ブラッド&ワイン
1996年/アメリカ
悪党ぶりがJ・ニコルソンならでは
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 75点
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のボブ・ラフェルソン監督ジャック・ニコルソン主演。いきなり朝食でカラーシャツにネクタイで登場するシーンが印象的。息子に服装を注意して妻が現れると朝帰りであることが分かり、やっぱりと思わせる。
悪党なのに女に優しくBMWを乗り回しカード破産している、どこかアンバランスな男を演じているJ・ニコルソンは、まさにはまり役。
悪党仲間に「サイダーハウス・ルール」のマイケル・ケイン、若き愛人にジェニファー・ロペスも個性溢れた適役。100万ドルのネックレスを巡る人間の欲とサガをドラマチックに描いた良質なサスペンス。ラストシーンがこのドラマを象徴している。
黒衣の花嫁
1968年/フランス イタリア
毅然としたジャンヌ・モロー
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 80点
サスペンスの詩人ウィリアム・アイリッシュの原作。ヒッチコックが映画化した「裏窓」の作家でもある。監督・脚本がフランソワ・トリュフォー、主演がジャンヌ・モローの名コンビ。
トリュフォー独特のテンポ・映像で、花婿の死により孤独感に苛まれるジュリー(ジャンヌ・モロー)を追いかける。決して大柄な八頭身美人ではない彼女が男達を惹き付けて離さない。モノクロの衣装を身に纏った彼女の表情が魅力的。
今見ると5人の男に復讐する方法に不自然さが目立つが、公開当時は全然気にならなかった。サスペンス映画のお手本だ。
アメリカン・スプレンダー
2003年/アメリカ
P.ジアマッティの当たり役
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 80点
シャリ・S・バーマン、ロバート・ブルキーニ脚本・監督作品でサンダンス映画祭グランプリを受賞した。後に2人は結婚し、記念作品にもなった。その後の作品を見てみたい。
実在のコミック誌の作者で病院の文書係を定年まで勤めたハーヴィ・ピーカーの半生記。ポール・ジアマッティが本人そっくりで登場。本人がナレーションを勤め、画面に出演しているが、違和感がない。おまけに、題材が身の回りに起こる実際の話なので画面に3人のハーヴィが出てくる。漫画のコマ割から動画が出てくる冒頭シーンがセンスを感じる。2回離婚して冴えない男がコミック作家の友人に刺激を受け売れっ子作者となり、結婚や病も全て題材にすることで名声を高めて行く生き様が魅力だ。
後年「シンデレラマン」でアカデミー賞助演男優賞を受賞したP.ジアマッティの当たり役となった。共演は「アバウト・シュミッツ」でJ・ニコルソンの娘役でお馴染みのホープ・デイヴィスが妻役で好演。地味ながら、こういう映画がハリウッドの超大作に伍して頑張って欲しい。
記憶の棘
2004年/アメリカ
N・キッドマンのショートヘアとその勇気
shinakamさん
男性
総合 70点
ストーリー 60点
キャスト 80点
演出 70点
ビジュアル 80点
音楽 80点
新進監督ジョナサン・グレイザー、ニコール・キッドマン主演の意欲作。スタッフが、そうそうたるメンバー。脚本に「存在の耐えられない軽さ」のジャン=クロード・カリエールに「チョコレート」のマイロ・アディカが加わり、音楽がアレクサンドル・デブラ、撮影がハリス・サディウス。
おまけにキャスティングが個性派揃い。恋人役に巨匠ジョン・ヒューストンの息子ダニー・ヒューストン、母親にハンフリー・ボガート夫人のローレン・バコード、親友夫妻に「ファーゴ」のピーター・ストーメア、アン・ヘッシュ、この映画最大の難役・天才子役キャメロン・ブライト。「名探偵モンク」でお馴染みのテッド・レヴィンや脚本のマイロ・アディカも出演していて話題満載。
肝心のストーリーは残念ながら空回り。亡くなった夫を忘れられないヒロインの愛と家族・誕生と死をサスペンスたっぷりで描いているが、終盤不自然さが気になり疑問を解き明かしてくれなかった。ただただN・キッドマンの大胆なショートヘアとアップが目立つ。特にワーグナーのワルキューレをバックに不安な心をアップで見せた演技は圧巻。イメージチェンジに挑戦したN・キッドマンの勇気を称えたい。