やれこら やれこら 昨日も今日も

自分だけはと力んでみても,膝はガクガク,息ハアハア。会話は「アレ,ソレ」そして「やれこら」。鍛えるべきは皮肉とジョーク。

一本松  やれこら やれこら

2015-02-12 07:30:36 | 今日のやれこら
何度見ても,見飽きなかった大型クレーンもいなくなりました。
工事の為の足場が,無くなりました。
現場を囲っていたフェンスも,大部分撤去されました。

建物の大方は二階で,一部三階のようです。
屋根の淡い青が,光に反射して光っています。
県立特別支援学校が,完成間近のようです。

“あの辺りに,一本松が有ったんだ”
当時,特別支援学校の辺りは,田んぼと遊水地,そして土手が交わる場所だったんです。

一本松とは,その場所に一本だけ聳え立っていた松の木の呼び名でした。
住民にとってのランドマークでも有りました。
一本松は,本流と支流,川の土手が交わる場所に生えていました。
根元には小さな祠が有りました。
周りは,田んぼと遊水地,そして川です。
周囲500mに,人家は有りませんでした。
一本松は,何度も落雷を受け幹が割れているところも有りました。
それでも,何十年も緑の葉っぱを尖らせていたんです。
一本松が,緑を失くしたのはもう30年以上前です。
枯れて,幹だけになった一本松は切られることも無く,じっと立っていたんです。

新しい橋ができ,田んぼは区画整理されました。
川の支流も無くなり,土手も平地になりました。
一本松は姿を消し,祠は場所を移して祀られています。


「みんな日の丸を一本ずつ持つて!」
教室で,先生に言われます。
住んでいる町が市に編入合併されたんです。
・・郡○○町立○○小学校から,△△市立○○小学校と呼び名が変わったんだそうです。
「今日は市になった,おめでたい日なんですよ,一本松まで行って,土手を行進します」
『ええ,一本松まで?』
『あんな遠い所まで行って,また土手を歩くん?』

小学生にとっては,長い距離です。
それでも,一本松の土手を,日の丸を振ってクラスみんなで歩いたんです。
私は8歳,小学2年生の時です。
およそ,60年前の出来事でした。

今日は風のない穏やかな日です。
庭からの景色を眺め,昔を懐かしむ・・・歳を取ったという事は・・・
              やれこら やれこら