晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『陪審員』 70点

2007-01-29 17:52:02 | (米国) 1980~99 

陪審員

1996年/アメリカ

お馴染み強い女を演じるD・ムーア

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shinakamさん

男性

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆75点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★☆☆70点

「羊たちの沈黙」のテッド・タリー脚本、ブライアン・ギブソン監督でD・ムーア主演。
日本でも始まる陪審員制度。一般人が他人を裁くことの是非や、日本の裁判制度の欠陥是正のためには必要などサマザマな意見があり、まだ実感が湧かない世界だが、米国は先駆者で裁判映画も数多くある。但しこの映画はマフィアに巻き込まれたシングル・マザーの話で陪審員制度は添え物のサスペンス。
息子を守るため明らかに有罪の被告を無罪とするために必死になるうち、強い女に変身するアニー(D・ムーア)。必要にアニーを追いかける、一見紳士だが実はマフィアの殺し屋マークに扮するアレック・ボールドウィンが、中年太りで気になるがハマリ役を演じている。
2人の熱演にも係わらず、話が乱暴でなかなか付いて行けなかった。


『男はつらいよ 寅次郎紅の花』 75点

2007-01-28 17:43:03 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 寅次郎紅の花

1995年/日本

最後でリリーと結ばせてやりたかった

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

シリーズ48作目、これで最終作となってしまった。
渥美清という俳優は寅さんに同化して旅立ってしまい、最愛のリリー(浅丘ルリ子)とも結ばれなかった。
これで最後の作品となることが分かっていたら違う結末になったのかもしれない。
老け込んでしまった、とらやの面々や満男(吉岡秀隆)が懸命に寅さんの代役を務めていた近作を見るにつけ、この辺が限界だったのかもしれない。
阪神大震災という歴史的な災害を契機に、失われてゆく良き日本の文化・風習を、最後に奄美大島で求めたこのシリーズは、文化遺産として昭和・平成を映像に残して幕を閉じた。


『それでもボクはやってない』 85点

2007-01-28 16:46:40 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

それでもボクはやってない

2007年/日本

新ジャンルで健在振りを示した周防監督

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

「Shall We ダンス?」以来11年振りに周防正行監督が手掛けたテーマは「裁判」。見事に新ジャンルで健在振りを示した。
「半落ち」「ゆれる」「手紙」など犯罪を通したテーマは最近の邦画に多く見られるが、殆ど家族愛の話。この映画は「日本の裁判制度そのもの」を問う社会派ドラマでありながら、「痴漢冤罪」という誰でも遭遇することになり兼ねないことで、観客を引き付けているところに切り口の素晴らしさがある。
キャスティングも地味ながら達者な俳優を選んでいる。被告役の加瀬亮は素直な中にも何処にでもいそうな普通の若者を演じていて、「硫黄島からの手紙」に続きその力量を感じる。共演の瀬戸朝霞も新人弁護士らしく毅然とした台詞で「愛の流刑地」の検事役・長谷川京子とは大違い。山本耕史・もたいまさこの周防組初出演者と役所広司・竹中直人などの常連組が上手く絡まり、とても自然な感じがする。
暗い社会派ドラマにしないで、エンターテインメント性を保ちながら世の中には余り馴染みのない刑事裁判の仕組みを丁寧に描き、法曹界に一石を投じたところがこの映画を一皮剥けた作品にした。


『マリー・アントワネット』 70点

2007-01-27 16:36:22 | (米国) 2000~09 

マリー・アントワネット

2006年/アメリカ

男には退屈だが、狙いは分かる。

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shinakamさん

男性

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★☆☆70点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★☆☆70点

有名なルイ16世の王妃マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿にいた14歳から追放されるまでを、ソフィア・コッポラが監督。「スパイダー・マン」のキルスティン・ダンストが主演。
浪費家で悪名高い王妃ではなく、オーストリアから見知らぬフランスへ国の存続を担い嫁いできた、一人の可愛い女として描かれている。
男には退屈だが狙いは理解できる。前半は宮殿の不可解な風習に戸惑う可憐な女の子が、夫に愛されずお洒落とケーキ・ギャンブルに興じ、男に夢中になるサマは古今東西変らないのでは。本当のマリー・アントワネットは、静かな環境で農園を耕し、夫と子供を愛する普通の女性だったということを描きたかったのだろう。
音楽もポップと宮廷音楽を使い分けて斬新だが、成功したとはいえない。


『アイリス』 85点

2007-01-27 12:34:47 | (欧州・アジア他) 2000~09

アイリス

2001年/イギリス

妻を生涯心から愛した理想の夫

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

ジョン・ベイリーの原作を舞台監督リチャード・エアが監督・脚本で映画化した真実の物語。
「英国で最も素晴らしい女性」と称えられたアイリス・マードックの晩年を夫ジョン・ベイリーとの出会いから描いている。ファーストシーンは、海で泳ぐ老夫婦が若い恋人同士にカット・バックして、これが同一人物であることが分かる。暫くは交互に物語が進行して、40年の時間差をこんな方法で映像化できるのは映画ならでは。
オックスフォード大学生時代のアイリスにケイト・ウィンスレット、著名な小説家で講演・執筆をする晩年のアイリスのジュディ・デンチが扮し、これ以上のキャスティングは望めない。
K・ウィンスレットは、溌剌としていて向学心に燃え自由奔放な若きアイリスを魅力的に演じ、晩年のJ・デンチは、教養豊かで自分を見失うことのない憧れの女性を見事にこなしている。
この幸せを永遠に見守る夫ジョン役をアカデミー助演男優賞を受賞したジム・ブロードベントが扮し、J・デンチ白熱の演技を支えている。
アルツハイマー病で言葉を失い、自分の誇りを失い壊れ行く妻を全て受け入れ、絶望的になりながらも最後まで愛を貫く理想的な夫が実際いたとは!我が身に置き換えると、驚嘆しながら観てしまった。


『シコふんじゃった。』 80点

2007-01-25 18:42:28 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 




シコふんじゃった。


1992年/日本






周防監督のテーマ設定がいい





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
75点




音楽

★★★★☆
80点





周防正行監督・脚本、本木雅弘主演の大学弱小相撲部の涙と笑いの物語。92年日本アカデミー賞最優秀作品賞・ブルーリボン賞を受賞した。
次回作「Shall Weダンス?」同様、周防監督のテーマ設定がなかなか良い。それに本木雅弘が良く応えた。当時、厳しい邦画製作環境から診て、こういうコメディでヒット作品を生み出すことができたのは素晴らしい。
竹中直人のオーバーな演技がピッタリはまったのも、役柄設定が上手いからだろう。
女がサラシを巻いて相撲を取ったり、イギリス人留学生がアメフトをやったり不自然な場面もあるが、細かいことを言うよりも、真剣な中にも面白くてホロリとさせるコメディを楽しみたい。






『インファナル・アフェアIII 終極無間』 80点

2007-01-24 14:21:24 | (欧州・アジア他) 2000~09

インファナル・アフェアIII 終極無間

2003年/台湾

無間(地獄)の世界完結編

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

ご存知香港マフィア映画3部作「インファナル・アフェア」の完結編。
マフィアから潜入した警察官ラウ(アンディ・ラウ)とマフィアに潜入した警察官(トニー・レオン)の物語。
新たにヨン警視(レオン・ライ)が登場し、ラウと絡んで行きながら、殉職したヤンの生前の秘密が明かされる。トニー・レオンのファンには堪らない魅力がいっぱい。
タイトルどおり、無間(地獄)の世界は何処までも憑いて行く仏教の精神世界をマフィアに身を置く2人に描いた傑作だ。
ハリウッドでリメイクされ初めてこの作品を見る人には、2・1・3の順でご覧になったほうがストーリーが分かりやすいと思う。


『ゴースト ニューヨークの幻』 70点

2007-01-24 10:46:14 | (米国) 1980~99 

ゴースト ニューヨークの幻

1990年/アメリカ

W・ゴールドバーグが全てを救う

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shinakamさん

男性

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★☆☆70点

音楽 ★★★★☆80点

パトリック・スウェイジ、デビ・ムーア主演のファンタジック・ラブストーリー。ブルース・ジョエル・ルービンがアカデミー脚本賞受賞作品。
公開時は何となく興味が湧かず、同時期に観た「オールウェイズ」(S・スピルバーグ監督R・ドレイファス主演)に涙した記憶がある。これも「ジョーと呼ばれた奴」(’43作)のリメイクだと知ったが、恋人を残し死んだ男が恋人の相手を密かに応援する「オールウェイズ」の方が共感できた。設定が良く似ていて主題歌は「オールウェイズ」が<煙が目にしみる>で「ゴースト」は<アンチェインド・メロディ>。何れもクライマックスで流れ、物語を盛り上げて行く。「オールウェイズ」はO・ヘップバーンが天使役だったが、こちらはインチキ霊媒師のW・ゴールドバーグ。アカデミー賞助演女優賞を受賞しただけあって、この映画を喰ってしまった。


『ディパーテッド』 80点

2007-01-23 10:36:59 | (米国) 2000~09 

ディパーテッド

2006年/アメリカ

ブラッド・ピット主演でも観てみたい

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆85点

香港映画で大ヒットした「インファナル・アフェア」のハリウッドリメイク版。マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・デカプリオ、マット・デイモン主演の話題作。
どうしてもオリジナル版と比較してしまうが、香港映画の持つ内面の悩みを映し出す精神性はない。代わりに、ボストン南部出身の2人、ビリー(L・デカプリオ)とコリン(M・デイモン)の州警察官の運命的な対決を明快に浮き彫りにして行く。その象徴が2人に愛されるマドリン(ベラ・ファミーガ)。オリジナルでは精神科医リー(ケリー・チャン)と作家メリー(サミー・チェン)で別人だが同一人物として描かれている。その分不自然さは否めない上、ケリー・チャンの凛とした清潔な魅力には敵わない。
個人的にはオリジナルに軍配を上げるが、ハリウッド作品も悪くない。その要因にマーティン・スコセッシ監督の職人芸と豪華キャストが挙げられる。マフィアものを描いたらF・コッポラと双璧・スコセッシ監督の真骨頂が随所に発揮され、カット毎の編集には思わず唸らせられる。
マフィアのボス(ジャック・ニコルソン)の相変わらずのアクの強さも健在。クイーンナン警部(マーティン・シーン)ディグナム刑事(マーク・ウォルバーグ)の警察官僚もリアリティ感がある。
ただラストシーンは無理やり納得させられてしまった。ネズミが必要だったのかも併せて、賛否両論が出る終わり方では?
香港版同様シリーズ化の予定もあるようだが、製作権を持っているブラッド・ピットのビリー、L・デカプリオのコリン、ロバート・デ・ニーロのサムで夢の競演を観て見たい。


『男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様』 75点

2007-01-21 14:31:56 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様

1994年/日本

日本人の人情を長浜の風景とともに描く

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

シリーズ47作目は琵琶湖の美しい風景が印象的な長浜。例によっていつものスタイルで旅先で気軽に声を掛けるところは股旅映画のヒーローだ。晩年の寅さんは物分かりの善い2枚目の渡世人に成り切っていて、やんちゃな若い頃が懐かしい。
寅さんの代わりに満男(吉岡秀隆)が惚れっぽく、不器用で多感な青年振りを演じていて補填しているが、その分話に無理が生じるのも止むを得ない。
日本人の人情(他人の痛みや悲しみが分かる)が、長浜の祭りと風景とともに映し出されていて、山田監督の執念を感じる。