(八)斬新⇔ちんとう(陳套)
1,「辞典」には載っているが・・
陳套は、見出し語にはありませんが、陳(3級)の見出し語【陳腐】の類義語として記載があります。対義語 新奇・斬新も載っていますので、
陳腐・陳套⇔新奇・斬新
です。 「辞典」記載の対義語・類義語は押さえておこうと思いますが、なかなか、3級配当漢字のところまでは目が届きません。
準1級漢字の親字欄は、見出し語も含めて途中まで読みました。斬は、準1級ですので、見出し語【斬新】は、既に目を通しました。ただ、対義語として載っている陳腐は、知っている語彙でしたので、陳腐は引きませんでした。
ここで、陳腐を引いておけば、陳套にも出会えていたのかもわかりません。でも、既知の語彙まで態態辞典をひくのは、骨が折れることですからあまりやっていません。
2, 漢字の意味や、他の熟語を想起する
私は、陳套という熟語は、全く知りませんでしたが、何とか正解しました。一応正解に達した思考過程を思い出して書いてみます。
(1)「ちん」は陳
斬新の対義語としては、陳腐が浮かびましたが、選択肢には、「ちんとう」しかありません。ただ、陳には、 【陳(つら)ねる】・【陳(の)べる】の他、 【陳(ひ)ねる】(古くなるの意味あり)という訓がありますから、「ちんとう」のちんは陳だろうと思いました。
(2)「とう」も古いという意味、でも訓からは辿り着けず
二文字熟語の場合は、同義の漢字を陳ねるものが結構ありますので、ちんとうのとうも、古いという意味だろうと推測しました。そして、ふるいという訓で、トウと読む漢字がないか考えました。ふるいと読む漢字は、 【古い】、【旧い】の二つだけ浮かびましたが、トウとは読みません。尚、 【故い】もありますが、このときは浮かびませんでした。
訓はなくても、古いという意味でトウと読む漢字がないか考えましたが、「辞典」の音訓索引を見てもトウと読む漢字は一杯あり、一文字だけで考えていても到底辿り着けません。
(3)既知の熟語 旧套から類推
ふるいという意味で、トウの入った熟語がないか考えました。古や旧を使った熟語を色々考え、 【旧套】が浮かびました。旧套の意味もきちんと理解はしていませんでしたが、古くさいという意味だろう、旧がふるいという意味だから、套に、古い、古くさいという意味があるのだろう、陳も套も古いという意味だろうから、陳套で、古いという意味になり、斬新の対義語になると考えました。
ただ、套については、 【套(かさ)ねる】という訓しかありません。熟語としては、他には【外套】しか浮かばなかったので、旧套は、旧いものを套ねるという意味かなあ、まあ、でもそうすると、陳套も、陳ねたものを套ねるのだから、斬新の対義語になるだろうと思いました。
(4) 訓にない意味も理解しておく
後で、「辞典」を見たら、套には、套ねるの意味の他に、ありきたり、古くさいという意味があり、この意味の見出し熟語としては、 【套言】、【常套】があります。ここも既に読んだのですが、笊でした。訓を憶えるだけでも大変ですので、訓にない意味まで正確に理解することはより困難です。
ただ、未知の熟語が出てきたときに、熟語の意味を「辞典」で調べるのは勿論として、個々の漢字の意味もなるべく考え、「辞典」で確認するようにしています。そして、個々の漢字の意味、熟語の構成から、なぜこの熟語の意味になるのかを考えるようにしています。
1級の書き取りの場合、過去問からかなり出ますから、まずは、既知の熟語を増やして正確に書くことが肝要でしょう。ただ、語彙を増やすといっても限がなく、必ず、未知の熟語が少しは出題されるものです。未知の熟語について、既知の知識からどうやって正解に達するかは、人それぞれでしょうが、漢検1級の醍醐味でしょう。
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