思議な力を利用したアクションでは敵をバッサバッサと倒す女性の現代的な冒険譚だったように、「雪の女王」では、自分の力に怯える超能力者の悲劇が描かれます。手に触れたものは何でも凍らせてしまい、雪を降らせる力を持つエルサは、思わぬ事故で最愛の妹を凍らせてしまいます。両親は森のトロールに頼んで、アナを助けてもらいますが、れによってアナはエルサの不思議な力に関する記憶を失い、エルサの力はこれからも強くなるばかりと警告された両親は、エルサを部屋に閉じ込め、使用人を減らし、城の門を閉ざします。

 でも、そこはディズニーなので、両親は嵐に巻き込まれて亡くなっちゃう。人気少なく、窓も門も閉ざされた城の中で、アナは姉がなぜ閉じこもっているかを知らないままに年月が流れ、遂にエルサが女王として戴冠する日を迎えます。一方、数年ぶりに人の溢れる街に繰り出して、はしゃぐアナは、素適な王子様、ハンスと出会ってすっかり意気投合。昔のディスニー映画なら、王子様というだけでヒーロー枠確定なのですが、ハンスは上に12人の兄がいる、というのが少し引っかかるところ。自分の魔力を必死に抑えつつ、なんとか戴冠式を終えたエルサでしたが、妹が今日会ったばかりのハンス王子と結婚すると言い出して感情が迸り、魔力が制御できずに全てを凍らせ、国中を吹雪にしてしまいます。

 化物だと責められ、魔力も抑えられないエルサは、北の山へと逃げ込み、氷の城を築きます。そして一人きりになり、周りの目を気にしなくてもよくなって、初めて自分は自由になれた、開放されたと歌います。自分が真夏のアルペンデール王国を厳寒の地にしてしまい、戴冠式に駆けつけた他国の代表たちの船もフィヨルドに閉込められ、人々は寒さに震えている事は知りません。アナはハンス王子に国の采配を任せ、自分は一人、エルサと話し合うため北の山に向かいますが、途中で馬を失います。そこで氷売の青年、クリストフと彼のトナカイ、スヴェンに出会い、彼らを買収して北の山へ連れて行ってもらうことに。途中、エルサの作った雪だるまのオラフと出会って、無事にエルサと会うことのできたアナですが、エルサはまたしても意図しないのに、妹を傷つけてしまう。その頃、アナの馬だけが帰ってきたことで王子はアナを救う為に、貿易相手国の公爵はエルサを消すために北の山へ。

   
夏に憧れる雪だるまのオラフと愛すべき石のトロール達

   


 クリストフは、森のトロール達に助けを求めます。この愛すべきトロール達は、自分たちの養いっ子であるクリストフが女の子を連れてきたと盛り上がり、この子はFixer-upper(修理したら価値の出るお得物件)だよ、と、アナに歌います。クリストフ「この人は既に他の男と婚約してるんだ」と言っても、彼女の方も問題ありか、ってことは彼女もfixer-upperじゃん、と、気にしない。なんとも現代的。しかし、実はのんきに歌ってる場合じゃなくて、アナの心臓がエルサの冷気によって凍りついており、真実の愛なしには、このまま凍死してしまうと。クリストフは、アナの愛するハンス王子の待つ城へと急ぎます。ハンス王子がいながらも、クリストフともいい感じのアナ。これって三角関係!?一体どうなっちゃうの?というところで、以下盛大にネタバレなので白抜き文字:
 ぶっちゃけて言うと、この映画が、今までのディズニー映画の価値観を完全に引っ繰り返すような展開になります。ハンス王子は、実は王国を狙っており、エルサ、そしてアナを亡き者として自分が王位に就く気だったのです。凍えるアナを置き去りにして、氷の城で捕えたエルサを殺そうとしますが、エルサは逃れた後。オラフによって、アナの危機を知ったクリストフは、吹雪の中、アナを探します。

 やっと互いの姿を認め、お互いの愛を感じ合う二人でしたが、アナは自分を救うクリストフのキスよりも、今まさに剣を振りかざしたハンスからエルサを護る事を選びます。氷の像になったアナに抱きついて泣くエルサ。すると、アナは元に戻り、雪は止み、氷は溶け出します。真実の愛とは、アナのエルサに対する姉妹愛だったのです。ハンス王子は捉えられて本国送還。公爵の国との貿易は取りやめ。クリストフは、お城御用達氷売になりますが、エルサ女王が自由に氷を作り出せるのに、氷売の存在価値って一体…?でも大丈夫、プリンセス・アナは素朴な山男にお熱ですよ…と、目出度し、めでたしなのですが、この映画は女の子たちに大事な教訓を残しました。つまり

 たとえ王子様でも、会って直ぐ結婚しようなんて男は信用しちゃだめ!

 王子に美貌だけを理由に見初められ嫁に行ったシンデレラ、寝てる間にキスした奴とくっついちゃった白雪姫に眠り姫。逆に、男前の王子様だから助けて、家族を捨ててまでゲットしに行った人魚姫アリエル。美人なら全てOK、結婚相手が王子様なら文句なしにハッピー・エンドという、ディスニーの古典を、ちゃぶ台倒返しで覆すお話でした。ハンサムでスムーズな王子様は悪いやつだし、無論、アナは美少女、クリストフは男前なんだけど、この二人がお互いの容姿を意識する場面はない。国民が寒さに震えている時には城を開放し、毛布を配る等、良い奴を装いつつも、実は王国目当ての裏切者ハンスは13番目の男。一方、誠実な山男のクリストフ(Kristoff)の名前が、キリスト(Christ)を揶揄していると思えば、これはキリスト教が根底にあるようにも思えます。隠喩的とはいえ、宗教的なメタファーを盛り込んだ点でも、今までの子供向けディズニー映画とは少し違うと思いました。しかし、悪い王子の名前が、アンデルセンと同じハンスなのは、どういう意味があるのかなぁ?

 色々と予想を超えた展開でしたが、私は、エルサの雪と氷の能力に反して、アナには熱と炎の能力があって、その能力が目覚めて互いを相殺し合い、問題解決かと思ったのね。エルサが銀髪なのに対し、アナは赤毛だし。アナは素適な男性をみつけたけど、エルサにも頼れる雪男が現れればいいな、と、思いました。夏に憧れる無理男なオラフにも、ちゃんとオチがあります。いやはや、良かった、良かった…


   
雪の女王、エルサと妹のアナ。どちらもとても魅力的な女性です

 活動的で勇敢だけど、お茶目で恋に憧れるアナは等身大の女の子という感じで、小さな女の子たちはお転婆なアナを好きになりそうだけど、もう少し年上の小学校高学年くらい以上の女の子たちは、自分の魔力を、自分自身を恐れ、怯えて、外との繋がりを絶つエルサに共鳴する所も多いと思います。強大な力の持ち主というのも、厨二心をくすぐりそう。それに、エルサの戴冠式のドレスとマント、氷のドレスやお城はほんとうに素敵。透き通った氷やキラキラ輝く雪、アナの着ているマントのフェルトの毛羽立った感じなど、こだわりの感じられるCGは見事。時折、人物が人形に見えて、「赤鼻のルドルフ」や「フロスティー」のような古典のクリスマス人形劇を彷彿とさせました。そういや、スヴェンはルドルフには似てないけど、アナがなんとなくルドルフ似な気が…

 本編の前に、ミッキー・マウスの小編が上映されますが、3D効果をフルに活かした楽しい一作です。古典派にはウォルトの作品への冒涜だと批判する人もして、賛否両論らしいけど、私は好き。後ろの席の小さな子も大喜びしてました。本編の前に拍手が上がってたw 勿論、本編の後でも拍手でしたよv 「Tangled」、「Frozen」とおなじみの童話を新解釈で料理したディズニーの次作は何でしょう?期待してます!音楽も良かったし、DVD出たら欲しいな。

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追記:上息子がインターネットで、こんなの見つけてきました。エルサにぴったりのお相手は、ドリームワークスの「不思議の国のガーディアンズ」の主人公、霜の妖精、ジャック・フロストくん。制作会社が違うから、ロメオとジュリエットになっちゃうかな?

3月26日:「Rise of the Guardians(邦題:ガーディアンズ 伝説の勇者たち)」の感想付け加えました。
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6 コメント

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Unknown (エデンの園)
2014-05-14 15:06:23
エルサは触れた物を凍らせたりできるのですよね。とても素敵なあなたが触れる物がオパールやルビーや真珠やエメラルドやサファィアやダイヤモンドに変わると楽しいなと想像している僕でした
エデンの園さん (わに)
2014-05-15 08:22:57
それは、さぞや美しいでしょうね。私も一つ、恩恵にあずかりたい。
Unknown (エデンの園)
2014-05-15 20:40:55
とても素敵なわにさんも触れる物がオパールやルビーや真珠やエメラルドやサファィアやダイヤモンドに変わると楽しいなと想像している僕でした
エデンの園さん (わに)
2014-05-16 12:57:35
あら嬉しいv
氷と炎と (Neico)
2014-12-05 20:08:36
こんにちは。検索からお邪魔します。
「エルサの能力とアナの能力の相殺」の部分、私も同じように解釈していました。
同様に感じている方を見つけて嬉しかったです。
また立ち寄らせてもらいます♪
Neicoさん (わに)
2014-12-12 10:35:20
ブログ拝見しました。
大変に興味深い考察で、色々と目からウロコ!でした。
Neicoさんの観点から、もう一度観直します。
私も、今後、Neicoさんのブログに寄せさせていただきますm(__)m

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