鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

常用下つき欄の一級見出し熟語を探す

2007年03月10日 | 三点セット1 漢検漢字辞典

 18-3の類義語の書き取りでお手上げだったものに扞格がありました。私は、「辞典」の1級漢字が親字のところにある見出し語は全部目を通しましたので、扞格も、見た筈なのですが、全く想起できませんでした。一度目を通した位で書ける訳がありません。

 扞格は、常用漢字格の下つき欄にも載っています。この下つき欄には、当該漢字が下につく熟語が全部載っている訳ではなく、「この辞典の使い方」(9頁)によれば、

学習性が高いものを選び、五十音順に配列した

とあります。学習性が高いというのは、熟れない日本語ですが、要するに学習しておくと良い熟語という意味でしょう。

 常用漢字の親字欄は、1級漢字が含まれた見出し語だけは全部チェックしましたが、下つき欄は殆ど目を通していませんでした。常用漢字の読み書き(表外音訓を含む)を間違ったときは、当該親字の欄を見るようにはしていますが、下つき欄に載っている熟語は、常用漢字で構成されたものが殆どであまり見る価値はないと思っていました。6級配当の格のところに扞格が載っているのを発見し、ちょっと吃驚しました。

 他にもあるかなと思って探し出すと、これが結構あるんですね。しかも、よく問題に出てきそうなものがごろごろしています。次の記事から少し紹介してみようと思います。



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8 コメント

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「学習性」の指標 (大岡)
2007-03-11 11:45:02
>学習性が高いというのは、熟れない日本語ですが、要するに学習しておくと良い熟語という意味でしょう。

「学習性が高い」と漢検協会が認識している→出題可能性が高いというのは、合理的な推定だと思います。
漢検協会がどのような熟語を「学習性が高い」と認識しているかの目安として、下付き語欄に注目されているのですね。
では、そもそも、漢検協会は、どのような語を「学習性が高い」と認識しているのでしょうか。
白魚一寸さんがこれまでピックアップされた例から、私は一つの予想を立てました。「国語辞典にも掲載されている熟語」は「学習性が高い」と。
本記事の「扞格」は漢和辞典にも国語辞典にのっていますし、しのぶんさんのブログで「雛霰が載っている漢和辞典はそうはない」とコメントされていた「雛霰」も、国語辞典の多くにのっています。
1級配当漢字を使う熟語で、どの熟語が国語辞典にのっているかは、Super日本語大辞典で配当漢字を検索し、「熟語一覧」をクリックしてみれば、下付き語も含めて一目瞭然ですね。「国」のマークがついているものがそうです。

ついでに、これはさらに不確かな予想なのですが、漢検の作問担当者は、少なくとも過去の一時期の下位級では大辞泉の用例を参考にしていた形跡があります。私はかつて漢検2級の書き問題を全問データベース化して教材を作りました。その際に、広辞苑をはじめとする複数のPC国語辞典を串刺し検索し、子供にとってわかりやすい語義を選んでコピペし、その用例に、過去問を追加するという方法をとりました。国語辞典の語義中の用例と過去問の短文とでほぼ内容が重複している場合は、追加ではなく、過去問で上書きしました。すると、2000年度あたりまで、大辞泉特有と思われる用例を過去問で上書きする経験をちらほらしたのです。準1級では最近の過去問についても経験しています。このことから作問担当者が2級は後進にまかせて上位級担当にうつったのかなあと想像をかき立てられました。貴ブログの対象とする1級については、まだ作業してないので不明ですが。

「学習性」に関連して、最近、注目しているのが明鏡国語辞典です(LogoVista版ならEpwing化せずともJammingで検索対象にできます。Epwing化したSuper日本語大辞典との串刺しがおすすめです)。
「扞格」についてみると、広辞苑では語義だけで用例がなかったり、大辞泉では文語の用例であったりするのですが、明鏡は口語の用例です(「双方の意見に―がある」「―齟齬(そご)」)。口語の用例であるほうが、学習者にとって理解しやすいことはもちろんのこと、実際の出題が口語用例中心である以上、出題予想としても妥当かもしれません。
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辞典の話 (白魚一寸)
2007-03-16 22:32:17
>「学習性が高い」と漢検協会が認識している→出題可能性が高いというのは、合理的な推定だと思います。

大岡様に太鼓判を押して戴いて光栄です。

>「国語辞典にも掲載されている熟語」は「学習性が高い」と。
>1級配当漢字を使う熟語で、どの熟語が国語辞典にのっているかは、Super日本語大辞典で配当漢字を検索し、「熟語一覧」をクリックしてみれば、下付き語も含めて一目瞭然ですね。「国」のマークがついているものがそうです。

Super日本語大辞典にこういう機能があるのも初めて知りました。扞の熟語は、14個出てきますが、国語辞典に載っているのは「扞格」だけですね。「辞典」の見出し語には、「扞禦」がありますが、これは出題可能性が低いのかもわかりません。(なお、「扞禦」は同訓(ふせぐ)で構成された熟語ですから、訓を憶えるのに役立つ熟語ではあります。)

>雛霰

Super日本語大辞典の霰の熟語で「国」がついているものは結構あります。「辞典」の見出し語だと、

音読みで、霰弾、榴霰弾(これらは散弾でもいいから出ないかな)、急霰
訓読みで、雛霰の他、霰餅、雨霰

Super日本語大辞典所収の学研国語大辞典は、約10万2,000語だから、学習性が高いものを絞るのには多すぎるかもしれない。そこで、娘が使っている、「三省堂 現代新国語辞典」(約71000語)を見たら、雛霰は載っているけど、扞格は載っていない。やはり、10万程度の国語辞典で絞っていくしかないかもしれません。

>漢検の作問担当者は、少なくとも過去の一時期の下位級では大辞泉の用例を参考にしていた形跡があります。
>2000年度あたりまで、大辞泉特有と思われる用例を過去問で上書きする経験をちらほらしたのです。準1級では最近の過去問についても経験しています。このことから作問担当者が2級は後進にまかせて上位級担当にうつったのかなあと想像をかき立てられました。

私は、古典の用例は気にしていますが、現代文の用例まで検討されているとは! どの辞書を使っているまで推測するとは凄いなあ。
「大辞泉」は持っていません。yahoo辞書で使われていますね。

>貴ブログの対象とする1級については、まだ作業してないので不明ですが。

作業が進みましたら、また教えて下さい。

>「学習性」に関連して、最近、注目しているのが明鏡国語辞典です。「扞格」についてみると、広辞苑では語義だけで用例がなかったり、大辞泉では文語の用例であったりするのですが、明鏡は口語の用例です(「双方の意見に―がある」「―齟齬(そご)」)。口語の用例であるほうが、学習者にとって理解しやすいことはもちろんのこと、実際の出題が口語用例中心である以上、出題予想としても妥当かもしれません。

漢字は、熟語で憶えた方が憶えやすいし、熟語も用例の中で憶えた方がいいのかもしれません。「明鏡」も持っていませんが、評判良さそうですね。

私は、用例は、専ら「日国」(旧版)です。20冊14000円(1冊700円)の古本を買いました。新版が出てから値崩れしています。「扞格」だと、古典用例の他、漱石の彼岸過迄(須永の話 28)から「理と情との間に何らの矛盾をも扞格をも認めなかった」が載っています。

なお、今日、図書館で、『現代漢語例解辞典』見てきました。親字の意味別に、熟語が配列され、熟語の意味も載っているっていいですね。でも、常用漢字は丁寧だけど、1級漢字は、あまり意味別になっておらず、貧弱な感じがしました。

娘達が使うといいと思いました。それで、娘に「漢和辞典」使う? って聞いてみましたが、「使わん」でした。高校、中学の進学祝いに買おうかと思いましたが、やめておきます。
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学研辞典の1級熟語数、用例の出典 (大岡)
2007-03-20 15:44:48
>Super日本語大辞典の霰の熟語で「国」がついているものは結構あります。

熟語収録数を調べてみました。
『学研国語大辞典』の見出し語のうち、漢検1級配当漢字を含む熟語が7560語。
そのうち『学研漢和大字典』(1級配当漢字を含む熟語12077語)に未掲載の熟語が4169語です。そこには『学研漢和大字典』収録語と実質的に同一語ながら読み方のゆれで別の語と認定してしまったものも多少含まれるので、それを差し引いて、約4000語です。
この『学研国語大辞典』特有語(『学研漢和大字典』には未掲載の語)4000語が、『漢検漢字辞典』の特有語(既存の漢和辞典には掲載されていない訓読み熟語など)とどの程度傾向が合致するかは不明ですが、それはともかくちょっとした予想問題集にはなる気がします。
なお、ATOK漢検辞書を更新して、これらの熟語も収録しました(ただし、すべての収録語が渾然一体となって五十音順にソートされているので、『学研国語大辞典』特有語4000語の予想問題集としては機能しません)。

>私は、用例は、専ら「日国」(旧版)です。

いいですねえ。私も、用例の出典については日国を見ずしてうかつなことはいえないとも考えているのですが、いかんせん場所を取ること、さらに電子化されていないゆえの検索性の低さがネックになって、利用していません。
日国オンラインが7月に開始されたら入会して検索しまくるつもりです。
http://www.japanknowledge.com/guest/promotion/nikkoku/index.html
http://www.netadvance.co.jp/2006/11/jk_4.html

『学研漢和大字典』、さらに一冊本で最大熟語収録数を誇る講談社『新大字典』、『大辞林』など主立った中型国語辞典にも掲載されていないような漢検出題熟語、
具体的にたとえば「短雋(たんしゅん)」は、日国に出てますか?
日国にも出てない予感がしますが、もしそうだとすると、何を調べればよいのでしょうね。諸橋大漢和までいかざるをえないとすると、また置き場所に困りそうです。
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短雋ではないコメント (白魚一寸)
2007-03-22 07:07:25
>この『学研国語大辞典』特有語(『学研漢和大字典』には未掲載の語)4000語が、『漢検漢字辞典』の特有語(既存の漢和辞典には掲載されていない訓読み熟語など)とどの程度傾向が合致するかは不明ですが、それはともかくちょっとした予想問題集にはなる気がします。

1級漢字で本試験に出るのは、2300位だと思いますので、4000語だと、1漢字平均約1.7熟語になりますね。少し少ない感じもしますが、漢検の場合、特に書き取りは同じ熟語ばかり出ますので、直感的には4000語習得すれば合格ラインに達するような気がします。

ただ、『学研国語大辞典』には、本試験ででるような熟字訓(例えば、瓊脂 とか牛尾魚とか)は収録されていないので、こういうものは補充が必要なのかもわかりません。

>日国オンラインが7月に開始されたら入会して検索しまくるつもりです。

個人で月1,575円はちょっと高いなあ。

>いかんせん場所を取る

大岡様もamazonのリストマニアの本だけでも相当ありますから、相当本はお持ちでしょうね。本の置き場は、本好きの永遠の悩みですね。私の場合、古本屋で、全集とかが廉価であるとつい買ってしまって、家人に顰蹙(F5で3種類もでました!)を買っています。「日本の文学」(中央公論社全80巻)、「現代日本の美術」(小学館全31巻)、「森銑三著作集」(中央公論社全13巻)、「契沖全集」(岩波書店全16巻)。でも知人にはもっと凄いのがいますから、私などは可愛いものです。

>「短雋(たんしゅん)」は、日国に出てますか?

予想通り、出ていません。「日国」には、探春だけです。

>もしそうだとすると、何を調べればよいのでしょうね。諸橋大漢和までいかざるをえない

短雋は、「大漢和」にも載っていません。なお、「大漢和」もyahooオークションで旧版の小さいもの(台湾版 全13巻)を18000円で糶勝ちして入手しました。台湾版は、毛沢東など、中国共産党に関する語句の意味が削除されていますが、使用には全く差し支えありません。

また、「字通」にも短雋は、載っていませんでした。ネットにある辞書ではKO字源http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/zigen/が収録数最大と思いますが、茲にも出ていません。日本の辞書で駄目であれば、「征服」5頁に紹介されている「中華字海」を見る必要があるのかもわかりませんね。今度図書館で見てこようかなあ。ググると、中国語のサイトが結構出てきますので、中国では使われている熟語のようですが、私は中国語はよくわかりません。

尚、10-1(「征服」では14頁 1番)の読み問題文の「文は短雋を以て人に勝る」は、ヒットしませんね。問題文からすると、短雋は、短くて、雋れているという意味でしょう。

以前記事でも書きましたが、昔は、問題集に1級漢字が出てくると、その1級漢字の勉強のため、該当漢字の「辞典」の熟語全部(下つき齬も含む)、「捷径」の熟語全部を、「新字源」「字通」「大辞典」の3冊で見つかるまで引いていました。それでも、ないものがときどきあり、「大漢和」が必要だなあと思った次第です。

辞書を引くことには慣れましたし、1級漢字かどうかも大体分かるようにはなりましたが、時間がかかる割りには定着しないので1級合格のためにはお勧めできる方法ではないことは、以前記事でも書いたとおりです。

最近は、「辞典」「四字熟語」の見出し語に載っていないものは、まあええかと思っています。特に音読み熟語の読み問題には、載っていないのが結構出ますが、書き取りでは出ないでしょうから、点を取るという観点だけからは、邪道ですが、意味は分からなくても、読めればいいと思っています。
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意味を調べる労力 (大岡)
2007-03-23 20:43:14
>大岡様もamazonのリストマニアの本だけでも相当ありますから、相当本はお持ちでしょうね。

はい、相当あります。ただ白魚一寸さんのような格調高い本ではなく、図書館では借りられない参考書のたぐいが多いです。段ボールに入れて積み重ねて一部屋占領しているので、どこになにがあるか探しにくくてうんざりです。
日国や漢和大辞典も、段ボールに入れて積み重ねる方法でよければ置き場はあります。しかし、そうなると、必要に応じて調べるということはできないので、やはり居間に並べたいですね。

短雋について調べていただきありがとうございました。
大漢和の台湾版というのをはじめて知りました。調べてみたら安さ軽さと魅力的なので、いずれ入手したいと思いました。
私も中国語がわかりませんので、中国の辞典にしか意味がのっていないとなると厳しいです。中国では漢和大詞典がデジタル化されているようですが。

>時間がかかる割りには定着しないので1級合格のためにはお勧めできる方法ではないことは、以前記事でも書いたとおりです。

そうですね。特に、手近の辞書に出てないのでは、労力対効果が見合わないという判断はもっともです。
ただ、私の場合は、教材利用者が学習するにあたって必要とする労力のうち、教材側の構成で軽減できるものは軽減しようという視点に立っています。すると、たとえ教材作成者たる私の労力が大きくなるにしても、それによって利用者の労力が軽減されるのであれば、できるかぎり追求したいと思うしだいです。
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漢語大詞典 (大岡)
2007-03-23 21:02:24
漢和ではなくて、漢語大詞典でした。

漢語大詞典のデジタル版レビュー
http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/index.php?中文電脳%2F漢語大詞典v2
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最近、儒学の本ばかり読んでいる (白魚一寸)
2007-03-30 00:20:55
>段ボールに入れて積み重ねて一部屋占領

こりゃ凄い! 私も結婚当初から何年間も段ボールが積んであったけど、全く開けることもないため、可成り捨てました。

>日国や漢和大辞典も、段ボールに入れて積み重ねる方法でよければ置き場はあります。しかし、そうなると、必要に応じて調べるということはできないので、やはり居間に並べたいですね。

我が家の居間の本棚は、以前は、知人から貰ってきた子供の本ばかりでしたが、大きくなったきたからどんどん処分。その代わり私の本が浸食。「日国」も「大漢和」もその他の辞書も漢検関係も全部居間の本棚にあります。お子さんは小学校3年生でしたか。そのうちですよ。

>短雋

図書館で調べてみましたが、「中華字解」でも「漢語大詞典」でも、短、雋いずれの親字欄にも載っていませんでした。「中華字解」は、漢字が多いだけで内容は貧弱ですから載っていなくて当然ですね。しかし、「漢語大詞典」にもないとなると、出題者はどこから探してきたのか? 以前記事にした咽喉右臂と同じです。短雋は、10―1、咽喉右臂は、13-1ですが、最近の音読み熟語でも、どこにも載っているかわからないというのが結構あるのかなあ。

>私の場合は、教材利用者が学習するにあたって必要とする労力のうち、教材側の構成で軽減できるものは軽減しようという視点に立っています。すると、たとえ教材作成者たる私の労力が大きくなるにしても、それによって利用者の労力が軽減されるのであれば、できるかぎり追求したいと思うしだいです。

仁の心ですね。私もこういう気持ちでブログを書くともっとアクセスも増えるかもしれないけど、自分の学習に役立つと思うことや興味があることしか書けません。
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「現代漢語例解辞典」買いました。 (白魚一寸)
2007-05-04 16:26:54
自己レスです。
>高校、中学の進学祝いに買おうかと思いましたが、やめておきます。

と書きましたが、先日古本屋に行ったら、新品同然の第二版が、定価の約4割 1100円で売っているのを見つけ、つい買ってしまいました。ネットで古本が安く売っていても見送っておりましたが、やはり古本屋の棚で廉価なものを見つけるとつい買ってしまいます。子供達は見向きもしませんので、私の漢字コーナーの書棚に並べました。
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