晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「麒麟の翼」(12・日) 75点

2015-04-05 13:27:17 | 日本映画 2010~15(平成23~27)

 ・ 大画面と豪華キャストでTVドラマを手堅く映画化したヒューマン・ミステリー。

                   

 東野圭吾・原作をTVドラマ化して話題を呼んだ「加賀恭一郎シリーズ9作目<新参者>」。土井裕泰監督、阿部寛・溝端淳平主演というTVと同じメンバーで、さらにバージョンアップしている。

 日本橋にある麒麟の翼像前で倒れていた男は、ナイフで腹を刺されていた。男の所持品を持った若者が近くに潜んでいたため警官が追いかけたが、逃亡中にトラックに跳ねられる。

 被害者の男は死亡が確認され、若者は意識不明に陥り警視庁と日本橋署による合同捜査を開始した。

 原作やTVドラマで結果を知らなくても被害者の男に中井貴一が扮しすぐ亡くなってしまう展開は、その原因を辿るストーリーであることは明らか。

 ただ、犯人探しのミステリーというより被害者一家の葛藤を中心に、容疑者の人生を絡めたヒューマン・ドラマが主体。さらに主人公の日本橋署・加賀警部補(阿部寛)の父親との葛藤が背景に絡んで行く構成。

 被害者・青柳は建築部品メーカーの製造本部長で、日本橋とは縁もユカリもない場所だった。何故江戸橋の地下道に刺されたのに日本橋まで歩いてきたのかも謎。

 加賀とそのいとこである警視庁捜査1課の刑事松宮(溝端淳平)は、被害者と容疑者(三浦貴大)の当日の足取りを追いかけるために、被害者家族や容疑者の恋人(新垣結衣)と面会する。

 家族は被害者のことを何も知らないし、容疑者の恋人は人を刺すようなヒトではないというが、意外な接点もあった。

 筆者が長年勤務していた第2の故郷である日本橋地域が舞台のドラマだったので、映像を観るだけで懐かしい。毎日、日本橋を渡って通勤していたので麒麟の像も知っている。

 それだけにこんなドラマを創る東野圭吾のエンタテインメント性に感服させられるとともに、大画面で楽しめるだけでとても嬉しかった。

 何しろ豪華キャストである。阿部寛を中心にいまや売り出し中の溝口淳平・山崎努・田中麗奈・黒木メイサのTVと同じメンバーに加え、中井貴一・松重豊・鶴見辰吾のベテラン、新垣結衣・三浦貴大・松宮桃李の若手、さらに向井理のカメオ出演まで目が離せない。

 真面目に考えると不自然な言動も見られるが流れに乗って観る限り、今社会の歪である派遣社員問題の労災隠し、イジメ問題・事故隠しなどもテーマにしながらの130分はなかなか面白かった。

 土井監督の演出は手堅く、原作者・東野の持論である<悲劇からの希望と祈り>は充分伝わっっている。
 

 
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿