長期滞米研究者ネットワーク

管理人たちの日記

現場レポート

2009年06月19日 | SE の日記
月曜日からグラント審査のため出張中です。今、クリントン国務長官が入院している病院の前を通ってホテルに戻りました。

今日はグラント審査3日目ですべての申請について議論が済み、仮のランキングがつきました。20名強のパネルメンバーが一室に詰めて前回書いた4人の審査員が議論をリードします。その申請書が割り当てられていない人も Conflict of Interest (COI) がない限り議論に参加できます(COI のある人は退室)。

政府機関(農務省)側の代表 Program Leader は必要に応じて議論の進め方についてコメントしますが、科学的なことやランク付けの判断には一切口を出しません。議論が白熱して雰囲気が固くなることもありますが、Program Leader が会議の合間にジョークを言ったりして場の雰囲気を良くしてくれるので「慣れたもんだな~。」と感心しました。

それぞれの申請書について4人の審査員が事前の評価(Excellent, Very Good, Good, Fair, Poor)をつけています。Fair・Poor が3つ以上だと Triage の候補となって、4人の審査員が口頭で Triage に同意すればそれ以上の議論はされません。その場合、申請者には審査員が事前に書いたレビューのみが送られます。それ以外の申請書は、4人の審査員が順番に意見を述べた後、第一審査員から当該申請書のランクをどこにするか言っていきます。ランクは4段階で、Outstanding, High Priority, Medium Priority, Low Priority があります。それぞれのランク内でも仮の順番をおおまかにつけておきます(←申請書のPI名と番号が書いてあるポストイットを壁にペタペタ貼っていく)。

第一審査員がやはり一番申請書を読み込んでいる(と少なくともそう思われている)ので、彼・彼女のランク付けは影響力が大きいです。なので、それを第二以下の審査員が変更したいと思うときは、しっかりした根拠付けを述べなければなりません。どこにも声が大きくて押しの強い短気な人がいるもので、そういう人と意見が大きく食い違った時は頭をフル回転させて「自分の言いたいことを貫きながら、場を乱さない」言い方をさぐる努力が必要になります。

Funding line 付近(High Priority)にランクされる申請書については特に活発な意見が交換されました。ちょっとした議論の流れの変化や、一人の強いコメントなどで採否がほぼ決まってしまうケースもあって怖い気がしました。議論を元に第三審査員がサマリーステートメントを書いてオンラインで投稿します。それを他の三人がエディットして第三審査員が最終版を再投稿します。最終稿は Program Leader の手元に行って若干の手直しがされることもあるようです。Funding の最終判断とサマリーステートメントに温度差がある場合に手直しが入るようです。

明日は Funding line 付近の申請書に対するサマリーステートメントが(COI のない)審査員全員に配られ、それをもとに最終的なランクをどうするか話し合います。COI のある申請書のランクに関してコメントすることはできません。

今回助成されなかった申請の再投稿があるので、一度審査員をすると何度か継続して審査員に加わるよう Program Leader から勧められることがあるようです。来年のこの時期の忙しさにもよりますが、もう一回くらいやってもいいかなと思いました。


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