つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

この分野だけは好きなんだよねぇ

2008-02-10 16:22:54 | その他
さて、今回は特殊な本だよんの第945回は、

タイトル:宇宙探査の50年 SPACE スプートニクからカッシーニまで ナショナルジオグラフィック傑作写真集
編集・出版:日経ナショナルジオグラフィック社(初版:'07)

であります。

いまはだいぶ書店でも月刊誌が並んでて、名前を知ってるひとはけっこういるんじゃないかなぁ、と思うナショナルジオグラフィック誌。
あらゆる自然科学を網羅し、豊富な写真と専門性にも溢れる解説で、私も一時期、この雑誌を定期購読してました。

……つーか、私が購読してたころは書店でなんか販売してなくて、年間購読の申し込みして送られてくるものを読むしか手がなかったんだよねぇ。
そういうのを思うと、やっぱり日本での知名度が上がった、ってことなんだろうねぇ。

さて、自然科学系なんてのは私にとってかな~り……と言うか、おそらくいまの中学の理数系ですらついていくのが厳しいくらいのオンチ(爆)
だけど、この雑誌だけは特別。
そしてその中でも、この写真集のように「宇宙」に関わるものと言うのはとても興味がある。
そんなわけで、ナショナルジオグラフィックのホームページに行ってみると、こんな写真集があるではないか! ってことであっさり購入(笑)

内容は、

「序文」
ジョン・グレンのインタビューを含む数点の写真による序章。

「空の彼方へ -宇宙探査の歩みー」
アポロ11号の打ち上げの様子(観客たちの姿、ロケット発射の写真など)を含む、宇宙探査の歩みを様々な写真とともに解説されている章。
ソビエト時代のライカ犬を乗せた宇宙飛行のライカ犬の写真から、宇宙に連れて行かれたチンパンジー、有人飛行の写真など、序盤は成功の道のり。

でも最後はやはり、スペースシャトル「コロンビア」の空中分解の写真。
集めた破片とかを集めて、スペースシャトルのどの部分にあったのか……そんな残骸だらけの写真はただそれだけで痛ましい。

とは言え、ここのはあんまり個人的に興味は薄いんだよね(笑)

「果てしなき世界 -恒星と銀河の観測-」
ここからが本番。
地球の天文台から撮影されたものから、現在打ち上げられている様々な観測衛星……有名なハッブル宇宙望遠鏡などの観測や撮影から得られた、遙か彼方の銀河、ガス雲、星の誕生の瞬間などなど……。

だいぶんCGを使って処理されているとは言え、その幻想的、且つ壮大な宇宙の姿はただ写真を隅から隅まで眺めるだけでも満足。

「地球の兄弟 -太陽系の素顔-」
今度はうって変わって地球を含む太陽系の惑星や太陽に焦点を当てた章。
こちらは「果てしなき世界」のときとは違って、身近な惑星の知らない側面や貴重な写真などが多数あっておもしろい。

つか、ソビエト……金星でよく53分も機能したもんを作ったよ……。
いくら宇宙開発競争が激しかった時代だとは言え、1975年だもんなぁ。

あと、この章のメインは火星。
いまでもいろいろと議論されている火星の水に関する話題がけっこうあっておもしろい。

「我らが故郷 -宇宙から見た地球-」
あまりページ数としては多くないんだけど、宇宙から見る地球……単に「青く輝く惑星」というありふれたものだけに留まらない、ヒマラヤ山脈の詳細な写真などは、やはりこうしたものならでは。

Google Earthとか、衛星写真を気軽に見られる時代だとは言え、こうしたものでは味わえない地球の姿が見える。


……と、130ページにも満たない写真集ながら、全編フルカラーで見応え抜群の出来。
さすがに自然科学誌として長い歴史を持つだけあって、写真集としては素晴らしい。

……素晴らしいんだけど、やっぱりちょっと本誌のように解説が詳細、ってわけにはいかないので、写真を眺めて楽しむのはいいんだけど、少しくらいの知識がないとつらい、ってのは万人向けってわけじゃないよなぁ。
これでもっと詳細で、わかりやすい解説がきっちり入っていたら、文句なしにオススメ、って言えるんだけどねぇ。
ただ、逆に言えば興味のあるひとにとってはオススメ。

写真集だから値段もちょいとお高めだけど、「果てしなき世界」や「地球の兄弟」とかの写真はホントに見ているだけでもいいくらいだから。

でも最大の難点は、おそらく手に入りにくい、と言うことだろうか。
私もネットで広島市内にある本屋の在庫を検索して、ようやく紀伊國屋書店にあった最後の1冊を手に入れることが出来た、ってくらいだし。
関東圏だとまだまだあるのかもしれないけど、地方の人間にはAmazonあたりで購入するのが吉かも。

と言うわけで、個人的にはかなりオススメしたいところではあるけれど、いろいろと敷居の高い部分がある、と言うことで総評としては及第。
でもやっぱり、興味のないひとにも見てもらいたいなぁ。
まだまだ謎に満ち溢れた宇宙の姿を、これほど綺麗な写真で眺められるものは少ないと思うしね。