スズキ ゲンさんのブログ

立命館の再生を願って

No90 立命館の常任理事ならびに関係各位へ

2021-03-26 11:44:07 | 立命館の再生を願って

No90 立命館常任理事ならびに関係各位へ

  2021年3月26日 元立命館総長理事長室室長・ジャーナリスト 鈴木元

目次

(1)2021年度開講に向けて混乱を重ねる立命館、誰が教学に責任を負っているのか

(2)なんでも自分が長におさまりたがる森島朋三理事長、立命館西園寺塾の塾長に、立命

   館の学術性・品位が疑われる

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(1)2021年度開講に向けて混乱を重ねる立命館、誰が教学に責任を負っているのか

1)本シリーズのNo88、No89において卒業式(入学式)の問題を取り上げた。コロナの感染が終息していない下で、昨年の11月以来、教学委員会そして各学部・研究科において検討を重ね、今年の1月段階で各教授会において、学部単位で代表による卒業式を行いオンラインで配信する。卒業証書はゼミ単位などで担当教員から授与するという方向で決定されていた。にもかかわらず2月に入って突然「仲谷学長の意向」という形で、全員参加の対面方式で開催するという事にされた。このようなやり方は、感染拡大の危険とともに、その決め方に問題があると指摘した。つまり全学において教授会で決定していることを学長の意向で覆したという教授会自治を否定したことである。しかも、その理由を「コロナの感染拡大という特殊な下での例外的措置であり、立命館の慣行を無視するものではない」と、全く開き直りの見解で押し切ったことである。対面で行うことを決めていたものを、あまりにも早い感染の広がりを前に、常任理事会の開催ではまにあわず常務会においてオンラインで行うと決めたという話ではない。逆である。まだ危険であるからオンラインで行うということで決めていたのに対面で行うというなら、その根拠を示し教授会で議論して決めていくべきであった。ただ実際には大規模学部では学部全体が参加する卒業式ではなくコース別などで行われ仲谷総長の意向通りには行われなかった。

(2)ところが今、全学的に「卒業式・入学式は全員参加の対面で行う」と押し切っただけではなく、教学部長・副部長から各学部にたいして新学期の開講は出来る限り対面で行ってほしいとの「意向」が示され混乱を起こしている。コロナの感染が余談許されない状況であることは衆目の一致するところである。政府は18日、延長されていた関東4都道府県の緊急事態宣言を21日で解除した。しかし多くの専門家が指摘しているように下げ方が留まっている。しかも関東だけではなく先に緊急事態宣言を解除した関西においても増加傾向にあり、何時リバウンドが起こるかもしれないという危険が指摘されている。そして大阪府・兵庫県は飲食店に対して営業時間を引き続き3月31日月まで9時までとするように要請している。さらに変異型がイギリス型、南アフリカ型にとどまらずフィリッピン型も、日本において海外渡航していない人々から感染が広がるなど新たな事態が生じている。政府が「18日に関東の非常事態宣言を解除する方向だ」と発表した16日の夜から東京などの繁華街で若者たちが、解き放たれたようにあちこちで路上飲酒している様子を報じている。マスコミでは18日の菅首相の宣言解除の報道と併せてリバウンドの危険を示す報道であふれている。こうした状況の現時点において一律に総ての授業を対面で行うということは問題のある進め方である。私はNo88やNo89で記したように対面式授業に反対していない。ゼミなどでの討議による教育効果の向上、登校することによってクラブ活動をはじめとする学生同士の交流など大学本来の任務を果たすことができる。またオンライン授業が当初予測されていたより出席率が上がったり、教員への質問が活発化するなど効果が大きいことも実証された。これは3月22日付けの「読売新聞」の京都版においても示されており、実状を踏まえて柔軟に対応する必要がある。立命館大学のように総合大学として学部の規模や教室条件そして教学内容が異なる大学においては、各学部教授会の創意に任せれば良いことである。それを全学一律に対面授業の方針で臨めば混乱すること目に見えていた。結局のところ対面とオンラインの併用でいかざるを得ないだろう。

 ところで新学期からは授業は全面対面式で行うという方針はどこで決めたのか。少なくとも教学委員会からの問題提起に基づいて各教授会で決定したという状況ではない。先の卒業式(入学式)の変更と同様に学園に非民主的運営が強引に持ち込まれている。個々の教員が不満を述べるにとどまらず教授会として、このようなやり方を正す事が必要だろう。しかも不思議というか混乱というか常勤教員に対しては対面授業を求めておきながら、非常勤教員に対してはオンライン授業のやり方研修への参加を求めるなど異なる方針が提起されている。「一体どっちなのだ」との混乱が起こっている、誰が一体、立命館の教学運営に責任を持っているのか、鋭く問われている。

 常勤教員は対面式、非常勤講師はオンライン式が実行されたたらどうなるのだろうか。オンライン形式の場合、学生は自宅か下宿で受講する。対面式の場合は教室で受講する。1講時目がオンラインで2講時目が対面式、逆もある。そうすると実際には全学生が登校せざるを得ない。三密を避けてオンライン講義を受講できる教室・情報教室はあるのか。また授業待機・自習する場はあるのか、3月から教室の換気扇が増設されているが定員の1/2使用で収まる教室条件はあるのか、誰が教室割り振りをするのか。事務室がやらざるを得ないが、どの先生のどの授業が対面式でオンラインなのかを掌握して割り振りしなければならない。教学部長や副部長は、それらを具体的に考えて提起しているのか。私は現在、京都高齢者大学校・北近畿校の副校長や幹事会副代表も務めている。33講座約1000名弱の受講生の4月開校のために教室割り振りで苦労している。結局1/2定員の教室条件を確保するために学外の有料施設を多数確保している。立命館においても学内的に十分に安全に全面対面授業を行える教室条件は厳しいと思われる。だからこそ教学委員会や教授会で具体的検討を行わなければならないのである。それを教学部長や副部長などの特定の人間の判断だけて押し切ろうとするのは非民主的であるだけではなく危険であり、同時に、混乱に拍車をかけていくだけである

(3)先の卒業式(入学式)によせ、今回の4月開講の全面対面式授業方針にせよ、感染の危険性、そして教授会の意向を無視して、なぜそこまで乱暴に無理をするのかが多くの人の疑問である。3月13日、ヤフーニュースなどによると日本私立大学教職員組合連合(私大教連)は3月10日文部科学省に対して「緊急要求」を提出している。そこには4月からの開講にあたって一律的な対面授業誘導を止め、各大学の判断を尊重することを求めている。

 昨年(2020年)の年末以来、文部科学省が各大学にたいして「少なくとも対面授業を50%程度にはすること」を再三「要望」してきた。このことが各大学において無理で強引な対面卒業式(入学式)や対面授業実施の引き金になっているのではないかという認識に基づく「緊急要求」である。同時に学内の多数の人々が感染防止を優先すべきという認識にあることを知っている学長らは文部科学省の「要望」に応えるためには「教授会を基礎にした大学運営では文部科学省の期待に応えられないと考え、従来のルールを無視して事を進めているのではないか」というのが私大教連の認識のようである。

 ところで立命館ではどうなのか。文部科学省から「要望」「指示」が来るとすれば教学部(部長)宛てではない、学長(理事長)宛てである。立命館で言えば仲谷学長・森島理事長である。両名はまず文部科学省からどのような「要望」「指示」があったのか、そしてどのようなやり取りをしたのかを明らかにする義務がある。文書による「要望」「指示」が来たに留まらず、二人は文部科学省を訪ね立命館の立場(4月から開講は全面対面授業で行う)を表明してきたという情報が学内に流れている。本当なのか。いずれにしても仲谷総長ならびに森島理事長は全学に文部科学省との関係、それに基づいて行った判断を説明する義務があるだろう。そして現場においてこれだけの混乱を引き起こしているのであるから教学部長・副部長の「説明」に留められない。責任所在を含めて仲谷総長・森島理事長長両名の責任ある説明が求められている。

(2)なんでも自分が長におさまりたがる森島朋三理事長、立命館西園寺塾の塾長に、立命館の学術性・品位が疑われる

 私は立命館大学の卒業生で校友会会員である。登録して電子版校友会ニュースも送ってもらっている。先日、最新のニュースが配信されてきた。なんとなく開いて見たところ「立命館西園寺塾」の塾長に森島理事長が就任していて驚かされた。この人は、なんでも自分がトップの座につかなければおさまらない人であると同時に自分がやっていることが世間の立命館への評価がどうなるかは考えられない人であることを、改めてさらけ出した

 立命館西園寺塾は2014年に立命館東京オフィスをメイン会場に梅原猛氏など日本を代表する知識人が講師となり、将来の日本を背負って立つ志を持つ人々に年間120万円の学費、定員20名程度で開講した。なお西園寺公望とは摂関家出身で明治維新に参加し、首相を二度務め最後の元老となった人物で立命館大学の前進である私塾・立命館の創設者である。

 立命館西園寺塾の立ち上げは【塾長】安田 喜憲(立命館大学環太平洋文明研究センター長、国際日本文化研究センター名誉教授)【副塾長】渡辺公三(副総長、故人)【講師】としてはオーラルヒストリーを専門とする御厨貴(みくりやたかし)東京大学名誉教授や、薮中三十二氏(立命館大学国際関係学部特別招聘教授、元外務事務次官)、水野和夫氏(日本大学教授)、川勝平太氏(静岡県知事)、松井孝典氏(千葉工業大学惑星探査研究センター所長、東京大学名誉教授)、常盤文克氏(元花王株式会社会長)であった。

 いつから森島理事長が、立命館西園寺塾の塾長になったか私は知らないし調べる気もない。これは立命館大学ではなく学校法人立命館の社会教育活動ととして開始された。したがって制度的にはその塾長を必ずしも大学協議会などの教学機関に諮らなくても良い。しかし誰が見ても立命館大学がかかわった教育的営みと考えるだろう。その塾長を世間に評価されるような著作の一つもない森島理事長が務めるというのは立命館の学術性・品位が疑われる。私は在職中、中国やベトナム政府の要請で理事会にも諮り大学管理運営幹部研修を国際協力銀行の支援も受けて何回も開催した。その際、カリキュラムや講師の人選などについて中国政府やベトナム政府そして国際協力銀行と相談しながら行った。学校法人立命館の事業であったが代表は総長(前半は長田豊臣総長、後半は川口清史総長)、副代表は副総長に就任してもらい、開講式や修了式の挨拶や修了証書の授与を行ってもらっていた。それが大学である。森島理事長が立命館西園寺塾の塾長に就任(常識的に言って修了証書の署名も塾長である森島朋三)することに誰もいさめる者はいなかったのだろう。それが立命館の品位を下げていることに気が付かない悲しむべき事態が進行している。

 今回の卒業式・入学式、4月以降の開講にあり方についても文部科学省の「意向」・「指示」を忠実に実行することを仲谷総長に求めたのは森島理事長であろう。違うなら違うと両名は責任を持って説明する責任がある。

 鈴木元 経歴、立命館総長理事長室室長、初芝学園副理事長、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、国際協力銀行中国内陸部人材育成事業アドバイザリー、私立大学連盟アドミニストレーター研修アドバイザー等を歴任。

 現在、国際環境整備機構理事長、京都高齢者大学校幹事会副代表、ベトナム枯葉剤被害者支援日本委員会事務局長、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版顧問など。

 主な著書、『立命館の再生を願って』『続・立命館の再生を願って』(いずれも風涛社)、『像とともに未来を守れ 天皇・立命館・学生運動』(かもがわ出版)、『もう一つの大学紛争』(かもがわ出版)、『異文化理解・協力の旅』(文理閣)、『京都市における同和行政批判』(問題研究所)『コロナ後の世界』(かもがわ出版)など多数。