晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「エリン・ブロコビッチ」(00・米)

2013-09-29 07:24:55 | (米国) 2000~09 

・忠実に描いたとは思えない痛快さはS・ソダーバーグならでは。

 
 スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジュリア・ロバーツ主演の事実に基づく痛快ドラマ。J・ロバーツがオスカー(主演女優賞)受賞して「プリティ・ウーマン」と並ぶ彼女の代表作となった。

 地方のミスコン女王で3人の子持ち・失業中の独身女性が、法律事務所で3億3千万の損害賠償を勝ち取る物語。これが事実であり、なるべく脚色しないように描いたというから驚きだ。エリン自身もウェイトレス役で出演しているのも必見。

 前半のテンポが良く、四面楚歌のなかでも明るいキャラクターと積極性に好感が持てた。ハリウッドならではのハッピー・エンドになるが、ストーリーの是非よりも観終わった爽快感が何よりも心地良い。その要因のひとつが競演陣にある。特に上司・エド役のアルバート・フィニーが光っていた。

「サイドウォーク・オブ・ニューヨーク」(01・米)

2013-09-28 07:43:30 | (米国) 2000~09 

 ・NY好きなE・バーンズらしい恋愛劇。

    
 エドワード・バーンズが製作・監督・脚本・主演したニューヨーカー男女6人の恋愛劇。冒頭、登場人物が街頭インタビューを受ける。ほとんどがNYでのロケらしく、トキドキ通行人がカメラに気付いて手を振ったりするのが、妙にドキュメンタリー風テイスト。

 ストーリーはトミー(E・バーンズ)とアニー(ヘザー・グラハム)の出会いを中心に恋に悩む女性アシュレー(ブリタニー・マーフィー)、マリア(ロザリオ・ドーソン)のハナシが絡んで行く。

 いまは存在しないツインタワー・ビルを背景に、トミーがイーストサイドに住むマリアへ曾祖父が建設現場で働いていたと自慢するところは、如何にもNY好きなE・バーンズらしい。

 溌剌としている女性に対して男たちが頼りない。リアル感を狙っての本音トークなのだろうか?絶えずSEX談義に明け暮れる登場人物が、オシャレな恋愛ドラマを台無しにしてしまったような気がする。  

「レディ・イン・ザ・ウォーター」(06・米) 60点

2013-09-26 16:28:29 | (米国) 2000~09 

 ・メルヘンの世界へ誘うM・ナイト・シャラマン。

  
 「シックス・センス」でセンセーショナルなデビューを飾ったM・ナイト・シャラマン監督最新作。今回は製作・脚本・監督はもとより新人作家役で本格的な演技も披露している。

 主演は「シンデレラ・マン」のポール・ジアマッティ。共演は「ヴィレッジ」「マンダレイ」のブライス・ダラス・ハワードで水の精・ストリーに扮している。

 韓国のお伽噺が米国・フィラデルフィアで実際に起きるというストーリー。ついて行けるかどうかでこの作品の評価が大きく分かれる。

 従来の作品のように、どんでん返しや種明かしがあるのでは?と期待してしまうが・・・。現代のメルヘンとして、その世界に浸って観ることができれば楽しめるだろうか? 筆者にはできなかった。そういえば封切り館で観たが観客はホンの数人で予定より早めに打ち切りだったような気がする。

「評決のとき」(96・米) 75点

2013-09-26 07:08:09 | (米国) 1980~99 

 ・豪華な出演者による法廷ドラマ。

  
 法廷ドラマの第一人者ジョン・グリシャムが弁護士時代の経験をもとにした小説を、「依頼人」「ペリカン白書」のジョエル・シューマッカーが監督。主演の若い弁護士役にマシュー・マコノフィー。何れも主演できるサミュエル・L・ジャクソン、サンドラ・ブロック、ケヴィン・スペイシーという豪華脇役陣。さらにサザーランド親子、アシュレイ・ジャッド、クリス・クーパーという手堅い脇役を揃え話題にこと欠かない布陣である。

 肝心のストーリーは人種差別・正義・報復というオーソドックスながら、かなりドラマチックな構成となっている。ただ、弁護士夫婦や師弟などの人間関係がいささか類型的になってしまったのが気になる。

 最終弁論でハートに訴えるM・マコノフィーにシークエンスで共感できればこの作品は成功したことになる。この映画の評価が分かれるところで、こころから共感するには、どうも無理があるような気がしてならない。

「やさしい嘘」(02・仏グルジア) 80点

2013-09-25 16:55:30 | (欧州・アジア他) 2000~09

 ・グルジアのウルトラおばあちゃん振りが魅力。

  

 ジュリー・ベレトゥテェリ監督による旧ソ連領グルジアに住む母子孫三代の家族を描いたハートフルな物語。おばあちゃん役のエカ(エステール・ゴランタン)が自然体で素晴らしい。85歳で映画デビューしたというから、2度びっくり!

 パリに出稼ぎに出た自慢の息子を想い、娘とは気が合わないエカ。寧ろ孫のアダとはウマが合う。スターリンを尊敬し、観覧車に乗ってタバコを吹かすウルトラおばあちゃん振りがこの映画最大の魅力。

 題名の<やさしい嘘>は娘と孫がおばあちゃんに付くのかと思ったが、逆だったところがミソ。

 普段あまり馴染みのないグルジアという国の一端を知る意味でも興味深い作品だった。         

「俺たちは天使じゃない」(89・米) 75点

2013-09-24 07:49:50 | (米国) 1980~99 
 ・デ・ニーロ、ショーン・ペンでリメイクの人情コメディ。

 
 
ハンフリー・ボガート主演作品のリメイク。ロバート・デ・ニーロがEP・主演で、ショーン・ペンが競演している。2人がコソ泥で服役中殺人犯に巻き込まれ、はからずも脱獄するハメになり、カナダ国境で起こす人情コメディ。リメイク版のほうが断然面白い。

 デミ・ムーアが逞しい母親役で出ているが、独特のハスキー・ボイスときりっとした表情で彩りを添えている。チョッピリ正直に生きることの難しさを垣間みせながら、神様は見捨てないことを教えてくれる。

 デ・ニーロのコメディはトキドキ外すことがあるが、小人ながら必死に生きる男を好演している。S・ペンが新境地を開いた演技とともに2人の芸域の広さを楽しみながら観る肩の凝らない作品である。    

「プリティ・ウーマン」(90・米) 70点

2013-09-23 06:36:54 | (米国) 1980~99 
 ・J・ロバーツの出世作で代表作のひとつ。

  

 ゲイリー・マーシャル監督、リチャード・ギア、ジュリア・ロバーツ主演によるシンデレラ・ストーリー。

 投資家で大金持ちのR・ギアが偶然知り合った街娼J・ロバーツを社交界のレディに仕立てる恋物語で、オシャレなロスの街並みで、ロイ・オービソンの主題歌に乗せてどんどん洗練されて行くところが見どころ。

 当時の日本はバブル絶頂期。ちょうどタイムリーなシンデレラ・ストーリーとして大ヒットし、筆者も映画館でその雰囲気を楽しんだのを思い出す。今観ると個人の私腹を肥やすマネー・ゲームに走るエセ経営者への警告に見えてくるから不思議だ。時代とともに感想も変化してくるのも映画の面白いところ。

 のちの「エリン・ブロコビッチ」とともにJ・ロバーツの代表作でもある。R・ギアとともに女性ファンが多い彼女にとって出世作であり<永久保存版的作品>となった。

「白いカラス」(03・米) 75点

2013-09-22 07:54:35 | (米国) 2000~09 

 ・A・ホプキンスとN・キッドマンの演技比べを鑑賞。

  

 「クレイマー クレイマー」のロバート・ベントン監督、「ジャック・サマースビー」のニコラス・メイヤー脚本で、アンソニー・ホプキンス、ニコール・キッドマンの競演。

 原題(The Human Stain)より邦題のほうが解り易い。人種を隠し家族との交流を絶ち切った大学教授・コールマン(A・ホプキンス)が、家族を事故で失い悲しみが癒えないフォーニア(N・キッドマン)と最後の恋に落ち、<自分の傷>に気付くという日本人にはちょっと解りにくいヒューマン・ストーリー。

 冒頭、雪が降るなかでの車の走行シーン以外仕掛けはなく、それぞれの悩みが早々と分かってしまうので、後半ハプニングを期待すると肩すかしを喰らいそう。年の離れた2人のラブシーンが長いのはちょっと辛いが、演技のぶつかり合いは楽しめた。

 原作は、フォーニアの夫エド・ハリスと友人ゲイリー・シニーズにもスポットが当たっているが、2人とも出番があまりなく、力を持て余していた感があり、もったいなかった。

「男はつらいよ 幸福の青い鳥」(86・日) 75点

2013-09-21 07:39:53 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

 ・1年振りで元気回復の寅さん

 

 シリーズ37作目は1年振り。マドンナは志穂美悦子、恋人役に長淵剛の元夫婦。2人とも若く、昭和51年当時上京して都会の片隅で必死に生きる恋人同士を好演。バイクに乗った颯爽としている志穂美と、ハーモニカが得意な長淵が面影を残している。

 寅さんは、自分の恋を中心にするにはそろそろ無理があり、前作に続いて仲人役に廻ることでシリーズ延命を図ることに確信を得た作品でもある。
 
 華やかだった三池炭鉱跡を舞台に、オイルショックが癒えない時代背景を描いて映像に残そうという山田監督の意図が伝わる作品となった。寅さんを観て元気になった人々が目に浮かぶ。

「海辺の家」(01・米) 70点

2013-09-19 07:19:51 | (米国) 2000~09 

 ・理想の父と息子の愛を描いたA・ウィンクラー。

 
「ザ・インターネット」のアーウィン・ウィンクラー製作・監督、ケヴィン・クライン主演による感動的な家族愛、とりわけ父と息子の交流を描いている。映像も美しく、主演のK・クラインはこの作品に賭ける熱意がひしひしと伝わってくる大熱演。

 息子役は「スターウォーズ エピソード2」のヘイデン・クリステンセン、元妻にはクリスティン・S・トーマス、隣人にはメアリー・スティーンバーゲンなど芸達者が揃っている。

 ただ、あまりにも理想の親子・家族愛に拘りすぎたあまりご都合主義が多く、ハリウッドならではのハッピーエンドに迎合したように見え、素直な感動には至らなかった。とても魅力的なテーマでキャスティングも絶妙なだけに、観客の受けを気にせず、思いっきり作って欲しかった。