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イタリアンでも食べルッカ

おいしい物と個性豊かな料理人達に囲まれた料理学校での日常記

4月10日・ウサギ・アスパラ特集

2006-04-10 22:54:17 | 料理学院
4月10日(月曜)
講師:ジャンルーカ(その4)
今日のテーマはアスパラガスとウサギ。アスパラガスは前菜とニョッキで、ウサギは3種類のメインで、それぞれ味つけを変えて使う。金曜日と同じく、基本的に個人の担当を決め、その料理に関しては自分が責任を持ってやるシステム。リゾットのアーティチョークにはニピテッラ(野生のミント)がよく合うので、言われる前に先手を打って摘み草に行く。この間から数日たっただけなのに葉がいちだんと大きく、茎もグンと伸びて見つけやすい。肌寒くはあるがやっぱり春なのだ。前回などまだ茎は地面に吸い付くように生えていて、先端をつまんだ指にそっと力を込めて茎を引っぱり、地面から数センチ引きはがしては採集していたのでまるで摘み草と言うよりはイモ掘りのようだった。それに比べて今日は茎が空中に伸びていてちゃんと「摘める」。香りもいちだんと増していて「ニピテッラが摘めるくらい温かい時期がアーティチョークの旬なのか」と何となく納得した。

10日目の昼食:
Risotto all’empolese (con carciofi)エンポリ風リゾット、別名アーティチョーク入りリゾット。エンポリは列車でピサ~フィレンツェ間にある、染色や服飾産業で有名な町。アーティチョークの産地としても有名だとは知らなんだ。
Pecorino alle punte d’asparagi ペコリーノチーズとアスパラガスの穂先のアンティパスト。3月(marzo)に作られるマルツォリーノというペコリーノを薄切り、さっと湯がいたアスパラガスの穂先を添えて味つけは塩こしょう・エクストラバージンオイルであっさり。
Conchiglie con julienne di verdure e seppie grigliate 野菜とスミイカを千切りにし、グリルで焼いてからブリゼ生地で作ったほたて貝の上に乗せた前菜。
Rotolino di coniglio alle erbeウサギのロール巻き、ハーブ風味 パンチェッタ・ピスタチオ・野生のフェンネル・タイムで。ガエターノ先生の同名の料理と比べると、パンチェッタ以外の材料はだいたい同じなのに全然違って面白い。今日はオーブンで蒸し焼き風にしてから、さらにフライパンで焼き目をつけた。
Cavolo romano al forno カーヴォロ・ロマーノ(ブロッコリーの一種)のオーブン焼き。cavolo romano(直訳は「ローマのキャベツ」)というこの野菜、見たのはたしか2度目。ブロッコリーの曲線部をすべて直線にしたような尖った形をしているが、オーブン焼きにしてもやっぱり固かった。おいしいが固いせいか売れ行きは今ひとつ。意外なことにブロッコリーやカリフラワーなどキャベツ類はイタリア人にあまり好まれないらしく、マリエッラの一家など「臭い」と言って誰も食べないそうだ。「で、どうしても食べたいときはスフォルマートとかにしちゃう」。一度ロールキャベツを食べてほしいなあ。
Charlotte di fragola alla crema di robiola 金曜日に作ったデザートの残り半分(冷凍しておいたもの)イチゴとロビオーラチーズのシャルロット
Caffe’ エスプレッソコーヒー

昼食後、ジャンルーカとデボラにそれぞれプレゼントと、メッセージを書いたカードを渡す。デボラへのプレゼントはあんまり大げさにもできないので、復活祭につきものの卵型チョコレートと赤いバラのセットが1つ、もっと小さい卵型チョコや一口大チョコの詰め合わせ1つ。カードはいずれも日本製。いい和紙に印刷した伝統柄のカードや一筆便は、荷物に余裕があれば持ってくるとなかなか重宝する。全員でスプマンテ(発泡酒)で乾杯。

日本版ホームページを今度リニューアルするので、そこに載せるジャンルーカのメッセージを大まかに口述してもらって自由訳。家でPC入力していると大家が来て、後半の2週間は今私がいる1階部を別の人に貸すので、金曜日に2階に引っ越せという。復活祭明けの月曜にはナポリから大型台風(マリーザ先生)が襲来するし、なかなか忙しくなりそうだ。

10日目の夕食:
Gnocchi con formaggio e punte d’asparagi チーズとアスパラガスの穂先のニョッキ チーズはグリュイエール、ゴーダ、ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノを使用。これをミルクで煮溶かし、アスパラを添えて。
Coniglio alla Vernaccia e timo ウサギのヴェルナッチャワインとタイム風味 本来はセイボリー(野生のタイムの1種)を使う。ジャンルーカが以前、レストランを経営していた頃に考えたレシピ。ちょうど店の近くにセイボリーが自生していたそうだが、今日は時間がなくてそこまで摘みに行けなかったため、タイムで代用。
Coniglio in umido alla lucchese ルッカ風ウサギの煮込み トマトと地元産の黒オリーブで煮込んだルッカ名物。よくキッチンのシモネッタやパオロも作っているので、ジャンルーカが時々パオロに「ここのプロセスはこれでいいか」と尋ねているのがおもしろい。
ウサギ2種は同時に大皿で出し、各自が好きなだけ取る。一通り食べたあとでジャンルーカが「ドッチガオイシイ?」と聞くと、面白いことにグラスに白ワインが入っている人は全員ヴェルナッチャ風味がおいしいと言い、赤ワインが入っている人は全員トマト煮込みの方がおいしいと答えた。ジャンルーカが「今日の料理には赤ワインの方が合いマス」と言うので試しに白ワイン派の2人が赤ワインを口にすると、アラ不思議ウサギの味がまったく違って感じられ、煮込み料理の方に軍配が上がった。ワインって奴はまったく侮れない。
Torta allo yogurt ヨーグルトのケーキ デボラのお誕生日記念。レストランでの仕事を始める前、彼女はアルバイトで電話局の「お客様窓口」(フリーダイヤル)係をしていたことがある。その研修中に、彼女の受け答えが結構辛らつ(イタリア語でaspro=「酸っぱい」)なので、「ヨーグルト」というあだ名がついた、という故事を踏まえる。ちなみに本人は結構このあだ名が気に入っているという。妙に斜に構えてるんだよね、この人。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

お客様:本科を卒業したばかりのミチさん(ルッカにて研修中)。旧市街の下宿から自転車で生協まで10分で行けたので「学校はたしかこの近くだ~」と突如、来ることに決めたらしい。イレーネは実は土曜日に彼女の店に食事に行き「1週間で見違えるほど成長した」と感心していたところだったのだ。下宿はホームステイなのでホストファミリーに気を使うし、ホール係の字が悪筆でオーダーの字が読めなくて首をひねるし、それなりに苦労はあるが店の人はいい人だし、なんとかやっているという。ただここの2か月で4キロ増えた体重が1週間で2キロ減ったそうで「それはいかん」とヨーグルトケーキを「明日の朝食とおやつに」持って帰ってもらう。

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