本文書は理事会出席メンバーには直接メールや郵送で送るとともに、「立命館の再生をねがって」の専用ブログ(インターネット検索で) スズキ ゲンさんのブログ に掲載し、立命館関係者が広く読めるようにしています。
なを今回の文書は学外理事の皆さんにも理解しいただけるように記したので、学内関係者の方にとっては、今日までの文書と重複している箇所もありますが、ご容赦ください。
NO25 学外理事をはじめとする学校法人立命館の理事ならびに評議員の皆様へ
6月28日の理事会、教学・財政・管理運営において矛盾を激化させる茨木キャンパス構想は一旦凍結すべきです。
2013年6月25日 立命館校友・元立命館総長理事長室室長 鈴木元
現在 日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、中国(上海)同済大学アジア太平洋センター顧問教授、国際環境整備機構理事長。
目次
(1) 購入決定時ならびに政策科学部・経営学部の移転決定時に説明されていたのとは全く異なる財政的危機が明確となった
1)教学構想のないままに茨木の土地を購入し、矛盾を露呈
2)特別引当金Ⅱ、当初説明より320億円も減額、毎年最低30億円のリストラ案を提起
3)茨木建設費「210億円が220億円に膨らむ」同時に市と国からの補助金は60億円から30億円に減額、差引40億円をどうするのか
4)これらの事態を総合的に考慮すれば、茨木建設は一旦凍結し、一から総点検し再検討しなければならないだろう
(2)竹中工務店との建設契約は「理事長の専決事項、理事会へは報告とする」から一転して「理事会議決事項」に変更
1)「210億円を越える」竹中工務店との建設契約を理事長の専決決裁で契約し「理事会には報告事項とする」と強弁してきた森島専務
2)森島専務、大半の学部長理事も常務理事も知らなかった「経理業務専決規程」と「契約事務取扱規程」を根拠に理事長専決決裁による契約を主張
3)実際の運用はどうだったか
4)理由も示さず突然「議決」事項に変更
5)このまま進めば、教学・財政・管理運営等に矛盾をきたすだけではなく、立命館は部門間セクト主義と事なかれ主義を蔓延させることになる
(3)学内の多数意見を無視して、理事会が建設契約を決定することは末川博先生が確立された学内責任の原則、教学優先の原則を踏みにじることであり、立命館はその運営において瓦解し始めることになるだろう。学外理事、評議員の皆さんは自らの役割を踏まえて行動されるべきである。
1)学内多数の批判・反対の意見を無視し続けて、どうしてまともな学園運営ができるのか、大学は誰のためにあるのか
2)大学の運営に責任を持っているのはあくまで学内関係者である
3)川口総長、長田理事長は立命館大学の多数意思に基づいて選出されていない正当性に欠ける総長、理事長である
4)学外理事の皆さんは長田理事長や川口総長の暴挙を諌め、学園の団結を回復するために努めるべきです。
(4)社会的に発表した事でも取りやめることはいくらでもある
(5)立命館を竹中工務店の食い物にさせてはならない。理事会の下に調査委員会を設け疑惑の徹底調査が必要である
(6)学部長理事は選出されている学部教授会の意思を代表する勇気をもって理事会に臨み、茨木建設契約に対する意思表示を明確にしなければならない。
さいごに
はじめに
6月28に臨時で開催が予定されている理事会において、長田豊臣理事長(以下、長田理事長)は既に購入した大阪茨木市の元サッポロビール工場跡地に大阪茨木キャンパス(以下、OIC)を設置するために校舎、図書館、体育館などの施設建設を220億円とも言われる額で竹中工務店と契約する議事を提案しようとしている。
しかしこの案件について、予てから学内で反対・不安・疑問の意見が多数提出されてきたが、6月の臨時理事会を前にして現職の法学部、国際関係学部、産業社会学部、経営学部、経済学部、理工楽部の6学部長、つまり立命館大学の学生・教職員の過半数を越える教授会を代表して慎重論を展開する声明を出した。合わせて茨木の土地購入時に反対を表明した5学部長の内、4学部長が凍結・延期声明を出している(経済学部長は再選挙されて現職なので6学部長声明に連署している)。
これらは学内の多数意見として、6月の臨時理事会における契約決議は止めておくべきであるとの意思表示であり、学外の理事・評議員のみなさんは、この学内の意思を無視して急いで竹中工務店との建設契約を決定をすべきものではありません。
学外理事・評議員各位は、広い見地から慎重な態度を取られ、学部長理事をはじめ学内関係者の意見に耳を傾け、川口総長・長田理事長を諌められる、一旦凍結の判断を下すことを要望します。
(1)購入決定時ならびに政策科学部・経営学部の移転決定時に説明されていたのとは全く異なる財政的危機の予測が明確となった。
1)教学構想のないままに茨木の土地を購入した矛盾が露呈
2020年に向けた立命館の中期計画(R2020)の重点課題は、教育・研究の質的向上と、それを保障する衣笠キャンパス狭隘の克服をはじめとするキャンパス整備であった。
ところが長田理事長等は、衣笠のキャンパス狭隘克服の最有力候補であった京都市山之内浄水場跡地購入交渉を打ち切り、突然大阪のサッポロビール茨木工場跡地購入を打ち出し、2010年11月12日の理事会において、立命館大学の教職員・学生の過半数が所属する5学部が反対しているにもかかわらず立命館の歴史上初めて多数決で購入を決定した。
教学構想もないままに土地を購入したために、現在予定されている学部の移転だけでは赤字キャンパスとなる。そのため教学構想も学部名も、そして学生定員も定まっていない「心理総合系学部を2016年に茨木で開設」と再び多数決で決定するなど矛盾を露呈してきた。
2)特別引当金Ⅱ、当初説明より320億円減額、毎年最低30億円のリストラ案を提起。
2011年3月の財政計画では2020年末の特別引当金Ⅱ(①企業で言う減価償却と②将来の教学展開に備えた資金の二つ)は592億円であったものが、2012年9月の財政分析では320億円も減額となり270億円となると予測、そのため毎年30億円ものリストラ案を提起せざるを得なくなった。建物は建っても、教学の質は後退する危険が出ている。
3)茨木建設費「210億円が220億円に膨らむ」同時に市と国からの補助金は60億円から30億円に減額、差引40億円をどうするのか。
森島専務等は「茨木の施設建設費は当初の210億円が220億円になるが、茨木市から30億円の補助金が出ることになったので当初予算の枠内でできます」と虚偽の発言を行っている。
2010年11月3日の常任理事会において森島常務(当時)は収支一覧表を提出した。
そこでは「茨木の土地購入費190億円、建設費210億円、計400億円、長岡京市での立命館中高の建設費110億円、総計510億円の支出。収入として経常予算(積立)120億円、将来構想資金取り崩し300億円、その他(資産売却、自治体協力等)90億円、原資計510億円」としていた。
「その他(資産売却、自治体協力等)90億円」については「茨木市(国を含む)からの補助金60億円、立命館中高の敷地を龍谷大学への売却で30億円」と説明した。
その説明も受けて2010年11月10日の常任理事会、12日の理事会で購入が多数決で決定されたのである。したがつて「30億円の補助金」は当初から収支予算510億円の収入の中に60億円として含まれていたのであり新たな収入ではない。
問題は、支出予算が510億円から520億円に膨れ上がり、一方収入は510億円から480億円に減額となり、差し引き40億円の収支マイナスとなり、40億円の新たな財源が必要となっている事である。この40億円はどうするのか。購入にあたって収支一覧表を提出し「茨木建設費210億円」「茨木市と国から60億円の補助」と言って購入を強行した森島専務等は、学校法人立命館に新たに40億円負担を求めるのか、それとも自己の責任を明確にし、私財を投げ打ってでも支払う覚悟なのか、学園関係者の前に明確にする義務がある。
4)これらの事態を総合的に考慮すれば、茨木建設は一旦凍結し、一から総点検し再検討しなければならないだろう
(2)竹中工務店との建設契約は「理事長の専決事項、理事会へは報告とする」から一転して「理事会議決事項」に変更
1)「210億円を越える」竹中工務店との建設契約を理事長の専決決裁で契約し「理事会には報告事項とする」と強弁してきた森島専務。
茨木キャンパス建設についての疑問・不安・反対等の意見が強まる中で、森島専務理事は竹中工務店との「210億円」に及ぶ契約を理事会(常任理事会)に諮らず、理事長の専決契約で行い理事会に事後報告すると言い出した。これに対して多くの人々から私学法ならびに学校法人立命館の寄付行為が定めている理事会の議決権を含めた権能を否定するものだとの批判が高まった。
2)森島専務、大半の学部長理事も常務理事も知らなかった「経理業務専決規程」と「契約事務取扱規程」を根拠に理事長専決決裁による契約を主張
森島専務は例規集を取りだし「『契約事務取扱規程』において『契約業務は専決者(理事長)が契約する』と記載されている。『経理業務専決規程』において『理事長の専決は1億円以上 』と上限は定められておらず、竹中工務店との210億円を越える契約は理事会に諮らなくてもできる」と言い出した。このような規程があることについては大半の学部長理事そして常務理事もほとんど知らなかった。
しかしこれは森島専務等のいつもの姑息なやり方であった。「契約事務取扱規程」は茨木の土地購入が提案される直前の2010年3月末の最後の常任理事会に「新旧対照表」を提出して説明することもなく「実務的な変更です」として提案され、旧規定は破棄された。しかし旧規定の第33条には「5億円以上の物品調達契は理事会議決事項とする」とされ、併せて第17条では「土地・建物の購入にあたっては・・信頼ある機関の評価を徴するとともに、理事会の承認を得なければならない」とされていた。この重要な2点が「契約事務取扱規程」から削除されていたのである。また専決者が契約する場合はあらかじめ「理事会の議決を経て」とも「理事会の議決を得ないでも」のいずれも記載していない欠陥規程であった。
「経理業務専決規定」は一般の民間会社や地方自治体においても、一定以下の金額の決裁については、理事会(役員会)からの委任事項として、それぞれの職位に応じて決済できるようにしている。立命館の旧「経理専決規定」は1962年に制定された物だったので金額が実情に合わない面があった。そこで2006年に実情に即したものに改訂された。その際、関係者は課長、部長、常務、専務(5000万円以上 1億円以下)は意識して見たが、その次の理事長は「1億円以上 」と記載されていたが「新旧対照表」が添付されていないこともあり、「上限が無い」ものとなっていることの問題に気が付かなかった。明らかに欠陥規定である。上限なしの専決規程などあってはならないのである。直ちに改定しなければならない。
3)実際の運用はどうだったか
しかし「R2020」以降の購入を見るとサッポロ茨木工場跡地、日通社宅跡地、堂本印象旧宅のいずれの購入も理事会(常任理事会)の議決に諮られていた。今回の竹中工務店との建設契約だけが新「規程」を根拠に理事長の専決で契約し、理事会には事後報告ですますと言い出したのである。
なぜか。日通社宅跡や堂本印象旧宅の購入は当然の事であり、誰も反対していなかった。茨木の土地購入では常任理事会はおろか評議員会、理事会においても立命館大学の教職員・学生の過半数が所属する5学部関係者が中心となって反対した。それでも、その時は、長田理事長等は「引当特定資産Ⅱは592億円が確保できるので大丈夫」だと抗弁し強行した。しかし今回は財務部の計算でも、特別引当金Ⅱは当初試算より320億円も減額し、270億円に落ち込むことを予測せざる得なくなった。この金額は大学基準協会が求める50%つまり約500億円より大幅に落ち込むイエローカード水準であるため、まともに討議・説得できないとわかり、討議を回避し報告で済まそうとしたのである。「理事長専決決裁論」は強さの表れではなく弱さの哀れであった。
4)理由も示さず突然「議決」事項に変更
6月19日の常任理事会が開催されるまで、森島専務等は「(210億円を越える)竹中工務店との建設契約は理事長の専決事項であり、契約後、理事会に報告する」と語り、学外理事を含めた理事会の権能を否定していた。19日の常任理事会の案内においても(理事会への報告事項)として「茨木キャンパス建設契約について」していた。
しかし会議が始まってから突如、議題とした。
予てから学園の多くの教授会・部課から「背任行為に当たる」と主張されていた。私は文部科学大臣宛に「立命館の長田理事長、森島専務等の行動は、私学法に違反し立命館の寄付行為に定められている理事会の議決権を否定するものであり、背任にあたることになるので、適切に指導されたい」と文書で申し入れた。教職員組合も弁護士を招いて「背任罪」での告訴の可能性について学習ホーラムを行った。
今回の突然の変更は、学園内での批判の高まり、文部科学省が森島専務ならびに田尻総務部長を通じて指導、ならびに彼らが弁護士と相談した結果であると推察される。
あれだけ「報告事項にすることで問題が無い」と言い張っていた森島専務は責任を明確にしなければならない。
5)このまま進めば、教学・財政などに矛盾をきたすだけではなく、学園内に部門間セクト主義と事なかれ主義を広げることになる。
長田理事長等は政策科学部・経営学部の2学部が移転再検討に向かわない様に、また衣笠やBKCの関係者の支持をえるために「あれも建てます、これも実現します」とばら撒き約束をしてきた。そのために当初計画の建築延べ床面積は77000㎡であったものが105000㎡と1.36倍にも膨れ上がり、3階建てで構想されていたものを5階建て、9階建にしようとしている。このような長田理事長等の「大判振る舞い」を全学は見ているのである。
したがって、このまま茨木キャンパス建設が推進されることになれば、全学的に教学・財政などに矛盾をきたすだけではなく「我々の学部も」との部門間セクト主義に基づく「物取り主義」が横行することになるし、既に始まっている。一方「こうしたやり方は立命館の今後の学園運営にとって良くなく、直ちに改めるべきである」と意見を述べても無視される事が続く中で、「言っても無駄だ」「何時か破綻するだろう」「どうぞお好きなように」との事なかれ主義が学園内に広がりつつある。こうした事態こそが、今後の立命館にとって致命的な欠陥になるであろう。
(3)学内の多数意見を無視して、理事会が建設契約を決定することは末川博先生が確立された学内責任の原則、教学優先の原則を踏みにじることであり、立命館はその運営において瓦解し始めることになるでしょう。学外理事の皆さんは自らの役割を踏まえて行動してください。
1)学内多数の批判・反対の意見を無視し続けて、どうしてまともな学園運営ができるのか、大学は誰のためにあるのか
長田理事長や森島専務は6月28日の理事会を前に予め、学外理事の皆さんに「ここまで来て凍結したり止めたりすることは立命館の社会的信用を潰すことになるので、何としても実現したいのでご協力してください」とお願いしている様子である。
しかし先に示しように、立命館大学の過半数を超える教職員・学生が所属する6学部長が建設契約に慎重論の声明を出した。また2010年茨木購入時に反対した4学部長が改めて凍結声明をだし、さらに13の学部長の内7学部長理事が現在の立命館の異常な学園運営について理事長専決事項の改定を含めて4点にわたって是正の提起をしている。ここまでくれば理事会は茨木キャンパスを凍結する以外に無い。
ところが各学部教授会声明を含め全学から上がってきた意見にたいして、川口総長等は「返し文書は出さない」として常任理事会としての回答を行わないどころか、提出された教授会声明を学部長が常任理事会で説明し意見を出すことも拒否し、単に「資料」としてのみ配布するにとどめてきた。これでは全学の意見・創意を引き出して学園の運営を行うことなどできない。大学は竹中工務店との密約を実行する場ではない。大学は学生のためにあり、学生の要望・意見も大切にしながら教職員の総意に基づいて運営しなければまともな大学運営はできない。
13名の学部長の過半数を超える7学部長の理事会運営改善要望声明に対して常任理事会は真摯に検討し回答すべきである。そうでなければ常任理事会は団結して学園運営はできない。ところが「副学部長らの誤解を解く」と文書の性格も不明な、見上副総長名での文書(「見上文書」)を出すのみで、まともな討議を拒否している。
7学部長声明の4項目目で理事長の専決事項は改廃すべきであるとの当然な改善策の提案に対して「三上文書」は「理事長の専決とは理事会の議決を経ず、理事長がなんでも専決契約できるものではなく、理事会での議決を踏まえて代表者である理事長が決裁し契約するものであるので、改定する必要は無い」との趣旨の見解を表明している。「改定する必要は無い」は間違いであるが、見上氏がそのように言うなら「理事会の審議は必要なく理事長の専決決裁で良い」とした森島専務の言動を見上氏は批判し「理事会での議決が必要である」と主張すべきであった。
いずれにしても、このような状況の下、総長・理事長推薦の常務理事と学外理事が学内の多数意見を踏みにじって建設契約決定を押し切ることをしてはなりません。
2)大学の運営に責任を負っているのはあくまで学内関係者である。また教育・研究を任
務としている大学の運営は、教学と経営を統一して運営すべきであって教学機関の多数の反対意見を無視して「工期が迫っている」等の泣き言で、建設契約を議決してはなりません。
大学は民間会社や自治体と異なり、教育と研究を任務とする非営利の学校法人です。ゼミや教室での授業、研究室での研究、課外活動の援助、いずれも教職員の自発的な創造的営みによって成り立っています。それをどう効果的に奮闘してもらうようするかが大学経営です。
教職員の多数の人が反対していることを、その反対の論拠が例え、学外理事の皆さんの目からみて「妥当性が無い」と判断されたとしても、執行に責任を負えない学外理事が長田理事長等の意見だけで判断して決定しても効果がないどころか、学内の混乱を助長するだけである。学外理事・評議員の皆さんの仕事は、立命館におけるこれ以上の混乱をさけるために、長田理事長等を諌め「ここまで来れば、潔く、この議題は凍結し、混乱の責任をとつて身を引くべきでしょう」と説得することです。
3)川口総長、長田理事長は立命館大学の多数意思に基づいて選出されていない正当性に欠ける総長、理事長である。しかも彼等は、言われている「2015年茨木開設」の時に在任していない。そのような人が学内意見を無視して「後は野となれ山となれ」で強行しようとしていることに学外理事の皆さんは、いさめる事が仕事です。
川口総長の任期は2014年年末であり、2期務めた川口総長は再立候補できない。
川口総長は2010年の総長選挙において、学外理事・評議員、校友会・父母会、総長理事長任命の学長、副学長、学部長がいるAPUと、総長任命の校長がいる附属校での票でかろうじて学園の過半数を得て再選された。しかし立命館大学においては過半数の支持を得ることをできなかった。
長田豊臣理事長に至っては、理事としての選出基盤さえない。当時川口総長は長田理事長の再選に反対したために、山中亨校友会会長・理事の推薦で理事会において理事長に「選出」されるという、末川博総長以来、戦後総長公選制になって初めて総長に推薦されないで理事長に就任するという異常なやり方で理事長に就任した。しかも立命館大学においては2学部長理事以外の学部長理事は全て反対の票を投じた。長田理事長の任期も2014年度である。前回理事長選挙時において「今年度中か任期途中で辞める」と言っておきながら今まで居座ってきた長田理事長は道義的にも再立候補はできない。
このように立命館大学内において全く支持されていず、しかも2015年には在任していない川口総長と長田理事長が立命館大学の教職員・学生の過半数が在籍している学部の反対表明を押し切って竹中工務店と建設契約を理事会に提案などしてはならないのであるが、しかし彼等は「竹中工務店との密約」を実行するために、なりふり構わず提案し議決しようとしている。
3)学外理事の皆さんは長田理事長や川口総長等の暴挙を諌め、学園の団結を回復するために努めるべきです。
彼等は「学外理事は我々を支持している」として学内世論を無視して理事会に諮ろうとしている。もしも学外理事の皆さんが彼等を諌めるのではなく、彼等の要請に応えて茨木建設契約を議決すれば、立命館の学内関係者は川口総長、長田理事長、森島専務への不信のみならず、皆さんへの不信も固定化し、立命館の不団結は決定的となり今後の学園運営に大きな障害を生むことになるでしょう。今こそ学外理事は彼等を諌め、この際、茨木建設は一旦凍結し、再検討を促し、身を引くことを勧告すべきでしょう。
(4)社会的に発表した事でも取りやめることはいくらでもある
長田理事長等は「2015年茨木キャンパス開設は社会的に発表した事であり、止められない」と言っている。
世間では、社会的に発表・約束したことであっても取りやめることはいくらでもあった。
立命館の茨木展開は、未だに心理総合系学部という学部名、教学内容、そして学生定員
も定まっていない構想のままであったり、「茨木キャンパスはアジアのゲットウェー」などとAPUとの競合の整理も不明確なままである。「すでに入試広報で発表している等」を理由にしても、学部が移転され、学生が通っているわけでもない。なにも実行されていない今の段階で凍結することが被害を少なくする。
長田理事長の主張は、敷地と整備費の全額135億円の支援を受けて開設され、既に20年の歳月を経ている経営学部を茨木に移転させることの方が、よほど社会的にインパクトのある問題である。学生アパートの建設を期待している茨木市の業者と、実際に南草津周辺で2000名分以上の学生アパートを設置・経営している人の損害の大きさを考えれば明確である。社会的に発表した事を根拠に取りやめないなどは理屈に合わない。
立命館が茨木キャンパス計画をやめても誰も損はしない。現時点では立命館は土地を購入しただけであり、まだ何も建てていない。今、止めてもお金が土地に変わっただけである。茨木市は立命館にまだ補助金を執行していないし、していても返却すればよいだけのことであり、立命館が取りやめても茨木市は損失を被ることは無い。
(5)立命館を竹中工務店の食い物にさせてはならない。理事会の下に調査委員会を設け疑惑の徹底調査が必要である
茨木建設とかかわって、私は2010年の時点で「竹中工務店と密約があり強行する危険がある」と指摘したが、その通りとなった。そして2010年3月に「契約事務取扱規程」が作られていた。長田理事長等によって、何が何でも竹中工務店と契約するための準備であった。これを放置すれば今後衣笠の整備、BKCの整備、長岡京市での立命館中高校建設も全て長田理事長等によって専断的に進められる入口となるので、ここは一旦凍結し、理事長にかかわる契約ならびに経理の専決規程を改めなければならない。ところで茨木キャンパスだけではなく、既に衣笠の体育館もBKCの理工学部増設も全て竹中工務店と契約され建設が進められている。長田理事長、川口総長、森島専務、志方部長等による学園財政の私物化であると同時に、竹中工務店によって立命館が食い物にされている。これを止めることは理事をはじめとする立命館人の責務である。
2010年11月の茨木購入当時に、長田理事長は那須に別荘を手に入れている。「李下に冠を正さず」である。このような時に別荘を手に入れることは「そのお金の出所は?」と疑われても当然である。このことを含めてサッポロからの茨木の土地購入と、竹中工務店への建設契約について、理事会の下に第三者も入った茨木問題調査委員会を設置し徹底的に調査し、その結果に基づいて告訴も含めて厳正な対応を行わなければならない。
(6)学部長理事は選出されている学部教授会の意思を貫く勇気をもって理事会に臨み、茨木建設契約に対する意思表示を明確にしなければならない。
現在、立命館大学においては26日の常任理事会、28日の理事会の動向が注視の的となっている。そして19日の常任理事会後、急遽、元学部長等による「凍結賛同署名」が26日の常任理事会ならびに28日の理事会に向けて集められている。学内の多数意見を無視してあくまでも竹中工務店との建設契約を強行し教学・財政・管理運営において矛盾を深めるのか、それとも学内多数の意思を尊重して一旦凍結し、再検討に踏み切るのかが焦点となっているのである。
同時に学部長理事がどのような態度を表明されるのか固唾をのんで見つめている。それは19日の常任理事会において学部長理事のどなたからも「学内の多数が反対している建設契約を理事会に上程するのは、反対である」との意思表示がなされなかったことから心配しているのである。しかし上程に反対を表明しなかったことは、契約に賛成した事ではない。理事会において「反対」「保留」の態度はできるし、しなければならない。
理事会において学部長理事は、自らが選出されている教授会での意思を代表して意思表示を明確にする義務がある。学部長理事が学部で決議されている意思を表明しなければ学部長理事の義務を果たさないだけではなく、学部長理事制度そのものを自ら軽んじることになる。これまで学部教授会の意思を受けて常任理事会で活発に意見を述べてこられた学部長理事各位は立命館の将来を左右する、茨木建設契約議題において、その正義と勇気ある行動を後世の記録として残しておくためにも「反対」「保留」を議事録に明記させる必要がある。
もしも学部長理事の皆さんが、そのことを曖昧にされて、建設契約議決を黙認されるようなことがあれば、それは末川博先生以来進めてられてきた立命館の民主的体制が瓦解にしていく危険がある。みなさんの勇気ある行動を期待しています。
最後に
現在、立命館は重大な岐路に立っている。茨木キャンパス強行によって教学・財政・管理運営に重大な矛盾を引き起こし、将来の立命館の発展を困難にもたらす引き金を引いてしまうのかどうかの瀬戸際に立っている。いま過去の行きかがりを捨てて冷静に事態を直視し、茨木キャンパス建設の凍結に踏み切るべきでしょう。
同時に学内多数の反対・慎重意見を踏みにじっても、事を進めようとしている長田理事長、川口総長、森島専務等の横暴を可能としている現行の理事長選出のやり方、総長選挙施行細則について抜本的な改革が必要となっています。2014年度の理事長改選、総長選挙に向けて、その改革を求める取組を強める必要があります。そうでなければ森島専務等が「現行規程ではこうなっています」と同じやり方で強行するでしょう。
併せて学部長理事の勇気ある行動と、それを支える教職員組合などの運動強化が決定的に重要となっています。いかなる制度もそれを構成する人々が制度の意義を理解し勇気を持って行動しなければ、生命を発揮することはできません。以前にも書きましたが「権力の座」に居る人間は、責任を認めれば、財政と人事を動かす権能を失い、地位をはずれ立命館を去らざるを得ないので、なりふり構わず、恥も外聞もなく、「権力」にしがみつき、嘘と詭弁、バラマキなど手段を選ばす強行する。しか道理と正義を説いて反対する側は、自分たちの主張が認められなくても、自分や学部などの所属組織の損害はたいしたものではない。そのために何回も論戦している内に馬鹿らしくなり「このような人達と付き合っていられない。勝手にしろ、いつか自滅するだろう」とあきらめる場合がある。しかしそれでは、学費を納めている学生達に申し訳ないし、卒業生たちに顔向けできない。
正義は強く粘り強くなくてはならない。釈迦に説法のようで申し訳ないが、そのことを強く述べて今回の文章を終わる。
なを今回の文書は学外理事の皆さんにも理解しいただけるように記したので、学内関係者の方にとっては、今日までの文書と重複している箇所もありますが、ご容赦ください。
NO25 学外理事をはじめとする学校法人立命館の理事ならびに評議員の皆様へ
6月28日の理事会、教学・財政・管理運営において矛盾を激化させる茨木キャンパス構想は一旦凍結すべきです。
2013年6月25日 立命館校友・元立命館総長理事長室室長 鈴木元
現在 日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、中国(上海)同済大学アジア太平洋センター顧問教授、国際環境整備機構理事長。
目次
(1) 購入決定時ならびに政策科学部・経営学部の移転決定時に説明されていたのとは全く異なる財政的危機が明確となった
1)教学構想のないままに茨木の土地を購入し、矛盾を露呈
2)特別引当金Ⅱ、当初説明より320億円も減額、毎年最低30億円のリストラ案を提起
3)茨木建設費「210億円が220億円に膨らむ」同時に市と国からの補助金は60億円から30億円に減額、差引40億円をどうするのか
4)これらの事態を総合的に考慮すれば、茨木建設は一旦凍結し、一から総点検し再検討しなければならないだろう
(2)竹中工務店との建設契約は「理事長の専決事項、理事会へは報告とする」から一転して「理事会議決事項」に変更
1)「210億円を越える」竹中工務店との建設契約を理事長の専決決裁で契約し「理事会には報告事項とする」と強弁してきた森島専務
2)森島専務、大半の学部長理事も常務理事も知らなかった「経理業務専決規程」と「契約事務取扱規程」を根拠に理事長専決決裁による契約を主張
3)実際の運用はどうだったか
4)理由も示さず突然「議決」事項に変更
5)このまま進めば、教学・財政・管理運営等に矛盾をきたすだけではなく、立命館は部門間セクト主義と事なかれ主義を蔓延させることになる
(3)学内の多数意見を無視して、理事会が建設契約を決定することは末川博先生が確立された学内責任の原則、教学優先の原則を踏みにじることであり、立命館はその運営において瓦解し始めることになるだろう。学外理事、評議員の皆さんは自らの役割を踏まえて行動されるべきである。
1)学内多数の批判・反対の意見を無視し続けて、どうしてまともな学園運営ができるのか、大学は誰のためにあるのか
2)大学の運営に責任を持っているのはあくまで学内関係者である
3)川口総長、長田理事長は立命館大学の多数意思に基づいて選出されていない正当性に欠ける総長、理事長である
4)学外理事の皆さんは長田理事長や川口総長の暴挙を諌め、学園の団結を回復するために努めるべきです。
(4)社会的に発表した事でも取りやめることはいくらでもある
(5)立命館を竹中工務店の食い物にさせてはならない。理事会の下に調査委員会を設け疑惑の徹底調査が必要である
(6)学部長理事は選出されている学部教授会の意思を代表する勇気をもって理事会に臨み、茨木建設契約に対する意思表示を明確にしなければならない。
さいごに
はじめに
6月28に臨時で開催が予定されている理事会において、長田豊臣理事長(以下、長田理事長)は既に購入した大阪茨木市の元サッポロビール工場跡地に大阪茨木キャンパス(以下、OIC)を設置するために校舎、図書館、体育館などの施設建設を220億円とも言われる額で竹中工務店と契約する議事を提案しようとしている。
しかしこの案件について、予てから学内で反対・不安・疑問の意見が多数提出されてきたが、6月の臨時理事会を前にして現職の法学部、国際関係学部、産業社会学部、経営学部、経済学部、理工楽部の6学部長、つまり立命館大学の学生・教職員の過半数を越える教授会を代表して慎重論を展開する声明を出した。合わせて茨木の土地購入時に反対を表明した5学部長の内、4学部長が凍結・延期声明を出している(経済学部長は再選挙されて現職なので6学部長声明に連署している)。
これらは学内の多数意見として、6月の臨時理事会における契約決議は止めておくべきであるとの意思表示であり、学外の理事・評議員のみなさんは、この学内の意思を無視して急いで竹中工務店との建設契約を決定をすべきものではありません。
学外理事・評議員各位は、広い見地から慎重な態度を取られ、学部長理事をはじめ学内関係者の意見に耳を傾け、川口総長・長田理事長を諌められる、一旦凍結の判断を下すことを要望します。
(1)購入決定時ならびに政策科学部・経営学部の移転決定時に説明されていたのとは全く異なる財政的危機の予測が明確となった。
1)教学構想のないままに茨木の土地を購入した矛盾が露呈
2020年に向けた立命館の中期計画(R2020)の重点課題は、教育・研究の質的向上と、それを保障する衣笠キャンパス狭隘の克服をはじめとするキャンパス整備であった。
ところが長田理事長等は、衣笠のキャンパス狭隘克服の最有力候補であった京都市山之内浄水場跡地購入交渉を打ち切り、突然大阪のサッポロビール茨木工場跡地購入を打ち出し、2010年11月12日の理事会において、立命館大学の教職員・学生の過半数が所属する5学部が反対しているにもかかわらず立命館の歴史上初めて多数決で購入を決定した。
教学構想もないままに土地を購入したために、現在予定されている学部の移転だけでは赤字キャンパスとなる。そのため教学構想も学部名も、そして学生定員も定まっていない「心理総合系学部を2016年に茨木で開設」と再び多数決で決定するなど矛盾を露呈してきた。
2)特別引当金Ⅱ、当初説明より320億円減額、毎年最低30億円のリストラ案を提起。
2011年3月の財政計画では2020年末の特別引当金Ⅱ(①企業で言う減価償却と②将来の教学展開に備えた資金の二つ)は592億円であったものが、2012年9月の財政分析では320億円も減額となり270億円となると予測、そのため毎年30億円ものリストラ案を提起せざるを得なくなった。建物は建っても、教学の質は後退する危険が出ている。
3)茨木建設費「210億円が220億円に膨らむ」同時に市と国からの補助金は60億円から30億円に減額、差引40億円をどうするのか。
森島専務等は「茨木の施設建設費は当初の210億円が220億円になるが、茨木市から30億円の補助金が出ることになったので当初予算の枠内でできます」と虚偽の発言を行っている。
2010年11月3日の常任理事会において森島常務(当時)は収支一覧表を提出した。
そこでは「茨木の土地購入費190億円、建設費210億円、計400億円、長岡京市での立命館中高の建設費110億円、総計510億円の支出。収入として経常予算(積立)120億円、将来構想資金取り崩し300億円、その他(資産売却、自治体協力等)90億円、原資計510億円」としていた。
「その他(資産売却、自治体協力等)90億円」については「茨木市(国を含む)からの補助金60億円、立命館中高の敷地を龍谷大学への売却で30億円」と説明した。
その説明も受けて2010年11月10日の常任理事会、12日の理事会で購入が多数決で決定されたのである。したがつて「30億円の補助金」は当初から収支予算510億円の収入の中に60億円として含まれていたのであり新たな収入ではない。
問題は、支出予算が510億円から520億円に膨れ上がり、一方収入は510億円から480億円に減額となり、差し引き40億円の収支マイナスとなり、40億円の新たな財源が必要となっている事である。この40億円はどうするのか。購入にあたって収支一覧表を提出し「茨木建設費210億円」「茨木市と国から60億円の補助」と言って購入を強行した森島専務等は、学校法人立命館に新たに40億円負担を求めるのか、それとも自己の責任を明確にし、私財を投げ打ってでも支払う覚悟なのか、学園関係者の前に明確にする義務がある。
4)これらの事態を総合的に考慮すれば、茨木建設は一旦凍結し、一から総点検し再検討しなければならないだろう
(2)竹中工務店との建設契約は「理事長の専決事項、理事会へは報告とする」から一転して「理事会議決事項」に変更
1)「210億円を越える」竹中工務店との建設契約を理事長の専決決裁で契約し「理事会には報告事項とする」と強弁してきた森島専務。
茨木キャンパス建設についての疑問・不安・反対等の意見が強まる中で、森島専務理事は竹中工務店との「210億円」に及ぶ契約を理事会(常任理事会)に諮らず、理事長の専決契約で行い理事会に事後報告すると言い出した。これに対して多くの人々から私学法ならびに学校法人立命館の寄付行為が定めている理事会の議決権を含めた権能を否定するものだとの批判が高まった。
2)森島専務、大半の学部長理事も常務理事も知らなかった「経理業務専決規程」と「契約事務取扱規程」を根拠に理事長専決決裁による契約を主張
森島専務は例規集を取りだし「『契約事務取扱規程』において『契約業務は専決者(理事長)が契約する』と記載されている。『経理業務専決規程』において『理事長の専決は1億円以上 』と上限は定められておらず、竹中工務店との210億円を越える契約は理事会に諮らなくてもできる」と言い出した。このような規程があることについては大半の学部長理事そして常務理事もほとんど知らなかった。
しかしこれは森島専務等のいつもの姑息なやり方であった。「契約事務取扱規程」は茨木の土地購入が提案される直前の2010年3月末の最後の常任理事会に「新旧対照表」を提出して説明することもなく「実務的な変更です」として提案され、旧規定は破棄された。しかし旧規定の第33条には「5億円以上の物品調達契は理事会議決事項とする」とされ、併せて第17条では「土地・建物の購入にあたっては・・信頼ある機関の評価を徴するとともに、理事会の承認を得なければならない」とされていた。この重要な2点が「契約事務取扱規程」から削除されていたのである。また専決者が契約する場合はあらかじめ「理事会の議決を経て」とも「理事会の議決を得ないでも」のいずれも記載していない欠陥規程であった。
「経理業務専決規定」は一般の民間会社や地方自治体においても、一定以下の金額の決裁については、理事会(役員会)からの委任事項として、それぞれの職位に応じて決済できるようにしている。立命館の旧「経理専決規定」は1962年に制定された物だったので金額が実情に合わない面があった。そこで2006年に実情に即したものに改訂された。その際、関係者は課長、部長、常務、専務(5000万円以上 1億円以下)は意識して見たが、その次の理事長は「1億円以上 」と記載されていたが「新旧対照表」が添付されていないこともあり、「上限が無い」ものとなっていることの問題に気が付かなかった。明らかに欠陥規定である。上限なしの専決規程などあってはならないのである。直ちに改定しなければならない。
3)実際の運用はどうだったか
しかし「R2020」以降の購入を見るとサッポロ茨木工場跡地、日通社宅跡地、堂本印象旧宅のいずれの購入も理事会(常任理事会)の議決に諮られていた。今回の竹中工務店との建設契約だけが新「規程」を根拠に理事長の専決で契約し、理事会には事後報告ですますと言い出したのである。
なぜか。日通社宅跡や堂本印象旧宅の購入は当然の事であり、誰も反対していなかった。茨木の土地購入では常任理事会はおろか評議員会、理事会においても立命館大学の教職員・学生の過半数が所属する5学部関係者が中心となって反対した。それでも、その時は、長田理事長等は「引当特定資産Ⅱは592億円が確保できるので大丈夫」だと抗弁し強行した。しかし今回は財務部の計算でも、特別引当金Ⅱは当初試算より320億円も減額し、270億円に落ち込むことを予測せざる得なくなった。この金額は大学基準協会が求める50%つまり約500億円より大幅に落ち込むイエローカード水準であるため、まともに討議・説得できないとわかり、討議を回避し報告で済まそうとしたのである。「理事長専決決裁論」は強さの表れではなく弱さの哀れであった。
4)理由も示さず突然「議決」事項に変更
6月19日の常任理事会が開催されるまで、森島専務等は「(210億円を越える)竹中工務店との建設契約は理事長の専決事項であり、契約後、理事会に報告する」と語り、学外理事を含めた理事会の権能を否定していた。19日の常任理事会の案内においても(理事会への報告事項)として「茨木キャンパス建設契約について」していた。
しかし会議が始まってから突如、議題とした。
予てから学園の多くの教授会・部課から「背任行為に当たる」と主張されていた。私は文部科学大臣宛に「立命館の長田理事長、森島専務等の行動は、私学法に違反し立命館の寄付行為に定められている理事会の議決権を否定するものであり、背任にあたることになるので、適切に指導されたい」と文書で申し入れた。教職員組合も弁護士を招いて「背任罪」での告訴の可能性について学習ホーラムを行った。
今回の突然の変更は、学園内での批判の高まり、文部科学省が森島専務ならびに田尻総務部長を通じて指導、ならびに彼らが弁護士と相談した結果であると推察される。
あれだけ「報告事項にすることで問題が無い」と言い張っていた森島専務は責任を明確にしなければならない。
5)このまま進めば、教学・財政などに矛盾をきたすだけではなく、学園内に部門間セクト主義と事なかれ主義を広げることになる。
長田理事長等は政策科学部・経営学部の2学部が移転再検討に向かわない様に、また衣笠やBKCの関係者の支持をえるために「あれも建てます、これも実現します」とばら撒き約束をしてきた。そのために当初計画の建築延べ床面積は77000㎡であったものが105000㎡と1.36倍にも膨れ上がり、3階建てで構想されていたものを5階建て、9階建にしようとしている。このような長田理事長等の「大判振る舞い」を全学は見ているのである。
したがって、このまま茨木キャンパス建設が推進されることになれば、全学的に教学・財政などに矛盾をきたすだけではなく「我々の学部も」との部門間セクト主義に基づく「物取り主義」が横行することになるし、既に始まっている。一方「こうしたやり方は立命館の今後の学園運営にとって良くなく、直ちに改めるべきである」と意見を述べても無視される事が続く中で、「言っても無駄だ」「何時か破綻するだろう」「どうぞお好きなように」との事なかれ主義が学園内に広がりつつある。こうした事態こそが、今後の立命館にとって致命的な欠陥になるであろう。
(3)学内の多数意見を無視して、理事会が建設契約を決定することは末川博先生が確立された学内責任の原則、教学優先の原則を踏みにじることであり、立命館はその運営において瓦解し始めることになるでしょう。学外理事の皆さんは自らの役割を踏まえて行動してください。
1)学内多数の批判・反対の意見を無視し続けて、どうしてまともな学園運営ができるのか、大学は誰のためにあるのか
長田理事長や森島専務は6月28日の理事会を前に予め、学外理事の皆さんに「ここまで来て凍結したり止めたりすることは立命館の社会的信用を潰すことになるので、何としても実現したいのでご協力してください」とお願いしている様子である。
しかし先に示しように、立命館大学の過半数を超える教職員・学生が所属する6学部長が建設契約に慎重論の声明を出した。また2010年茨木購入時に反対した4学部長が改めて凍結声明をだし、さらに13の学部長の内7学部長理事が現在の立命館の異常な学園運営について理事長専決事項の改定を含めて4点にわたって是正の提起をしている。ここまでくれば理事会は茨木キャンパスを凍結する以外に無い。
ところが各学部教授会声明を含め全学から上がってきた意見にたいして、川口総長等は「返し文書は出さない」として常任理事会としての回答を行わないどころか、提出された教授会声明を学部長が常任理事会で説明し意見を出すことも拒否し、単に「資料」としてのみ配布するにとどめてきた。これでは全学の意見・創意を引き出して学園の運営を行うことなどできない。大学は竹中工務店との密約を実行する場ではない。大学は学生のためにあり、学生の要望・意見も大切にしながら教職員の総意に基づいて運営しなければまともな大学運営はできない。
13名の学部長の過半数を超える7学部長の理事会運営改善要望声明に対して常任理事会は真摯に検討し回答すべきである。そうでなければ常任理事会は団結して学園運営はできない。ところが「副学部長らの誤解を解く」と文書の性格も不明な、見上副総長名での文書(「見上文書」)を出すのみで、まともな討議を拒否している。
7学部長声明の4項目目で理事長の専決事項は改廃すべきであるとの当然な改善策の提案に対して「三上文書」は「理事長の専決とは理事会の議決を経ず、理事長がなんでも専決契約できるものではなく、理事会での議決を踏まえて代表者である理事長が決裁し契約するものであるので、改定する必要は無い」との趣旨の見解を表明している。「改定する必要は無い」は間違いであるが、見上氏がそのように言うなら「理事会の審議は必要なく理事長の専決決裁で良い」とした森島専務の言動を見上氏は批判し「理事会での議決が必要である」と主張すべきであった。
いずれにしても、このような状況の下、総長・理事長推薦の常務理事と学外理事が学内の多数意見を踏みにじって建設契約決定を押し切ることをしてはなりません。
2)大学の運営に責任を負っているのはあくまで学内関係者である。また教育・研究を任
務としている大学の運営は、教学と経営を統一して運営すべきであって教学機関の多数の反対意見を無視して「工期が迫っている」等の泣き言で、建設契約を議決してはなりません。
大学は民間会社や自治体と異なり、教育と研究を任務とする非営利の学校法人です。ゼミや教室での授業、研究室での研究、課外活動の援助、いずれも教職員の自発的な創造的営みによって成り立っています。それをどう効果的に奮闘してもらうようするかが大学経営です。
教職員の多数の人が反対していることを、その反対の論拠が例え、学外理事の皆さんの目からみて「妥当性が無い」と判断されたとしても、執行に責任を負えない学外理事が長田理事長等の意見だけで判断して決定しても効果がないどころか、学内の混乱を助長するだけである。学外理事・評議員の皆さんの仕事は、立命館におけるこれ以上の混乱をさけるために、長田理事長等を諌め「ここまで来れば、潔く、この議題は凍結し、混乱の責任をとつて身を引くべきでしょう」と説得することです。
3)川口総長、長田理事長は立命館大学の多数意思に基づいて選出されていない正当性に欠ける総長、理事長である。しかも彼等は、言われている「2015年茨木開設」の時に在任していない。そのような人が学内意見を無視して「後は野となれ山となれ」で強行しようとしていることに学外理事の皆さんは、いさめる事が仕事です。
川口総長の任期は2014年年末であり、2期務めた川口総長は再立候補できない。
川口総長は2010年の総長選挙において、学外理事・評議員、校友会・父母会、総長理事長任命の学長、副学長、学部長がいるAPUと、総長任命の校長がいる附属校での票でかろうじて学園の過半数を得て再選された。しかし立命館大学においては過半数の支持を得ることをできなかった。
長田豊臣理事長に至っては、理事としての選出基盤さえない。当時川口総長は長田理事長の再選に反対したために、山中亨校友会会長・理事の推薦で理事会において理事長に「選出」されるという、末川博総長以来、戦後総長公選制になって初めて総長に推薦されないで理事長に就任するという異常なやり方で理事長に就任した。しかも立命館大学においては2学部長理事以外の学部長理事は全て反対の票を投じた。長田理事長の任期も2014年度である。前回理事長選挙時において「今年度中か任期途中で辞める」と言っておきながら今まで居座ってきた長田理事長は道義的にも再立候補はできない。
このように立命館大学内において全く支持されていず、しかも2015年には在任していない川口総長と長田理事長が立命館大学の教職員・学生の過半数が在籍している学部の反対表明を押し切って竹中工務店と建設契約を理事会に提案などしてはならないのであるが、しかし彼等は「竹中工務店との密約」を実行するために、なりふり構わず提案し議決しようとしている。
3)学外理事の皆さんは長田理事長や川口総長等の暴挙を諌め、学園の団結を回復するために努めるべきです。
彼等は「学外理事は我々を支持している」として学内世論を無視して理事会に諮ろうとしている。もしも学外理事の皆さんが彼等を諌めるのではなく、彼等の要請に応えて茨木建設契約を議決すれば、立命館の学内関係者は川口総長、長田理事長、森島専務への不信のみならず、皆さんへの不信も固定化し、立命館の不団結は決定的となり今後の学園運営に大きな障害を生むことになるでしょう。今こそ学外理事は彼等を諌め、この際、茨木建設は一旦凍結し、再検討を促し、身を引くことを勧告すべきでしょう。
(4)社会的に発表した事でも取りやめることはいくらでもある
長田理事長等は「2015年茨木キャンパス開設は社会的に発表した事であり、止められない」と言っている。
世間では、社会的に発表・約束したことであっても取りやめることはいくらでもあった。
立命館の茨木展開は、未だに心理総合系学部という学部名、教学内容、そして学生定員
も定まっていない構想のままであったり、「茨木キャンパスはアジアのゲットウェー」などとAPUとの競合の整理も不明確なままである。「すでに入試広報で発表している等」を理由にしても、学部が移転され、学生が通っているわけでもない。なにも実行されていない今の段階で凍結することが被害を少なくする。
長田理事長の主張は、敷地と整備費の全額135億円の支援を受けて開設され、既に20年の歳月を経ている経営学部を茨木に移転させることの方が、よほど社会的にインパクトのある問題である。学生アパートの建設を期待している茨木市の業者と、実際に南草津周辺で2000名分以上の学生アパートを設置・経営している人の損害の大きさを考えれば明確である。社会的に発表した事を根拠に取りやめないなどは理屈に合わない。
立命館が茨木キャンパス計画をやめても誰も損はしない。現時点では立命館は土地を購入しただけであり、まだ何も建てていない。今、止めてもお金が土地に変わっただけである。茨木市は立命館にまだ補助金を執行していないし、していても返却すればよいだけのことであり、立命館が取りやめても茨木市は損失を被ることは無い。
(5)立命館を竹中工務店の食い物にさせてはならない。理事会の下に調査委員会を設け疑惑の徹底調査が必要である
茨木建設とかかわって、私は2010年の時点で「竹中工務店と密約があり強行する危険がある」と指摘したが、その通りとなった。そして2010年3月に「契約事務取扱規程」が作られていた。長田理事長等によって、何が何でも竹中工務店と契約するための準備であった。これを放置すれば今後衣笠の整備、BKCの整備、長岡京市での立命館中高校建設も全て長田理事長等によって専断的に進められる入口となるので、ここは一旦凍結し、理事長にかかわる契約ならびに経理の専決規程を改めなければならない。ところで茨木キャンパスだけではなく、既に衣笠の体育館もBKCの理工学部増設も全て竹中工務店と契約され建設が進められている。長田理事長、川口総長、森島専務、志方部長等による学園財政の私物化であると同時に、竹中工務店によって立命館が食い物にされている。これを止めることは理事をはじめとする立命館人の責務である。
2010年11月の茨木購入当時に、長田理事長は那須に別荘を手に入れている。「李下に冠を正さず」である。このような時に別荘を手に入れることは「そのお金の出所は?」と疑われても当然である。このことを含めてサッポロからの茨木の土地購入と、竹中工務店への建設契約について、理事会の下に第三者も入った茨木問題調査委員会を設置し徹底的に調査し、その結果に基づいて告訴も含めて厳正な対応を行わなければならない。
(6)学部長理事は選出されている学部教授会の意思を貫く勇気をもって理事会に臨み、茨木建設契約に対する意思表示を明確にしなければならない。
現在、立命館大学においては26日の常任理事会、28日の理事会の動向が注視の的となっている。そして19日の常任理事会後、急遽、元学部長等による「凍結賛同署名」が26日の常任理事会ならびに28日の理事会に向けて集められている。学内の多数意見を無視してあくまでも竹中工務店との建設契約を強行し教学・財政・管理運営において矛盾を深めるのか、それとも学内多数の意思を尊重して一旦凍結し、再検討に踏み切るのかが焦点となっているのである。
同時に学部長理事がどのような態度を表明されるのか固唾をのんで見つめている。それは19日の常任理事会において学部長理事のどなたからも「学内の多数が反対している建設契約を理事会に上程するのは、反対である」との意思表示がなされなかったことから心配しているのである。しかし上程に反対を表明しなかったことは、契約に賛成した事ではない。理事会において「反対」「保留」の態度はできるし、しなければならない。
理事会において学部長理事は、自らが選出されている教授会での意思を代表して意思表示を明確にする義務がある。学部長理事が学部で決議されている意思を表明しなければ学部長理事の義務を果たさないだけではなく、学部長理事制度そのものを自ら軽んじることになる。これまで学部教授会の意思を受けて常任理事会で活発に意見を述べてこられた学部長理事各位は立命館の将来を左右する、茨木建設契約議題において、その正義と勇気ある行動を後世の記録として残しておくためにも「反対」「保留」を議事録に明記させる必要がある。
もしも学部長理事の皆さんが、そのことを曖昧にされて、建設契約議決を黙認されるようなことがあれば、それは末川博先生以来進めてられてきた立命館の民主的体制が瓦解にしていく危険がある。みなさんの勇気ある行動を期待しています。
最後に
現在、立命館は重大な岐路に立っている。茨木キャンパス強行によって教学・財政・管理運営に重大な矛盾を引き起こし、将来の立命館の発展を困難にもたらす引き金を引いてしまうのかどうかの瀬戸際に立っている。いま過去の行きかがりを捨てて冷静に事態を直視し、茨木キャンパス建設の凍結に踏み切るべきでしょう。
同時に学内多数の反対・慎重意見を踏みにじっても、事を進めようとしている長田理事長、川口総長、森島専務等の横暴を可能としている現行の理事長選出のやり方、総長選挙施行細則について抜本的な改革が必要となっています。2014年度の理事長改選、総長選挙に向けて、その改革を求める取組を強める必要があります。そうでなければ森島専務等が「現行規程ではこうなっています」と同じやり方で強行するでしょう。
併せて学部長理事の勇気ある行動と、それを支える教職員組合などの運動強化が決定的に重要となっています。いかなる制度もそれを構成する人々が制度の意義を理解し勇気を持って行動しなければ、生命を発揮することはできません。以前にも書きましたが「権力の座」に居る人間は、責任を認めれば、財政と人事を動かす権能を失い、地位をはずれ立命館を去らざるを得ないので、なりふり構わず、恥も外聞もなく、「権力」にしがみつき、嘘と詭弁、バラマキなど手段を選ばす強行する。しか道理と正義を説いて反対する側は、自分たちの主張が認められなくても、自分や学部などの所属組織の損害はたいしたものではない。そのために何回も論戦している内に馬鹿らしくなり「このような人達と付き合っていられない。勝手にしろ、いつか自滅するだろう」とあきらめる場合がある。しかしそれでは、学費を納めている学生達に申し訳ないし、卒業生たちに顔向けできない。
正義は強く粘り強くなくてはならない。釈迦に説法のようで申し訳ないが、そのことを強く述べて今回の文章を終わる。