つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

悪の組織だそうだ

2005-07-08 22:50:03 | ファンタジー(現世界)
さて、ライトノベルを読もう企画第4弾の第220回は、

タイトル:お・り・が・み 天の門
著者:林トモアキ
出版社:角川スニーカー文庫

であります。

久々にライトノベルらしいものをと言うことで、まず表紙で選んだ。
なので、まったく、これっぽっちも期待してないのよ。

で、企画じゃなきゃ最後まで読まねぇぞ、こんなもん。
だった。

さて、ストーリーはヒロインの吾川鈴蘭が、いろんな親戚中の借金を背負って絶望しているところから始まる。
そこへ悪の組織を名乗る伊織貴瀬及び日本刀を携えた女の子が現れ、あれよあれよと言う間に鈴蘭は、この悪の組織の社員となってしまう。

そこからは理不尽な伊織=ご主人様の様々な命令をこなしつつ、善の側である神殿協会との戦闘やら、実は黒幕の神殿協会の枢機卿との戦闘だのが繰り広げられ、終わる。

まず全体として、主人公鈴蘭の気持ちや考え方の動きがまったくチグハグで、ラストのほうのセリフが、特に唐突。
「あー、そうですか、よかったね」とかなり投げやり。
心理描写や感情の動きというところがさほど書き込まれないくせに、戦闘シーンばかりが目立つから余計に悪い。

キャラも、悪の組織のほうの伊織、みーこ、沙穂、リップルラップルといるが、伊織を除く3人の女性キャラは、おっとりお姉さん系、無愛想な武闘派、炉利と、どう考えても狙っているとしか思えない。

さらに、世界観が最悪。
何でもあり、というのが日本のファンタジーみたいな感じがあるけど、ここまでひどいのはお目にかかったことがない。

ついでにストーリー展開も序盤、中盤、終盤と流れが悪くて読む気が失せる。

そんでもって、戦闘シーンがメインでキャラの書き込みができていないのに、遥か昔から使い古され、カビの生えたようなお題目が出てきて、さらにげんなりする。
無駄にそういうのを入れ込もうとするから、作品が中途半端になっている。
どうせやるなら、お題目なんか関係なく、突き抜けてくれたほうがまだマシ。

総じて、駄作というにふさわしい作品だった。

おそらく、古本屋で50円くらいで売ってて、読んだとしても、50円もったいないから返せ、といいたくなるだろう。

最後に、話の端々に出てくる銃器だのの詳細な説明は、おそらく作者の趣味なんだろうが、無駄に詳しくてうざったいだけだった。



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