しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

わたしはロボット アイザック・アシモフ著 伊藤 哲訳 創元推理文庫

2013-01-08 | 海外SF
アシモフ初期作品集を読んでいたら改めて読んでみたくなり探し出して読みました。

奥付を見ると1983年5月6日12版、私が中二の時の発行です。
(訳者の住所まで書いてある、おおらかな時代だったんですね。)

真鍋 博氏による表紙の絵も懐かしい...。
ハヤカワ版の「われはロボット」の方がタイトルがかっこよくて気にいっていたのですが、当時なんだかハヤカワSF文庫の敷居が高く創元文庫を買った記憶があります。
現題は「I,ROBOT」ですから、邦題の意味と、カルヴィン女史「and」「=」といった意味になってるんでしょうね。

内容はアシモフの初期の陽電子ロボットもののいくつかをスーザン・カルヴィン(ハヤカワだとキャルヴィン)女史への取材という形でくくり、ロボットの進歩という観点から連作長編的にまとめたもの、最初の発行が1950年。
もともとそれほど関連のない作品をまとめてしまう手腕さすがです。
違和感なくまとまっています。

中学生のころ読んだときはロボット工学三原則をうまく使った謎解き話にえらく感心した記憶があるのですが...。

読み返して見ると「謎解き」という点では今一つ切れがないかなぁという感想でした。
ただロボットものにかける若きアシモフの情熱が伝わってきて、「連作」でまとまって読むとロボットの進歩に感慨を抱く作品ですね。

各々見てみると、

「ロビー」
1939年とかなり初期に発表された作品。キャンベルには没にされています。
子守ロボットと少女の心の交流を描いた作品です。
単純と言えば単純な話なのですが、読み返してみてなんだか心を打たれました。(子持ちだからか?)
いい作品だと思うのですがなんで没にされたんだろう。

「堂々めぐり」
ドノヴァン・パウエルの二人が新しいロボットを試してトラブルに巻きこまれるというパターンの作品。(この二人はいつもこのパターン)
アシモフ初期作品集で「太陽のリング」の二人組を別な形で活用云々と書かれていましたがこの二人ですね。
三原則謎解きものですが、いまいち釈然としない感じを受けました。

「理性」
これもドノヴァン・パウエルもの。
ハヤカワ版だと「われ思うゆえに...」ですね。
なんとも小憎らしいロボットがおかしみを誘うシンプルに楽しめる作品です。

「あの兎をつかまえろ」
これまたドノヴァン、パウエルもの。
三原則謎解きものということになるのでしょうか。
オチというか謎解きが考え過ぎていて素直に楽しめない感じを受けました。

「嘘つき!」
人の心が読めるロボットの話。
「夜明けのロボット」からのアシモフの未来史統合という意味では記念碑的作品といえるかもしれませんね。
ただこの作品は三原則謎解きもの+スーザン・カルヴィンもの。
カルヴィンの人間らしさと、人間のおかしさを描いている作品。
連作としてみるとこの辺からロボットが単純な道具以上のものとして描かれだしています。

「迷子の小さなロボット!」
スーザン・カルヴィンもの。
これも三原則にからむ謎解きものです。
ドノヴァン・パウエルものより、「名探偵」役のスーザン・カルヴィンがどうにいっており楽しめます。
謎解き自体は納得はできますがもう少し鮮やかさが欲しいなかぁと感じました。
ロボットが人間に挑んでくるという不気味さがでてきており、連作長編の本書としてはこの後の伏線といえるかもしれません。

「逃避!」
スーザン・カルヴィンと、ドノヴァン・パウエルの競演。
アシモフ未来史の系列にこの作品ものっているとすると、ハイパー・スペース航法が初めて行われた記念碑的作品といえることができるのではいかという作品。
といっても航法を開発したのはロボットで人間はそれに振り回されています。
三原則謎解きの要素もあるかと思いますが、私には「謎解き」の部分はよく理解できませんでした。

「証拠」
ロボットも進歩してくると人間を超える存在になってくるというような話。
ミステリー仕立てにして謎解き話にしていますが、なんだか根本的に「これでいいのか?」と思わせられます。

「避けられた抗争」
これもロボットとコンピューターによる人間文明支配のお話。
アシモフも戦争に行って「人間文明」による恒久平和にかなり疑問を持っていたのかなぁと感じる作品。
私的にはこんな全体主義的な社会はちょっとやだなぁ。
「ファウンデーションと地球」につながる発想はこのころからあったんですねぇ。


全体として、短編各々を見て評価すると初期の作品だからか食い足りない感を受けました(ロビーは別)
ただ連作として読むとロボットの発展と人間といったものを考えさせられる作品としてなかなか楽しめる作品だと思います。
アシモフの最も好きな女性キャラクター「スーザン・カルヴィン女史」もなかなか魅力的ではあります。(つなぎの文含め)

ロボットものとしてはこの作品より後に書かれている「聖者の行進」(創元推理文庫)の方が上だと思うのですが、これも絶版なんですねぇ....、信じられない。

実家にあると思うのですが探しに行く時間がなかなかありません、残念。

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