しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

オリエント急行の殺人 アガサ・クリスティ著 山本やよい訳 ハヤカワ文庫

2017-09-30 | 海外ミステリ
ブラックアウト/オールクリア」を読んでいて作中何度も「オリエント急行の殺人」が登場し、ついには著者のアガサ・クリスティ本人も出てきたりとしていたので気になっていました。

その頃に丁度会社の若者と本の話になり「最近アガサ・クリスティにはまってます」というような話になり「ミステリーは最後全部解決するすっきり感がいいんですよねー」とも言われ「なるほど」と思いミステリーが読みたくなったのもありました。
(そういえばSFはモヤモヤ感残るかもです)

海外ミステリーは中学生頃(80年代前半)「ベスト」と言われていた作品を読もうとした時期があり、クィーンの「Yの悲劇」やらヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」クリスティは「アクロイド殺し」「そして誰もいなくなった」やらを読んだりしていましたがクリスティ作品の中でもメジャーな作品である本作は未読でした。

本作1934年刊行、‘12年週刊文春ミステリベスト11位’95年アメリカ探偵作家協会ベスト41位、英国推理作家協会ベストにランクインしてませんが本国で人気がないのでしょうか?

本は近所の本屋で丁度新訳出たのか平積みになっていたので入手。(新品です!)

また2017年11月公開でまた映画化されるんですね、クリスティは他のミステリー作家と別格で人気な気がします。(その辺のメジャー感はセイヤーズとえらい違いだ)

内容紹介(裏表紙記載)
真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……ミステリの魅力が詰まった永遠の名作の新訳版。


読後の感想、トリックは有栖川有栖氏が解説で「掟破り」度では「アクロイド殺し」に匹敵すると書いていましたが確かにそんな感じです。
読みながら「まさかなー」と思っていたのが本当にそうだったときのショック感はなかなか…。
解説では、チャンドラーが「こんな答えには鋭い知性を持った人が目を回すこと請けあいである。間抜けにしかわからないことだろう」と書いているとありましたがチャンドラーもだませれてくやしかったんでしょうね。

後から思えばポアロが丁寧に全員を尋問して「もしかしたらなー」とも思ったのですが…。
少しでも「ミステリー」かじったことがある人ほど騙されるというか「まさか」となるというなんとも人を食ったトリック、ミステリーの女王クリスティの面目躍如です。

オリエント急行殺人事件=「XXXXXがXXXなトリック」ということで定番化されているようですが…解説にもあるように知っていたら楽しみ半減するでしょうね。
知らないでよかったー。

「ブラックアウト/オールクリア」の感想でも書きましたが、ウィリスは本作のトリック、クリスティ作品のような掟破り感を出したかったのかもしれません。

でも「SF」でのお約束破りは納得できていない部分があるのですが…..。
ミステリーとしては本作のトリック「ありかなー」とは思いました。
(「なんでもあり」感ありますがミステリーはそうやって幅を広げてきたのかなーとも)

謎解き以外の部分では1930年代ならではの黄昏を迎えながらも誇り高い貴族たち、イスタンブール-フランス間の豪華国際列車の雰因気、その列車がユーゴスラビア山中で立ち往生するという、現代から見ればなんとも大時代な設定(それでも100年経っていないのが時代の流れの速さを感じます)も楽しめました。

ポアロのいかにもな名探偵ぶりも大時代でよかったです。

犯人発見後の結末は...「そんなんでいいのかよー」とも感じましたがそこも含めて古きよき名作を味わう作品なんでしょうね。

作中重要なエピソードとなるアームストロング事件はリンドバーグ愛児誘拐事件が下敷きになっているようですがそんな時事ネタを扱っていても古びないというか….時代の「味」になっている華麗な作品です。

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