宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

カシオペアの丘で

2007年07月21日 11時32分58秒 | 本のこと
新聞の書籍広告で発見。
その書評の群れについほだされて上下巻同時に買ってしまった。
そうでなくとも本代を使い過ぎる私の性癖上、小説の類は極力図書館で借りて読むことにしていたのだが、これは手元に置いておきたい気持ちになったのである。
それには、既に増刷されているとあったのにも拘わらず、私が手にしたそれが初版本だったことも少しく手伝った。
これも私の本に対する妙な性癖である。

単行本を一度に上下巻揃えて買ったのは、「ノルウェイの森」以来である。
そういえば、あれは一度読んだきりで、ついぞ開いたことがない。
悲しいことにその粗筋すら覚えてない。
落ち着いたら再読してみよう。
って、その「落ち着く」ってえのはいつなんだ?


肺癌から全身に転移する末期癌で余命幾ばくもない39歳の男と、それにまつわる男女の織りなす人情の機微・・・

一言で片づければ身も蓋もないか。
重松の作品にはこうした「死生観」を問うものが多い。
「死」を真正面から受け止めることで、どう生きるべきかを模索する。
多分、生まれてきた意義はそこにあるのではないか・・・なんて、達観している訳ではない私だが、その姿勢に対する共感は大いに持つ。


実は数日前に窓を開けたまま眠ってしまって、夏風邪をひいた。
ここ何年も、そういうときはオーバードライブというサプリメントと、葛根湯で切り抜けてきたのだが、今回はどうやらそんなに甘くないようだ。

風邪にも色んなタイプがあるが、今回の私がもらったそれは、喉にくるタイプだった。
微熱はあるが、特に頭痛はしない。
喉の奥(扁桃腺?)がヒリヒリして、それがやがて鼻にきた。
今はやたら鼻をかんでいる。
痰も出始めた。

これは多分、私の肉体がウィルスと闘っているということで、それらはその残骸と考えればいいのだろう。


この症状と、主人公シュンの進行とがやや似ている為に、健康体で読むよりも感情移入が激しいようだ。
正しく気力は体力である。

はて、私はこの夏を乗り切れないかも知れないと言われたらどうするだろう。
キチンと残された命の火を燃やし続けることが出来るだろうか。

多分無理だろうな。

自分の中で70歳を「区切り」と決めている。
だから、これまで「あと20年」と思って生きてきた。
でも、51歳になった今も「あと19年」ではなく、そのまま20年と思っているところを見ると、悲観的なフリをしつつ楽観的な男なんだろうなあと思う。

もしかすると、70歳になっても「あと20年」のままかも知れない。
結局100歳越えちゃったりして・・・









カシオペアの丘で(上)
重松 清
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ノルウェイの森〈上〉
村上 春樹
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