清明舎

blue-sky thinking

インフルエンザ“ワクチン効果低い”

2012-02-24 | インポート

過去10年で2番目の大きな流行となっているこの冬のインフルエンザのウイルスは、各地で「ワクチンの効果が低い」と判定されていることが分かりました。
専門家は「シーズン途中でも、こうした情報を公表して対策に反映すべきだ」と指摘しています。

この冬のインフルエンザは、全国の推計患者数が5日までの1週間で211万人に達するなど、過去10年で2番目の大きな流行となっていて、ほとんどはA香港型のウイルスによるものとみられています。
各地の自治体の衛生研究所は、患者から検出したA香港型のウイルスにワクチンがどの程度効果があるか調べていますが、NHKが取材したところ、これまでに神戸市と横浜市、三重県、佐賀県、それに堺市は、分析した80%以上で「ワクチンの効果が低いと考えられる」と判定していたことが分かりました。
このうち神戸市では、分析した23株すべてで「効果が低いと考えられる」と判定していました。
「抗原」と呼ばれるウイルスに特有のたんぱく質がワクチンに使われたものと大きく異なっていたためとみられています。
国立感染症研究所は、こうしたデータを全国から集めているものの、改めて分析し直したうえでないと内容を公表できないとしています。
これについて、日本感染症学会のインフルエンザ委員を務める菅谷憲夫医師は「ウイルスが変異してワクチンの効果が低下したことが、大きな流行につながった可能性がある。シーズンの途中でもこうした情報を公表して対策に反映すべきだ」と指摘しています。

対策に「予防投与」

ワクチンの効果が低いと考えられる場合、病院や老人ホームなど重症化しやすい高齢者の多い施設で対策の柱となるのが、タミフルやリレンザといった抗ウイルス薬の「予防投与」です。
インフルエンザを発症した人と同じ部屋にいたり、会話を交わしたりした人はウイルスに感染しているおそれがあるため、予防的に薬を服用してもらうものです。
インフルエンザに詳しいけいゆう病院の菅谷憲夫医師によりますと、インフルエンザは感染してから熱などの症状が出るまでに1日から3日程度かかるため、最初に症状のある人が出てから24時間以内に薬を服用してもらうのが最も効果的だということです。
適切に実施すれば、施設や病院での感染の拡大を大幅に抑えられるとしています。
ただ、公的な医療保険が使えないため、1週間から10日間の薬剤費として1人4000円程度かかるということです。2月24日 18時41分NHK