つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

「呼ぶがよい!」って、修技生の態度じゃないぞ

2006-09-19 23:53:09 | SF(国内)
さて、実はSF紹介するの久々だったりする第658回は、

タイトル:星界の紋章I――帝国の王女
著者:森岡浩之
出版社:早川書房 ハヤカワ文庫(初版:H8)

であります。

老舗ハヤカワが社運を賭けた(半分冗談ではない)、スペースオペラ長編です。
実は私、スペオペには物凄い偏見がありまして、これもなかなか手出す気になれませんでした。
ま、基本はボーイミーツ・ガールだし、気楽に読めばいっか~、と自分の背中をテラトンハンマーで押してみたのですが……さて、結果は?



十歳の時、惑星マーティンの政府主席の息子ジント・リンの人生は一変した。
当時、マーティンは『アーヴによる人類帝国』の侵略を受け、抗戦か降伏かを迫られていた。
問題はその結末である。秘密裏に取引を行った父は、故郷を売り渡すことで帝国の爵位を得たのだ。

七年後、ジントは惑星デルクトゥーの宇宙港にいた。
遺伝子操作により美しき容貌と長命を得た種族『アーヴ』について学ぶだけでかなりの期間を要したが、ようやく主計修技生として帝都に留学することが決まったのである。
デルクトゥーで得た友人と別れた直後、黒と赤の軍衣をまとったアーヴの少女がジントを迎えに来た。名前を尋ねると、彼女は胸を張って答えた。

「ラフィールと呼ぶがよい!」



出自バレバレだぞ、ラフィール。
というツッコミは置いといて――。

内容薄っ! が、読後の印象でした。
エピソードだけ考えると、普通の長編の三分の一程度しかありません。
気楽に読めることがウリな作品だし、三分冊の一発目なので世界説明が多くなってしまうのも仕方ないとは思いますが……にしてもねぇ。

アーヴの歴史とか、軍の階級分けとか、ユアノンなる粒子を使った宇宙航法とか、非常にマニアックな設定が目立ちますが、内容的にはジントとラフィールのラブコメです。
地位や種族を越えた二人の交流を描くために世界があるといった感じなので、階級と名を羅列しただけの脇役紹介や、アーヴ語のルビ(手当たり次第に入れすぎ! もっとメリハリを!)なんかは殆ど読み飛ばしました。
スペオペらしく戦艦同士の戦闘もあったりするのですが、アーヴ嫌いなんで味方側を応援する気になれません。よって、カタルシスも危機感もなし。

まー、若人二人のズレまくった会話は微笑ましいと言えば微笑ましい、かな。
ただ、十七歳と十六歳の会話にしてはかなり違和感が……三歳引きぐらいが妥当な線。
妙なところで漢字が平仮名になっている箇所もあり、余計幼さが感じられました。作者の変換ミス&校正担当の怠慢という可能性もあるが。(爆)

本巻だけで考えるとダメダメです。
一応、全巻紹介するつもりですが……期待はしないで下さい。
次回は『ローマの休日』ごっこだぁ!(ヤケ)


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